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■まずは、説明を受ける

 「温井ダム体感ツアー」には定員いっぱいの40名が参加、参加者の中には家族で参加された方もいて子どもさんも数名いました。温井ダム管理所前で受け付けしてヘルメットを貸してもらい、40人が一度にダムの中に入ると狭いので、20人ずつ二つの班に分けて、交互にダムの中を見学することに、そして、私の班は後でダムの見学をすることになり、先に資料館で温井ダムの概要や役割を管理所の職員さんが説明してくれました。
 温井ダムの概要の説明では・・・まず主要なダムの形式として、フィルダム重力式コンクリートダム、そして温井ダムが採用しているアーチダムがあります。これは基礎岩盤の強さなどでどの形式にするか決められるそうです。アーチダムはコンクリートの量を節約できるかわりに強固な岩盤が必要です。また、フィルダムや重力式コンクリートダムは、ダム自体の重さで水の圧力を支えていますが、アーチダムはダムを曲面として、水の圧力を両岸の岩盤に分散して、岩盤が支える構造になっているそうで、そのため岩盤の強度が必要になります。


資料館で管理所の職員さんの説明を聞いて勉強しました。
 平らな板を押せばすぐに曲がるけど、曲面になっている板は少々の力では曲がらない、この効果をダムに応用しているのがアーチダムです。職員さんが資料館に置いてある平らな板とアーチ形の板を実際に手で押してみて、アーチ形の板はなかなか変形しないことを説明してくれました。参加者も押してみて平らな板より強いことを確かめていました。

 アーチダムでは黒部ダムに次いで国内第2位の規模、国土交通省が管理するダムでは最大規模のダムという説明もありました。

 温井ダムの役割として、利水と治水があります。利水では広島都市圏のみずがめの役割や、常に放流して河川にいつも水が流れるようにする役割、その放流水の落差を利用して発電を行う役割などがあります。実際に温井ダムが無いと広島都市圏で取水制限を行わないといけないほどの渇水があったそうですが、温井ダムの水を放流したため、取水制限を回避することができたそうです。

 通常の放流は、選択式取水設備から、最も放流に適した水温・水質の水を選んで放流しているそうで、普通の川と同じ状態になるようにしているそうです。なお、この選択式取水設備は取水できる水深の幅が国内最大です。

 治水としての役割では、今まで、常用洪水吐(じょうようこうずいばき・コンジットゲート)を使った本格的な洪水調整は行っていなかったそうですが、今年、台風18号が上陸したとき初めて常用洪水吐からの放流を伴う本格的な洪水調整を行ったそうです。この台風18号ですが、広島で瞬間最大風速60.2mを記録し、大きな被害が出た台風です。

 ここで、職員さんが・・・「放流といっても、100流れ込んだら、そのまま100流す訳ではありません・・100流れ込んだら30くらいを流して、残りを貯水池に貯めます。これによって、下流の水位を下げる効果があります」・・・とコメントされました。実際には、温井ダムに最大で毎秒629立方メートルの水が流入しましたが、温井ダムからの放流は最大で毎秒276立方メートルだったそうです。温井ダムの水位は約4m上昇しましたが、この程度の洪水なら十分余裕があるとのことです。

 一方で、ダムにも限界があり、想定外の洪水が起きた場合は最上部のクレストゲート非常用洪水吐(ひじょうようこうずいばき))から放流することになるそうです・・ただ、温井ダムを設計するとき、気象台の記録などを吟味し、記録にある最大級の水害にも対処できるように設計してあるそうです。ちなみに、参加者からクレストゲートを使ったことはあるのですかといった質問がありましたが、「クレストゲートは試験放流の時しか使っていません」とのコメント・・すると参加者の中から「試験放流見に来ましたよ」って話をされる方もいらっしゃいました。


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