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沈堕ダム
(ちんだ)

ダム写真

(撮影:夜雀)
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 沈堕ダムは高さ5.5m、ダムと言うよりは取水堰。取水された水は、3km下流の沈堕発電所まで運ばれる。前面が沈堕の滝と呼ばれる滝になっていて、ちょっと見ると滝だが、よく見ると背後にダムがある。滝の高さは水面から20m。
 沈堕ダムは沈堕発電所の取水堰として建設された。建設当時高さが4.9mだったようだ。沈堕発電所は、大分〜別府間を走る電車の動力源として豊後電気鉄道株式会社が建設。1909年(明治42年)に竣工。その後、大正12年に3km下流に新しい沈堕発電所が建設され、明治の発電所の建物は沈堕ダムの近くに外壁だけの姿を残している。
 室町時代に雪舟がこの地を訪れ、「鎮田瀑図」を描いているという。その滝は長年、岩盤の崩落をくり返し、上流に移動した。ダムに近接してきたため、ダムを管理している九州電力では平成10年、岩盤の崩落防止対策を実施した。滝の壁面にロックボルトを打込んで補強、河床は根固め工により洗掘を防止、ダム下流のエプロン部も補強。あわせて自然石や擬石を施して沈堕の滝の特徴であった11条の落水を再現した。
テーマページ Let's visit a historical dam  file.10  沈堕ダム 「100年経っても働くために」
このごろ wDNレポート(3)〜100年たっても働く為に・沈堕ダム
所在地 大分県豊後大野市大野町矢田 [地図]
諸元等 河川:大野川水系大野川
目的:P
堤高:5.5m
堤頂長:115m
完成:1909年
リンク 沈堕ダム(社団法人日本土木工業協会)
雀の社会科見学帖・沈堕ダム 見学 その1
THE SIDE WAY・沈堕ダム
協力者 夜雀(雀の社会科見学帖

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Let's visit a historical dam 
file.10 
沈堕ダム 「100年経っても働くために」

by  『雀の社会科見学帖』 夜雀

所在地: 大分県豊後大野市大野町矢田
竣工年: 1909年
目的: 発電



大分県は豊後大野市にある名勝・沈堕の滝。ここには明治42年に造られ、今もなお働き続けている素晴らしい発電用取水堰堤があります。


 


下流から眺める沈堕の滝です。
高さは約28m、幅は約110mという名瀑です。

 


その沈堕の滝の直上流にあるのが沈堕ダムです。
水しぶきを上げる滝の上にまっすぐな水面が見えています。
堤高は5.5m、堤頂長は114.9mあります。

 


沈堕ダムの左岸下流には公園と散策路が整備されていました。
旧・沈堕発電所の遺構の上を通って沈堕ダムの近くまで行けるようになっています。

 


現在は発電所は遺構として残っています。
現役の沈堕発電所は数km下流に新しく造られており、沈堕ダムで取水された水はそこまで届けられています。

 


散策路の終点まで来るとこのような姿が見られます。
沈堕ダムは平成10年に大規模な補強工事が行われたダムです。

ここ、沈堕ダムがある付近の大野川の河床は、柱状節理、水平節理が発達した溶結凝灰岩できています。

この滝はこれまで大規模出水の度に崩壊を繰り返してきました。
沈堕の滝は大昔はずっとずっと下流にあったのです。

沈堕堰堤と発電所が作られた明治42年当時より滝はずっと上流に移動しています。

沈堕ダムを管理している九州電力は滝の崩壊によるダム決壊を防ぎ、沈堕の滝の景観を守るというプロジェクトを立ち上げました。


 


九州電力に見学を申請し沈堕ダムの横にある取水設備から見せて頂きました。
上から見るとダムと滝の近さに驚きます。



川幅いっぱいに延びるダムを超える水は、石積の表面を超える時に優しい表情に変わります。

エプロンを走る水は配置された擬岩や自然石で平坦になることなく滝に向かいます。
そして大きな擬岩で、500年前に雪舟がこの地を訪れた時に描いたという「沈堕爆図」の11条の滝が再現されました。

滝は700本にも及ぶロックボルトモルタル吹付で強固になりました。
ダムエプロンは鉄筋コンクリートでしっかりと固められました。
崩壊の基になる滝つぼ付近の基礎は根固工で守られました。

ここを訪れた人がその美しい姿に思わず足を止めて見入ってしまうような郷土の自慢になる素敵な風景ができました。

  地域の人たちに愛されるダムでありたい

  そして先人が造ったものを大切にしたい

  100年経ってもまだまだずっと

そんな気持ちがこの素敵な風景から伝わってきます。

大野川には日本一美しいといわれる白水堰堤もありますが、この沈堕ダムも素晴らしいダムとしてたくさんの方に見て頂きたい名堤体です。

(2010年11月作成)



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wDNレポート(3)〜100年たっても働く為に・沈堕ダム

 
with Dam☆Night 第一夜(10月25日)の「ダム歴史的構造物」では、「雀の社会科見学帖」の夜雀さんが「ダム史年表の備考欄」と題して講演。いつもながらの全国をくまなく回った事例報告、ダムへの愛にあふれる語り。


「日本で一番古いダム」、「日本で最初の発電用堤体」、「黎明期の役割ハイブリッド」・・・と続き、最後は「100年たっても働く為に」。これは、大分県豊後大野市の沈堕ダムの話。


沈堕の滝、背後のダムが分かるだろうか

沈堕ダムは高さ5.5m、幅115m、ダムと言うよりは取水堰。取水された水は、3km下流の沈堕発電所まで運ばれる。前面が滝になっていて、ちょっと見ると滝に見えるが、よく見ると背後にダムがある。滝の高さは水面から20m。

沈堕ダムとその全面の沈堕の滝には歴史がある。水墨画の天才といわれる雪舟も室町時代にこの地を訪れ、「鎮田瀑図」を描いているという。その滝は長年、岩盤の崩落をくり返し、上流に移動した。150年ほど前には、滝は今より240メートル下流にあったらしい。

沈堕発電所は、大分〜別府間を走る電車の動力源として豊後電気鉄道株式会社が建設。1909年(明治42年)に竣工。竣工時には500kwの発電機を2台備えていたが、大正2年にはもう1台増設。その取水堰として建設されたのが沈堕ダムで、建設当時は高さが4.9mだったようだ。その後、大正12年に3km下流に新しい沈堕発電所が建設され、明治の発電所の建物は沈堕ダムの近くに外壁だけの姿を残している。

滝が時とともに上流に移動し、ダムに近接してきたため、ダムを管理している九州電力では平成10年、岩盤の崩落防止対策を実施した。滝の壁面にロックボルトを打込んで補強、河床は根固め工により洗掘を防止、ダム下流のエプロン部も補強。あわせて自然石や擬石を施して沈堕の滝の特徴であった11条の落水を再現。

こうして、ダムも守られ、滝も守られ、人の英知と努力で100年たった今でもダムは働き続けている。


一段高いところで越流しているのがダム


ダムの直ぐ下流に滝が迫る、滝の岩盤崩落防止対策が施された

(2010.11.9、Jny)

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