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平成23 年7 月新潟・福島豪雨では、矢木沢ダム上流域で72 時間雨量が631mmとなるなど、矢木沢ダムと奈良俣ダムで管理開始以来、最大となる流入量を記録した。 洪水期間中に、矢木沢・奈良俣・藤原の3ダムでは、利水容量の空き容量を有効利用したことにより、3ダム合計で最大約9,909 万m3(東京ドーム80 杯分)の水を貯留し、下流の洪水被害の軽減を図った。 この洪水調節によりダム下流のみなかみ町湯原地点(旧水上町第一保育園付近)では約5.9mの水位を低減させる効果があったものと推測される。
以下、このような3ダムの洪水調節効果について、国土交通省利根川ダム統合管理事務所と水資源機構沼田総合管理所の記者発表資料(平成23年8月2日)に基づいて、関連データ等を紹介する。なお、数値は速報値であり、今後変わることがあり得る。
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矢木沢ダムでは、最大流入量は既往最大を記録し、計画高水流量をも超えた。 計画高水流量 毎秒900m3 最大流入量 毎秒1,230m3:29日23:30 観測 この時の放流量は93 m3/s であり、最大流入量時の調節量は1,137 m3/s であった。また、洪水期間中(72 時間)に約6,513 万 m3 の水がダムに貯められた(東京ドーム約52 個分)。
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奈良俣ダムでは、最大流入量は既往最大を記録し、計画高水流量をも超えた。 計画高水流量 毎秒370m3 最大流入量 毎秒416m3:30日2:50 観測 この時の放流量は0 m3/s であり、最大流入量時の調節量は416 m3/s であった。また、洪水期間中(72 時間)に約1,805 万 m3 の水がダムに貯められた(東京ドーム約15 個分)。
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藤原ダムでは、最大流入量は950 m3/s を記録した。 計画高水流量 毎秒1,400m3 最大流入量 毎秒950m3:30 日4:40 観測 この時の放流量は178 m3/s であり、最大流入量時の調節量は772 m3/s であった。また、洪水期間中(72 時間)に約1,591 万 m3 の水がダムに貯められた(東京ドーム約13 個分)。
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■ 湯原水位観測所付近の水位低減効果
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湯原水位観測所に近い旧水上町第一保育園(みなかみ町湯原)付近の、ダムが無い場合の最大流量(推測値)時である7 月30 日5時における水位低減効果量は約5.90mに達した。
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■ 参考1 降雨の状況
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7 月27 日から30 日に北陸から関東にかけて停滞した前線の影響で、奥利根流域では28 日午前中から1 時間当たり10mm 以上の雨が継続的に降り続き、28 日21 時頃に降雨量がピークを示し小康状態となったが、29 日夕方から再び強雨となった。
(1) 72時間雨量(7 月27 日12 時〜30 日12 時)の降雨分布状況
矢木沢ダム流域では、流域界付近において72 時間雨量600mm 以上の降雨域が分布しており、流域全体に渡って72 時間雨量400mm 以上が分布している。また、奈良俣ダム流域においても72 時間雨量300mm 以上が広く分布している。
27 日12 時〜30 日12 時までの72時間で矢木沢ダム上流域では、累加雨量631mm、時間最大雨量は62mm(29日22 時〜23 時)を観測し、奈良俣ダム上流域の累加雨量は414mm、時間最大雨量は36mm(28 日8 時〜9 時)を観測した。藤原ダム上流域の累加雨量は468mm、時間最大雨量は37mm(29 日22 時〜23 時)を観測した。
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(2) 雨量観測所毎の72時間雨量・時間最大雨量
矢木沢ダム・奈良俣ダム流域の観測所では、72時間雨量が400mm を超えた。 一方、吾妻川流域、烏・神流川流域における観測所の72時間雨量は、ほとんどが50mm 以下であった。
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■ 参考2 矢木沢ダム・奈良俣ダムの年最大流入量
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矢木沢ダムにおける年最大流入量の経年変化を見ると、1969 年に900 m3/s 、2004 年に662 m3/s の年最大流入量を記録しているが、今回の豪雨では1,230 m3/s(10 分間値)を記録し、既往最大となった。 奈良俣ダムにおける年最大流入量の経年変化を見ると、2002 年に162 m3/s の年最大流入量を記録しているが、今回の豪雨では416 m3/s(10 分間値)を記録し、既往最大となった。
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[関連ダム]
矢木沢ダム
奈良俣ダム(元)
藤原ダム(元)
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(2011年8月作成)
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