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ダム番号:1762
 
志津見ダム [島根県](しつみ)


11/09
ダム写真

(撮影:cantam)
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どんなダム
 
堤頂構造を簡素化
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常用洪水吐はダム管理の簡素化と維持管理費用の縮減を目的として、自然調節方式(ゲートレス)とし、一方、非常用洪水吐きは自由越流頂構造に。自由越流頂構造の場合通常は、非常用洪水吐の上に橋を架けて天端道路とする構造が多いが、自然越流頂を道路として使う構造になっている。橋を架ける必要がなく、構造が簡素化され、建設コストの縮減にもなる。
[写真]橋を省略
人気の「願い石にメッセージを書こう」
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インフォメーションブースでは、ケースの中の「願い石」にメッセージを自由に記入してもらっているが、これが人気だそうだ。願い石は平成18年の春から打設を開始する志津見ダムのコンクリート材料に使用される。堤体の一部になるということか。
[写真](撮影:灰エース)
ダム湖は「志津見湖」
___ 2009年11月に地元住民、学識経験者、行政関係者で構成する湖名選考委員会を設置。一般公募で県内外から寄せられた案を参考に、委員会内で選考。2010年9月に結果を発表。志津見湖は水没する地区名に由来。
シリーズ ダム百選 投票から
第 1 回  『 もう1度行きたいダム 』
■ 建設工事中に見学させて頂き、感動しました。今年秋に試験湛水開始しますので、湖底の現状を記録するために伺いたいと思っています。 (31〜40歳 男)
テーマページ 洪水吐き拾弐景 《第七景》 志津見ダムの堤頂道路兼用型
ダムツーリング -史上最大の作戦・第二次九州/中国地方-
このごろ 志津見ダムの試験放流
左岸所在 島根県飯石郡飯南町角井  [Yahoo地図] [DamMaps] [お好みダムサーチ]
位置
北緯35度10分12秒,東経132度40分48秒   (→位置データの変遷

河川 斐伊川水系神戸川
目的/型式 FNIP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 81m/266m/416千m3
流域面積/湛水面積 213.8km2 ( 全て直接流域 ) /230ha
総貯水容量/有効貯水容量 50600千m3/46600千m3
ダム事業者 中国地方整備局
本体施工者 大林組・青木あすなろ建設・大豊建設
着手/竣工 1983/2011
ダム湖名 志津見湖 (しつみこ)
ランダム情報 【水特法関係】志津見、水没総面積:257ha、水没戸数:78戸、水没農地面積:60ha、ダム等の指定年月日:S62.3.20、水源地域指定年月日:H3.2.8、整備計画の決定年月日:H3.3.12
【コンクリートダムの工法】拡張レヤ工法
【ダム工事年表】仮排水路(2001.12〜2004.3) 本体掘削(2004.10〜2006.3) 
【ダムカード配布情報】H29.4.1現在 (国交省資料より作成、情報が古いなどの場合がありますので、事前に現地管理所などに問い合わせるのが確実です) Ver2.0
○志津見ダム管理支所 9:00〜17:00(土・日・祝日を含む)
ダムカード画像コレクション
志津見ダム Ver.1.0 (2011.08)
[協力:X-DAM]
志津見ダム Ver.2.0 (2015.06)
[協力:tani]
リンク Dam's room・志津見ダム
THE SIDE WAY・志津見ダム
ダムニュース/ダムの永久堅固を願い志津見ダム定礎式を挙行(ダム技術センター)
ダムニュース/志津見ダム「満水位(サーチャージ水位)」到達(ダム技術センター)
ダムニュース/志津見ダム仮排水路転流式 (ダム技術センター)
ダムニュース/志津見ダム完成(ダム技術センター)
ダムニュース/志津見ダム本体工事起工式(ダム技術センター)
ダムマニア・志津見ダム
ダム好きさん【志津見ダム】
ダム工事総括管理技術者会ホームページ・志津見ダム
ひろしのダム発電所見学記・志津見ダム
吉備の国 風景撮物帳・志津見ダム
雀の社会科見学帖・志津見ダム 見学 その1
斐伊川・神戸川総合開発工事事務所(国土交通省中国地方整備局斐伊川・神戸川総合開発工事事務所)
参考資料
■志津見ダムにおける水源地域活性化対策について 中国地方建設局斐伊川・神戸川総合開発工事事務所長 安部友則
【第43回水源地問題実務講習会(H08.03.05)】
■志津見ダムにおける水源地域活性化対策について / 安部友則
【ダム日本 No.618(H8.4)】
関連書籍 ■建設省中国地方建設局島根県・頓原町 『志都美の徑』 建設省中国地方建設局島根県・頓原町 1993
諸元等データの変遷 【06最終→07当初】河川名[神戸川→東谷川]
【07当初→07最終】河川名[東谷川→神戸川]
【07最終→08当初】目的[FNI→FNIP]
【08最終→09当初】堤高[85.5→86]
【09当初→09最終】水系名[神戸川→斐伊川] 堤高[86→85.5]
【09最終→10当初】堤高[85.5→81] 堤体積[432→416]
【12最終→13当初】本体施工者[大林・青木あすなろ・大豊→大林組・青木あすなろ建設・大豊建設]
【13当初→13最終】竣工[2010→2011]

■ このごろ → このごろ目次
志津見ダムの試験放流

 
2011.3.30 その日私は世紀のショーを見るために島根県東部、飯南町の志津見ダムサイトに来た。この日、志津見ダムで行われている試験湛水でダム湖の水が溢れそうだ(試験放流が始まる)というのを聞きつけて、馳せ参じたのだ。放流の期間は一般的に24時間程度と聞かされたことがあったが、念のため事務所に確認するとこちらでも計画では24時間程度だということだった。
ダムのてっぺんから水が流れ落ちてくる光景、それも85.5mの高さから、堤体下流面全体を使ってナメ滝のように静かに滑り落ちる光景を眺めることが出来るのはたった一日のチャンスなのだ。

さらに、運用が始まってしまえば、てっぺんから自然越流するのは150年に一度の確率と言われており、今後この光景を拝めるのは不可能に近い、まさに一日限りの世紀のショーなのだ。2009.9.10、堤体がほぼ完成していた志津見ダムサイトを訪れて以来、私は、是非ともこの場に居たいという淡い希望を抱いていた。それから約一年半、私は運よくこの場に居合わせることが出来ている。


しかし正味のところは、ビールのジョッキから泡がこぼれてくるような単純なお話であり、それを見るために何日も前からそわそわと心の準備をして、往復500km以上もある場所へ、諸経費1万円以上掛けて行く必然性を、家人のような凡人というか常識人に説明するのは非常に困難だ。
それが「キャンディーズ一夜限りの再結成」などという話であれば馳せ参じる心情は理解もされやすかろうが、ダムの放流では残念ながら理解は得られにくいのが現状である。


志津見ダムというのは一見異様な姿に見て取れる。一般的なコンクリートダムとは違い、天端橋梁は廃止されダムの最上部にクレストゲートなる穴・もしくはゲートの類がない。天端そのものが非常洪水吐きを兼ねているという形式だ。小規模な堤体であればこのようなものは見たことがあるが、堤高85.5mという大規模なダムを私は見たことがない。

堤体そのものは白っぽい色であり、堤体下流面に取り付けられた水位維持用の放流口が二つ。下流側から堤体を見れば、眉が二つ、つぶらな目が二つ、獅子鼻のような突起が二つに長い鼻の穴が二つ、どういう意図のデザインかは知らないが、「まだらの化粧をした愛嬌のあるヤツ」的な顔に見える。


私の車は上流からダムサイトに近づいた、見え隠れするダム湖の水位はこれが最高水位であるということを知らせるように満々と貯められており、それを興味深く眺め撮影をしている地元の人たちの姿も少なくなかった。
そして実際にその場に到着して放流が見えたとき、思わず「おおぉ〜」と感嘆の声を上げてしまった。独特の水紋を描きながら、静かに流れ落ちていく水の姿は、しばし時間を忘れて見入ってしまうに十分な光景だった。


下流側から上流に向けて左岸を歩いていくと、立派な管理事務所がある。通常はそのあたりから天端へ入って水の流れを真上から見ることになるのだが、さすがに天端は冠水して沈下橋のような状態になっているので立ち入るのはムリだ。どうぞといわれても私は遠慮する。さらにダム湖そばの広場まで進んでみると、地元の老若男女&ペットが満々とたたえられたダム湖を眺めていた。それぞれの人にそれぞれの感慨があるのだろうと察しながら、立ち去った。


気がつくと、約1時間40分ほどダムサイトにいたようだ。今回は堤体下流面全体を使った「大泣き」の光景で、中位にある水位維持用常用洪水吐きからの鼻水放流は見ることが出来なかった。試験放流が終わる頃にはここからも水が流されるのかもしれないが、それまで待っているわけにもいかなかった。この鼻水放流であれば、今後比較的簡単に見ることが出来るだろう。

ダムの必要性とか意義などという堅い話はさておき、私としてはダム放流の人工美をぜひとも多くの方に堪能していただきたいと思っている。同じく水が流れ落ちてくる自然美の滝もすばらしいが、ダムの放流も息を呑んで見入ってしまう光景だ。そして私はこのあと、近所にある日本の滝百選「八重滝&竜頭が滝」の雪融けの姿を眺めに行った。

(H23.3.31、cantam)


■ テーマページ → テーマページ目次

洪水吐き拾弐景
《第七景》 志津見ダムの堤頂道路兼用型

解説:箱石 憲昭
写真提供:(株)大林組

下流面から見ると変わった顔つきをしている志津見ダム。天端橋梁がない。非常用洪水吐きに、これまでにない堤頂道路兼用型の越流頂が採用されているからである。道路橋として必要な高欄高さを確保した、車両が通行可能な特殊な形の越流頂となっている。設計越流水深は3.3mであり、ダム設計洪水流量流下時には厚さ約3mの水脈がこの越流頂を流れていくこととなる。採用にあたっては、土木研究所で様々な形状についての水理模型実験が行われ、基準を超える負圧が発生しない形状が求められ、放流能力が確認されている。

天端付近にある角のような構造物は、常用洪水吐きの吐口が越流水で覆われないように、水脈を分断するためのものである。志津見ダムの常用洪水吐きは高圧部分管路型となっており、堤体内の開水路を高速で流れ下る水脈に空気を供給するため空気管が設置される。通常その入口は天端橋梁のピアなど堤体下流面の非越流部に配置される。しかし、志津見ダムでは天端のほぼ全幅が越流頂であり、越流時には堤体下流面のほとんどが水で覆われてしまう。そこで、この構造物を利用して空気管の入口を配置している。この構造物の形状も、多くの形状の水理模型実験の結果見出されたものである。


(これは、「月刊ダム日本」からの転載です。)
(平成27年10月作成)


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