全項目表
 
ダム番号:1174
 
船明ダム [静岡県](ふなぎら)



ダム写真

(撮影:Dam master)
057567 Dam master
057532 Dam master
057542 Dam master
040806 艦長!
D-shot contest 入賞作品   →ダム便覧トップ写真   →フォト・アーカイブス [ 提供者順 / 登録日順 ]
どんなダム
 
天竜川のダムの中で最下流にある
___
あばれ天竜といわれる天竜川の河口から30Kmにあり、天竜川のダムの中では最下流に位置する。横に長いダムで、ローラーゲートの支柱が目立つ。
[写真](撮影:NAUTIS)
多種類の鳥が観察できる探鳥地
___ 天竜川下流の平地と山地の境に作られたダムで、周辺では山の鳥、里の鳥、水辺の鳥と、多種類の鳥が観察できる。
魚道がある
___ 右岸側に魚道が設置されている。階段式魚道で、総延長約247m、高低差18m。開水路部分とトンネル部分に分かれている。
ダム湖という名のダム湖
___
船明ダムのダム湖は船明ダム湖という名前のようだ。本当だろうか。珍しい。
[写真](撮影:ToNo)
ダム湖は湖面利用が盛ん
___ ダム湖は穏やかな水面で波や流れが殆どないため、カヌー競技などの湖面利用が盛ん。カヌーやボート競技の練習のほか、レンタルカヌー、屋形船遊覧等が航行している。相津マリーナや天竜漕艇場もある。
シリーズ ダム百選 投票から
第 22 回  『 春に行きたいダム 』
■ 浜松市内から一番お手軽に行ける「桜の名所ダム」です。ダムだけでなく周辺の公園や道路沿いも桜がいっぱいで、夢のような美しさです。
上流の秋葉ダムや佐久間ダムも桜の名所ですのでそちらもどうぞ。
桜のシーズンには、最寄りの西鹿島駅(天竜浜名湖鉄道、遠州鉄道)からの桜ウォーキングも開催しています。 (Pales)


第 28 回  『 ○○が美味しいダム 』
■ 船明ダムのすぐ近くにある道の駅、天竜相津花桃の里で販売しているソフトクリーム『花桃ソフト』が絶品です。
船明ダムを見学したあと花桃ソフトを食べながら船明ダム湖にかかる夢のかけ橋を渡り、その後で秋葉ダム、佐久間ダム・・と天竜川を遡上するのがお決まりのコースです。 (がくば)

テーマページ ダム管理所を訪ねて[21] 電源開発株式会社 船明ダム
第3回 D-shot contest 受賞作品
(財)ダム技術センター第20回「ダムフォトコンテスト」受賞作品
左岸所在 静岡県浜松市天竜区船明2649  [Yahoo地図] [DamMaps] [お好みダムサーチ]
位置
北緯34度53分26秒,東経137度48分43秒   (→位置データの変遷
[近くのダム]  都田川(8km)  秋葉(9km)

河川 天竜川水系天竜川
目的/型式 AWIP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 24.5m/220m/54千m3
流域面積/湛水面積 4895km2 ( 全て直接流域 ) /190ha
総貯水容量/有効貯水容量 14578千m3/4157千m3
ダム事業者 電源開発(株)
本体施工者 熊谷組・西松建設
着手/竣工 1972/1976
ダム湖名 船明ダム湖 (ふなぎらだむこ)
ランダム情報 【ダムカード配布情報】2021.8.1現在 (国交省資料を基本とし作成、情報が古いなどの場合がありますので、事前に現地管理所などに問い合わせるのが確実です) Ver1.0
○道の駅 花桃の里 9:00〜16:30(毎週火曜日定休、ただし当日が国民の休日ならば営業、3月・4月・8月・11月は無休で営業、年末年始の営業日は不確定なので要確認)
リンク Dam master・船明ダム
DAM Photographer・鉄分補給の後は・・・(1)
DamDrive・船明ダム
DamJapan・船明ダム
Damnist・船明ダム
Dam's room・船明ダム
damsite・ダムデータ
THE SIDE WAY・船明ダム
ウィキペディア・船明ダム
おぼえがき・船明(ふなぎら)ダム
ダムの風景・船明ダム
ダムペディア・船明ダム
ダムマニア・船明ダム
ダム好きさん【船明ダム】
水力ドットコム・船明発電所
日本全国ダム紀行・船明ダム
諸元等データの変遷 【05最終→06当初】左岸所在地[天竜市大字船明→浜松市船明]
【06最終→07当初】河川名[天竜川→田川] 総貯水容量[10900→14578] 有効貯水容量[10900→4157]
【07当初→07最終】河川名[田川→天竜川]
【08最終→09当初】堤高[24.5→24]
【09当初→09最終】堤高[24→24.5]
【10最終→11当初】左岸所在地[浜松市船明→浜松市天竜区船明]
【11最終→12当初】左岸所在地[浜松市天竜区船明→浜松市天竜区船明2649]

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ダム管理所を訪ねて[21]
電源開発株式会社 船明ダム

訪ねた人:阿部 繁 (ダムマイスター 01-027 Dam master)

 船明ダムは天竜川のダムの中では最下流に建設されたダムです。堤高が低くて下流側から見えるのはゲートとゲート支柱だけで、ダムというよりも堰に近い印象を受けますが実は立派なダムです。私がダムに興味を持ち始めた当初からしばしば訪れるダムでしたが他のダムにはない数多くの特徴を備えたダムです。管理所を取材する機会に恵まれたため、船明ダムならではの特徴を紹介します。

 今回取材したのは電源開発株式会社天竜事務所。新東名高速道路の浜松浜北インターチェンジから近い場所にあります。今回取材する船明ダム、秋葉ダムを管理している事務所になります。発電制御は中西地域制御所(愛知県春日井市)で行いますが、放流操作等はここからダムに赴いて行います。


 今回、取材に応じてくださった佐藤所長代理(右)と杉本所長代理(左)。船明ダムが竣工されたのは今から約40年も前のことで、当時の様子については古い資料を基に答えていただきました。また現在のダムの管理や運用についてもご説明いただきました。


 船明ダムの高さは24.5m。ダムは通常、基礎岩盤の上に作られますが船明ダムは川底を岩盤が出るまで掘り進めるよりも、右岸の山を削ったほうが岩盤を出しやすかったために山を削ってそこにダムを据えています。左岸側にあるグラウンドはかつての川を埋めたものです。左岸側の護岸部には遮水壁が伸びており粘土グラウト工法による止水処理もされています。


 船明ダムの解説図。船明発電所は右岸側にあり、発電所から放流されてすぐ用水の取水口があります。用水は浜松方面(画像左側)と磐田方面(画像右側)に分岐されますが磐田方面へはダムの中(厳密にいうと基礎コンクリートの外側)にパイプを通して川を横断します。用水の取水口は低い位置にあり、発電停止でゲートから代替放流が行われていても取水できるようになっています。


 右岸側には取水設備があります。取水口スクリーンの手前に網場がありますが、網場を超えてスクリーンに流木がかかることもあるそうです。スクリーンに引っかかった流木等は作業員が除塵機により取り除きます。


 取水設備の横には魚道も設置されています。魚道の半分以上は暗渠になっており暗い部分ではナトリウム灯が設置されて遡上の効果を高めています。また現在でも定期的に遡上数を確認し、魚道による遡上効果があることが確認されています。


 船明発電所の発電機。低落差大流量に適したカプラン水車です。発電機は1台で最大認可出力は32,000kWになります。


 左岸上流側。船明ダムの左岸端から護岸沿いに山とぶつかるところまで約400mもの長さがあります。この範囲の地中にはカーテングラウチングによる止水処理もされています。この粘土系グラウト工事により電源開発は昭和52年に土木学会技術賞を受賞しています。


 さらに上流までいくと天竜ボート場があります。ここは全国高等学校選抜ボート大会が毎年開催されることからボートの聖地とも呼ばれています。ボートができるのも船明ダムと上流の秋葉ダムの運用において安定した水位となるよう配慮されているためです。ダムの管理運用も地域の要望を取り入れながら実施されています。


 取材当日は左岸側3門の洪水吐ゲートから放流していました。現在船明ダムでは下流の洗掘対策工事が行われていますが、左岸側の工事が終了し、現在は右岸側の工事を実施しているためゲート放流は左岸側から行っています。


 左岸側の下流部。水面から見えている消波ブロックは今回の洗掘対策工事で設置されたものです。水面下にも巨大なコンクリートブロックが設置されています。竣工当初から洗掘の傾向があったようで、本格的な恒久対策がされることでダムがより長く安全に使えるようになります。


 写真は2003年春のもので、船明ダムは十数年に一度、水を抜くこともあります。上流側に角落としもないため、ゲート等の大規模な補修は写真のように水位を下げて行うことになります。


 銘菓「ふなぎらダム」はダム下流の天竜地区にある遠州菓子処 むらせやで売られています。創業当初から銘菓として売られていたそうで、天竜川の伏流水を使用して作られています。バターやはちみつの風味が豊かで甘さを抑えた洋菓子です。ネット注文も可能です。

写真提供:遠州菓子処 むらせや
      〒431-3314 静岡県浜松市天竜区二俣町二俣340-1
      TEL :053-925-2348 0120-172348  FAX:053-925-5339


 船明ダムは夜間は保安上の理由でライトアップされています。特に冬は空気が澄んでいて美しい船明ダムの夜景をみることができます。


 また春先には左岸側一帯に桜が植えられており、至るところで桜を楽しむことができます。


 天竜川最下流のダムである船明ダムは数多くの課題を通じて土木技術を高め、今でも安全に運用するための工事を行っています。また地域の人々は船明ダムと共に暮らし、天竜川の恵みを享受していることを現地取材を通して感じました。この記事をお読みになった方に一人でも多く、船明ダムを作られた方々や現在も維持管理、工事に奮闘される職員さんの水に対する思いが伝われば幸いです。

(2017年1月作成)


→ ダム便覧の説明
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