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NPO法人 J-heritage 主催
〜宇治川ヘリテージ2011参加レポート〜

 これは、ダムマイスターのKIYOTAKA様の投稿です。2011年8月8日に行われたNPO法人 J-heritage 主催「宇治川ヘリテージ2011」の様子です。
 
2011年8月8日、NPO法人 J-heritageが開催するイベントがあり、講師としてダムマイスターの夜雀さんが参加されるとの情報を受け、早速私も会員に登録、有給休暇を確保して参加してきました。

平等院と源氏物語で有名な宇治市は古くから大阪、京都、奈良から滋賀に至る交通の要衝として重要な位置付けであり琵琶湖から宇治川の流れを擁し大正時代より五大電力会社の一つ「宇治川電気」によって水力発電で栄えた街です。

戦後には生活用水・治水・発電を目的とした天ヶ瀬ダムが建造され、現在も宇治は人と水・エネルギーとの営みが続けられています。

 そんな宇治川水域にあるダム・発電所・近代化遺産を巡ることで、過去と現在を「線」で知り、また、それら施設で働かれている方々の「声」を聞くことで社会の仕組みを学習するのが本イベントの目的です。

【見学コース】
@JR宇治駅集合→A天ケ瀬ダム→B天ケ瀬森林公園で昼食
→C関西電力天ケ瀬発電所→D天ケ瀬ダム減勢池→E旧・志津川発電所
→F宇治発電所→G宇治川電気の碑を見る→JR宇治駅解散


 天ケ瀬ダムと天ケ瀬発電所、宇治発電所は、市街地に近い場所に有ります。
今回のツアーはこれらの施設を徒歩で巡り、じっくり見学します。
因みに、琵琶湖から流れ出る瀬田川は滋賀県では京都府に入って宇治川、大阪府境で木津川、桂川と合流し淀川と名称を変え大阪湾に至ります。

集合場所のJR宇治駅にて、「おはようございます!」とピースサインでハイテンションの夜雀さん。
炎天下を丸1日歩くので飲み物を多めに調達し、受付を済ませ出発です。


出発して10分少々ですが、すでに暑さで心が折れてしまったダムマイスター「さんちゃん」。ダムマイスターは私を含め3名が参加しました。

一方、宇治川のほとりを颯爽と歩くメンバー。年齢層も老若男女問わず幅広いもので、17名が参加しています。丁度、ここの対岸は平等院です。


宇治川右岸の次第に鬱蒼としてきた道を抜けると・・・


天ヶ瀬ダムと旧・志津川発電所が見えてきました。


まずは、天ケ瀬ダム管理支所にやってきました。英文の看板が格好いい。


会議室で天ケ瀬ダムについての一般的な説明を受けます。
途中で所長さんからのサプライズが。昨年11月に関西電力天ケ瀬発電所の点検に伴う水位の上昇でクレストゲート操作試験を行ったのです。
放流時の記録映像を見せて頂きました。「おお〜」「うぉおお〜、何で事前に教えてくれへんのや?」と歓声が上がる。運用開始後、初めて開けたそうです。



事前にお知らせなどをしなかった理由は、天ケ瀬ダムの近辺に駐車場がほとんど無いため、大勢が押し寄せたら大変だからという判断です。でもハイキングで来ておられた方が地元の新聞に投稿してローカルニュースになっていました。

天端へ移動して、予備ゲート機械室を見学。


巡視艇3艘が揃い踏み、乗せてくれたら・・・と期待しましたが、さすがに無理でした。
左端は天ケ瀬ダム名物のホバークラフト「かわせみ号」です。格好良いのですが操作に高度な技術を要するとお聞きしました。


コンジット予備ゲートの真上、高圧キャタピラゲート。


ダム右岸の階段を登って天ケ瀬森林公園へ移動、素晴らしい眺望を堪能しながら昼食です。
ドーム型アーチの薄い堤体が良く分かります。


お腹も落ち着いた所で「夜雀さん」のダム解説タイム。ここは地元関西のダム、流石に手馴れたものです。


ダム下流左岸の関西電力天ケ瀬発電所へ移動です。
この発電所の特徴はデリア水車という珍しい斜流可動羽根水車を持っている事です。2基で92,000kwの認可出力を有します。フランシスともカプランとも違います。


関電の方に発電所の説明をして頂き、電気事情が厳しい中で一生懸命に回転する発電機も見学させてもらいました。(発電所は撮影禁止)


仰ぎ見る。このオーバーハングこそ、ドーム型アーチダム


近くで見ると迫力のコンジット高圧ローラーゲート3門。


ダムをすっかり堪能した後、旧・志津川発電所(現:ニュージェック水理研究所)の裏山を登って行きます。ここには旧・志津川発電所の遺構が残されています。


暫くすると、こんな階段が。巨大な穴はかつて水圧鉄管が通っていたようです。


道を外れて、蜘蛛の巣を払いながら廃墟探検。あまりに神秘的で声が出ません。


大正13年にしては、綺麗なコンクリートの鉄管サドル。昭和39年、天ヶ瀬ダムが完成し、取水設備が水没したためその役目を終えました。
この穴を潜りながら上へ上へ登って行きます。子供のように胸躍る。


リベットの跡が、コンクリートの内壁に残っていたりします・・・。


やっと山を登りきると、上部調整池があります。以前は赤く錆びたところにゲートが嵌まっていました。


そして最後、下流に移動して宇治発電所へ。大正2年に発電を開始し、今もって現役です。5基のフランシス水車で32,500kWの認可出力。


それにしても、夏の青空に赤レンガが映えます。内部は撮影禁止。


放流口の角落し、運搬用レールの構造は旧・志津川発電所と共通です。


最後に、宇治川電気の碑をみんなで拝見しました。


宇治発電所の放流口、以上で見学は終了です。


皆様、お疲れ様でした。帰りがけ、疲れた体に糖分補給するため、皆でJR宇治駅近くの「京都宇治創業150年 中村藤吉本店」へ。抹茶ゼリー派が多いようでしたが、私は抹茶のかき氷で体を冷却。


最後に、今回のイベントにあたっては事前準備、現地調査や折衝、当日は気温35℃前後の猛暑の中で案内役として多大なご苦労を頂いたJ-heritageの前畑様に改めまして御礼申し上げます。
普段見られない施設を見学し、ダムや発電所の中の人にお話を伺って大変勉強になりました。
また機会がありましたら、よろしくお願い致します。

[関連ダム]  天ヶ瀬ダム(元)
(2011年8月作成)
ご意見、ご感想、情報提供などがございましたら、 までお願いします。
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