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先頃、ビクターエンタテインメントから発売された一枚のCDアルバムがある。その名を『音楽式コンプリートダム』という。これは"デンシケンセツ"さんこと、鳥口JOHNマサヤさん（ピアノトリオ風味堂のべーシスト）のソロデビューアルバムで、ダム好きの鳥口さんが、まだ音楽界では誰もやったことがない、ダムをテーマに音を紡ぎ出してみるという大胆な試みから生まれたユニークなアルバムです。内容も、単に楽曲が順番に録音されているのではなく、DJ役がダムにまつわる話をいろいろとしながら、架空のラジオ番組を進行していく中で、曲が紹介されていくという楽しいものです。
今回は、このアルバムのためのオーディションで選ばれ、「重力式少女」というユニットに参加されたボーカルのうちお二人に、こうしたダムにまつわる音楽づくりに参加された感想や、ダムを音楽でどう表現できたか、そしてダムについてどんな印象を持ったか。また、鳥口さんをはじめ多くのダムマニアの方がいるということをどう感じるかなどを伺いました。
（インタビュー・編集・文：中野、写真：廣池）
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自己紹介をお願いします
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中野： こんにちは。まず差し支えなければお名前など、お二人の自己紹介からお願いいたします。
周郷： はじめまして、周郷（すごう）友香と申します。千葉県に住んでいます。職業は、建設機械、重機のリースをしている会社に勤めています。
鈴木： 鈴木有美と申します。私は神奈川県に住んでいます。
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中野： オーディションに受かってデビューされたのですか。
周郷： 以前から第一興商さんで受けられるオーディションには興味があったので、時々受けたりはしていました。
鈴木： 私は、音楽活動をしているので、今回オーディションに受かることができて良かったです。
中野： CDデビューされて、周りの方の反応はどうでしたか。
鈴木： はじめは「ダム？」って言われました。まだ発売から2週間ほどなので、それほどたくさんの反応は聞いていないのですが、おおむね好評だと思います。（笑）
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カラオケDAMとのコラボ企画
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中野： 今回のオーディションは、カラオケの第一興商とのコラボだそうですが具体的にはどういうふうに行われたのですか？
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周郷： 最初はダムに係わるという意識は全くなくて、せっかくだから受けてみようという軽い気持ちで応募しました。DAMというカラオケ機械で歌って応募するようになっていました。
中野： 応募は簡単にできるのですか。
周郷： カラオケ店で歌えば、その場で録音した音源がボタンを押すだけで送られます。もともと第一興商の「DAM★とも」という、自分の歌声を公開していろんな人に聞いてもらうというサイトがあって、そこに自分のプロフィールを登録してあるので、こうしたオーディションに応募するのも簡単なんです。
鈴木： 私もたまたまカラオケに行った時に「ダムオーディション」というのを見つけたのですが、自分自身としては「ダム」は身近なものでなかったので最初はなんだろうと思ったのですが、なんとなく面白そうと思って応募してみました。
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選考基準は声、歌のうまさ
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中野： オーディションの告知チラシを拝見すると、とくにテーマ曲はなくて、女子または女子に準ずる人？（笑）選考基準は、声が良いことと、やはり歌がうまいかどうかなんですね。お二人はどういう曲で応募されたのですか。
周郷： 私は、BoAの「JEWEL SONG」でした。
鈴木： 私は、徳永英明さんの曲を他の人がカバーしたもので「壊れかけのRadio」です。
中野： 今回、合格されたのは、計5人と伺いましたが？皆さん集まって一緒に練習してレコーディングされたのですか。
鈴木： メンバーとしては、ユニットの「重力式少女」が4人、ソロの「ダムガール」が1人です。
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レコーディングが初顔合わせ
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中野： 曲に合わせて、ユニットメンバーとソロなんですね。お二人は「重力式少女」のメンバーで、「春のアーチ」という曲を歌っておられますね。レコーディングに向けて他の方とはどのくらい練習されたのですか。
周郷： メンバーのあとの二人は関西方面の方なので、実際にはレコーディングの時にお会いしただけです。
中野： そうなんですか。では、それぞれ自分のパートを練習してきて、いざレコーディングという日に初めて合わせたという感じですか。重力式少女としてアルバムの中の架空のラジオ番組で紹介される時、それぞれ、キャラクターを演じていらっしゃいますね。クロベ アイ（黒部 愛）、ヤギサワ ノドカ（矢木沢 和）、ヤンバ メグミ（八ッ場 恵）、ヌカビラ ヨシエ（糠平 よし江）ですか、これはどういう割当てなんですか。
周郷： シナリオがあって、レコーディングの時もライターの方が立ち会ってくださって説明を受けたのですが、私がヤンバメグミです。
鈴木： 私は、ヤギサワノドカです。
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| CDの裏表紙。ダムの曲が１１曲。 |
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重力式少女にはキャラクターがあった
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中野： 皆さんアニメのキャラクターのようにとても可愛い声なんですが、それぞれの役柄の設定とかはあるのですか。
周郷： キャラ設定は、クロベアイがリーダー的存在で、ヤギサワノドカは小動物的で可愛く、ヤンバメグミはお姉さん的、ヌカビラヨシエは古風なイメージというような感じでした。
中野： 実際の他のお二人もそういうイメージですか。
周郷： クロベアイさんは、元気で明るい感じ。ヌカビラヨシエはおっとりした大人しい感じの方でしたね。
中野： レコーディング当日に初めて会ったのに、それぞれのキャラクターになって話せるなんてすごいですね。
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鈴木： 私は、当日、そういう設定だというのを突然言われたので、すごく戸惑ってしまって、なかなかたいへんでしたよ。（笑）
中野： あらかじめ詳しく知らされていると身構えてしまうのでかえってよかったというのはありませんか。
周郷： 進行上、先にコメント録りがあったので、その後のレコーディングは若干気楽にできたかも知れません。（笑）
中野： 鳥口さんからは、声で選んだと伺いましたので、皆さんの声の組み合わせが良いというか、そういうポイントで選ばれたのでしょうね。
ふたり： 最終的に出来上がった曲を聴いてみて、4人の声のバランスがすごくとれていて、それで選ばれたというのがよく解りました。
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ダムの専門用語についての説明は？
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中野： アルバムには１１曲収録されていますが、全体的に、バケットカーブとかローラーゲートとか、曲名もそうですが歌詞にもダムの専門用語が出てきます。こうした言葉については鳥口さんからご説明などはありましたか。
ふたり： 特にありませんでした。（笑）ただ「重力式」とかの意味は、説明して頂きましたが、それくらいですね。私たちが歌った「春のアーチ」は、そんなに難しい専門用語はありませんでしたので。
中野： ダムを音楽で表現するというのに、もともとダムそのものに興味がなくては取り組みにくいということはありませんでしたか。実際に楽曲を聴いて最初にどんなイメージが湧きましたか。
鈴木： 曲は、基本的にポップなサウンドで、割とさらりと受け入れられたということはありますね。
周郷： アルバムの中では、「春のアーチ」が一番ポップなサウンドかなって思っています。
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ダムを背景に好きな人を想う曲
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中野： ご自分の曲でここが好きだなというのは、どういうところですか。また、ダムがうまく表現できたという部分はありますか。
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周郷： 良かったのは、難解な「ダム用語」があまり多くは出てこなくて、すんなり受け入れることができたということもあります。「ダム用語」がバンバン出てくると、私は知識がないので、全く情景とかが浮かばないだろうと思うのですが、「春のアーチ」ではダムを背景に好きな人を想うという、少し切ない情景が浮かんでくるところがあって、そこはうまく感情移入できたかな、と自分では思っています。
中野： お二人はアルバム中の他の曲にも参加されているのですか。
ふたり： それはありません。他の曲はそれぞれ、いろんなアーティストさんが歌われているようです。私たちの曲が最後のレコーディングだったので、スタジオでも他の方とは全くお会いしませんでしたので、そこはちょっと寂しかった。（笑）
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日帰りで、黒部ダムまで行きました
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中野： レコーディングされてから、ご自身で「ダム」に行かれましたか。曲を歌われてからは、「ダム」のイメージが変わりましたか。
鈴木： 私は、レコーディングでヤギサワというお名前を頂いたので、翌週、矢木沢ダムに行き、他には宮ヶ瀬ダムと三保ダム等、ダム巡りをしてきました。あとは昨日、日帰りで扇沢からトロリーバスに乗って黒部ダムに行ってきました。とても寒かったですが、ダムカレーも食べてきました。（笑）
このCDには、身近に感じられる曲調と、それにダム用語がのっているので、ぜひいろんな人に聞いて貰って、それぞれが感じるダムに足を運んでもらえたらいいなと思っています。
中野： 黒部ですか。レコーディングの後、すごく短時間のうちにダム巡りをされたのですね。少しダムに興味が湧いてきたということでしょうか。
鈴木： そうですね。宮ヶ瀬ダムで放流を見た時に、これはすごいなと思い、あらためて興味を持ちました。
中野： 周郷さんは、ダムはどこか行かれましたか。
周郷： 私は時間がなくてまだ行ってないんですが、今回興味を持ったので、是非行ってみたいなと思っています。
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ダムの大きさに解放感を感じる
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中野： 鈴木さんはダムを間近に見られてどのように感じられましたか。
鈴木： だだ大きい。（笑）まずは大きいなということと、放流とかを見ていると自分の心とリンクするという訳ではないのですが、何か自分の心を解放できるというか、気持ちをさらけ出せたらいいなと、思わせるような感じですかね。
中野： 癒されるところはありましたか。
鈴木： それはありますね。ダムに行った時にも、意外と女性が多かったので、ダムって女性も好きなんだと思いましたね。
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もの静かなダムマニア、デンシケンセツさん
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中野： デンシケンセツ（鳥口）さんは、女性と一緒にドライブで「ダム」に行こうというようなイメージで曲を作られたのでしょうか。どうでしたか、優しい感じの方ですか。
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鈴木： 物静かなまじめな優しい感じの方でした。私の持っているミュージシャンのイメージとは違っていました。（笑）
中野： 鳥口さんとは、だいぶお話をされたのですか。
鈴木： 実際には、そんなにお話する機会はありませんでした。レコーディングが終わってからは、一度アルバムの発売イベントがあったので、ふたりで行って少しお話をしてきました。
中野： やはり東京近郊にお住まいのおふたりが、そういうイベントに参加されるということになるのでしょうか。
ふたり： こちらは、近いというので一番動きやすいということがあるのかもしれません。本来ならば、重力式少女は４人組なので、みんなで一緒にという思いがあって、関西組も強く希望しているのですが、なかなか機会がないのです。
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発表する場が欲しい
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中野： 何かメディアで発表する時には、やはり４人組で出たいと。
ふたり： そうですね。やはり発表する場が欲しいですね。（笑）
中野： CDデビューしたからには、しっかりと売り込まないいとね。ダムの管理所において頂いてもいいですね。何かいろいろ方法はありそうですね。（笑）
ふたり： ぜひお願いしたいです。
中野： アルバムの曲は、カラオケで歌えるのですか。
鈴木： まだ、わかりませんが・・オーディションが第一興商さんとのコラボ企画なので、ぜカラオケにも入れてもらいたいです。
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中野： カラオケの楽曲にも早く入ると良いですね。今後もこういうコンセプトアルバムをやってみたいと思われますか。
ふたり： あまり身近でない存在のダムも、こうして歌を通して印象が変わったり、楽しみ方が変わるというのが良いですね。ラジオ局では、「ワタシ ダムガール」を流していて、リスナーの皆さんがこれは何だろうという声も入ってきているようです。
中野： こういうCDをきっかけにして、今まではあまりダムとは縁がなかったような人にも聞いてもらえると、例えばドライブの最中に、この先にダムがあるというような時、思い出してもらえるようになると良いと思います。
本日は、楽しいお話をありがとうございました。アルバムのヒットをお祈りしています。
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［関連ダム］
八ッ場ダム
矢木沢ダム
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(2011年10月作成)
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