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◇ 8. 土師野尾ダム(東大川水系楠原川) の建設

 東大川は八天岳(標高296.7m)付近にその源を発し、新川、今村川等の支川を合わせて北流し、諌早市貝津町を経て大村湾に注ぐ。流路延長8q、流域面積21.2km2であり、楠原川は東大川の左支川で基盤の辻(標高260m)にその源を発し、北東に流下してダム地点下流約700m付近で東大川と合流する。

 土師野尾ダムは昭和61年東大川水系左支川楠原川の諌早市土師野尾町地先に多目的ダムとして建設された。長崎県諌早土木事務所編・発行『土師野尾ダム工事誌』(昭和62年)によれば、このダムは3つの目的を持っている。

1)洪水調節
 洪水調節容量30万m3を利用し、ダム地点の計画高水流量85m3/sのうち60m3/sの洪水調節を行い、ダム下流の災害を防除する。

2)流水の正常な機能の維持
 利水容量75万m3のうち不特定容量3万m3を利用して、ダム地点下流の既得用水の補給等、流水の正常な機能の維持をはかる。

3)水道用水
 利水容量75万m3のうち、72万m3を利用し、水道用水として1日0.8万m3を平山地点において取水可能ならしめる。


『土師野尾ダム工事誌』
 土師野尾ダムの諸元は、堤高31.5m、堤頂長160m、堤体積3.8万m3、総貯水容量109万m3、型式重力式コンクリートダムである。

 起業者は長崎県、施工者は清水建設で、事業費は66.4億円を要した。なお、費用割振は河川費64%、上水道費36%となっている。
 用地補償関係は土地取得面積宅地452m2、田547a、畑16a、山林・原野2,300aで、公共補償では付替市道、林道、付替橋梁が行われた。

 土師野尾ダムは昭和61年完成以来、22年が経過し、その間、諌早市の水害を減災し、市民に水道を供給し、諌早の発展に貢献している。



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