《このごろ》
ダムガール・南保 理沙子さんのダムの日本画を観てきた。

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10月28日から30日にかけて、女子美術大学で学園祭が行われていました。
そこでは、ダム好きな現役女子大生のダムの日本画作品が展…いやいや、
ここはハッキリと言わせてもらいます!
ダムガールの画いたダムの日本画が展示されていました!
詳細はこちらをご覧下さい。


会場は私の自宅から車で15分。近い!
しかも、「山口さんは会場に近いし、観てきてレポート書いちゃってよ♪」という指令を日本ダム協会のjnyさまより頂戴しております。
会場に近いというだけでレポーターに抜擢された感がありありですが、ボク頑張ります!
個人的にも美術の世界をぜひ堪能したいと思いました。

ダム愛好家さまのダム愛表現法は実に様々です。
・語る・活字にする・写真を撮る・謡う・カレーを施工する
・イベントを開催する・ケ○ロ軍曹を使う・擬人化する・オレ流…などなどなど。
ひとつひとつにダムへの愛情を感じ、素晴らしく思います。
そんな中で、日本画でダムを画くという表現方法は始めてのような気がします。
その想いとはどんなものか?とても気になります。

それでは、会場に向かってみましょう!
各会場では専攻するジャンルや学年別にわかれ、渾身の力作が多数展示されていました。


感性の豊かさ、意外性、美しさ、独創性。
ダムの日本画を観るという本来の目的をしばし忘れ、じっくりと観賞します。
どの作品にも個性や魅力が満ち溢れ、作者の想いがひしひしと伝わってきます。
そして、力作が揃いの中、埼玉県・間瀬ダムの日本画が展示されていました。


狭い通路に迫力の間瀬ダム。
「本当はもっと広い場所で、作品から距離をおいて観てほしかったのですが…」
後談で南保さんは話されていましたが、作品の展示場所は会場の入り口付近。
展示会場の「顔」の配置なのでとても目立ちます。
通路の狭さと作品の大きさも効果的に迫力感を演出しています。
作品を正面から観てみます。


通路が狭く、カメラの画角に収まりきれませんでした…。
大きな作品なので、大袈裟ではなく、本物のダムを観ているような錯覚を覚えます。
また、使われている絵具のザラザラした質感も印象的でした。
絵具は厚く塗られてたり、薄く塗られていたり、ところどころ隆起している箇所があり、絵具の色合いや濃淡と相成り、作品に立体感を与えているように思いました。


自主展示会場へ移動します。
こちらでは、南保さんのスペースであるグランジシスターの自主展示が行われています。
南保さんはこちらに居られるとのことです。
お話しをする前に、こちらにもダムの日本画が展示されていますので、まずは作品を観てみたいと思います。

作品「FACE」

ダム好きの皆さまなら、静岡県の長島ダムのゲート部だとお分かりですよね!
ゲート部分を顔として見てみると、たしかに面白い。

作品「雨霧」

群馬県の下久保ダム。2008年6月に行われた点検放流時の情景と思われます。
当時、天気は雨で周囲に霧がかかっていました。
とても幻想的な作品。

作品「あかり」

北海道の笹流ダム。ダムをモチーフとしながらも、ダムを意識させない作品でした。
ダムの日本画の中で、作者のダムを観る視点が一番表現している作品と思いました。

ダムの日本画のほかにも、印象深い作品が数点展示されています。


そして、作品のポストカード(1枚100円)も販売されていました。


ダムの日本画を中心に、ポストカードを4枚ほど購入しました。
帰宅後、じっくりポストカードを見てみようと思っていましたが、
一緒に来場した相方のお気に入りとなり、すべて奪われてしまいました。
1枚くらい残してくれたっていいのにさ…。(涙)


作品も拝見したので、いよいよ南保さんにインタビューを試みようと思います。
日本ダム協会の中野さんのように、上手にインタビューできるかどうか…。(汗)


自己紹介をお願いします
山口: はじめまして。ダムマイスターの山口と申します。本日はどうかよろしくお願い致します。(中野さん調)
南保: 女子美術大学日本画3年の南保理沙子と申します。宜しくお願い致します。

日本画に興味を持った理由
山口: 日本画を専攻とのことですが、日本画に興味を持たれたのはいつ頃ですか?
南保: 高校が美術系で、専攻に日本画や油絵などがありまして、その時に興味を持ちました。そして日本画専攻に入って、大学の方も日本画専攻を選びました。

ダムに興味を持った理由
山口: ダムに興味を持たれたのはいつ頃からですか?
南保: 高校1年生のときです。内容が面白いのでよく見てたサイトがあるのですが、その運営者の方が「ダムがすごいぞ!」と急に言い始めて…。
それで、ダムって何だろう?と思いまして、日本ダム協会さんのダム便覧を見に行ったら、天ヶ瀬ダムの写真がトップ画面にありまして。なんだこのデザインは!と驚きまして、
それからダムの世界にどんどんと引き込まれていきました。

南保さんの訪問してきたダム
山口: 今まで何基くらいダムを見てこられましたか?
南保: 30基くらいです。
山口: 作品に笹流ダムがありますが、やはり一番遠方だと北海道まで行かれたのですか?
南保: そうですね。家族で北海道に旅行した際に行ってきました。他には広島県の温井ダムが遠かったです。今まで訪問してきたのは、神奈川県では宮ヶ瀬ダムと石小屋ダム、埼玉県では浦山ダム・滝沢ダム・二瀬ダム・有間ダム・玉淀ダム、栃木県では五十里ダム・川治ダム・川俣ダム・建設中の湯西川ダムなどがあります。

ダム巡りの交通手段、足が遠くなる理由
山口: ダム巡りをする際の交通手段は?
南保: 電車とバスで行きます。車が運転できないので群馬県のダムに行けなくて…。
山口: 私は車を運転できますが、栃木県と茨城県が未開の地です。
南保: えっ!そうなんですか!?
山口: 近場ですけど、栃木県と茨城県はなんとなく行けてません…。
南保: 茨城県のダムはサイズが小ぶりなのが多いので後回しにしちゃうってところありますよね。まず大きいダムを攻めたい!という気持ちがあります。
山口: 南保さんって、わりとミーハーな感じですか?
南保: ミーハーと言えばミーハーですね!

日本画の絵具
山口: 日本画でダムを画こうと思われた理由は何なのでしょう?
南保: そうですね。日本画は絵の具がけっこう荒いものが多くて、石を砕いて絵の具を作っています。その粒の形がコンクリートっぽいなと思いましたので、ダムに合うかなと思って画いてみました。


南保: あ、触ってもらって大丈夫です。ザラザラしているのがわかりますか?
山口: おー!この色は自然のものなのですか?
南保: 自然のものだったり、化学反応をおこして青くしたり黒く着色したりします。
最近は人工の絵の具が多いです。
山口: 砕いた石を着色するのではなく、化学反応の着色するのですか?
南保: そうですね、ガーネットとかエメラルドとかわかりますか?
山口: はい。(本当はわかってない)
南保: 基本的に輝石を作る方式だとか、化学式を作るのと同じで色ができます。
ガラス質フリットという、もとは七宝などで使われていたガラスに、様々な金属酸化物を加え高温で熱し、冷やすことで色のついた岩絵具が出来ます。その他に、無色の石を染めたものもあります。少し難しいですね。
山口: なるほど、ではご自身で砕いた石を化学反応させて色を作るのですか?
南保: それは絵具屋さんがありますので、主に購入しますが、イメージした色がないときは自分で色を作ったりもします。

ダムに対する想い
山口: ダムに対する想いみたいなのはありますか?
南保: 私がダムに興味を持った一番の理由は自然に還り行く重みというものをすごく感じまして、古いダムが好きなんですね。苔むしているとか、黒ずんでいるとか、そういった時間の変化みたいなものが、すごく魅力的だなと感じました。
山口: 新しいダムよりも古いダム、今回の展示作品の間瀬ダムは歴史がありますよね。
南保: やっぱり、戦前に造られたダムの方が好きですね。ただ、長島ダムとか温井ダムとか、新しいダムでもデザインがかっこいいものは好きです。

笹流ダムの柵について
山口: 私、笹流ダムに行ったことないのですが、どうでしたか?
南保: 何というか、ほんとにバットレスなだけあって、ゴシックな感じです。


山口: ここって中に入れるのですか?
南保: あ、この中に入れます!
山口: ダム便覧で見ると、入っちゃだめ的な柵があるように見えたのですけど。
南保: そう、柵があるんですけど、ほんと小さくて、所々空いてるんですよ!こう、入ってくださいみたいな。なので、そこから入ってほーっと眺めました。
山口: ダム便覧の写真を見ると、ほんと神殿みたいですものね。
南保: はい。

工場にも興味がある
山口: ダム以外にも作品がありますが、こちらは。
南保: 「ダム以外にも工場とか好きで、頻度はそんなにないのですが、見るとかっこいいなと感じます。

南保さんの所属する「グランジシスター」


山口: 南保さんの所属されているグランジシスターのメンバーは何名なのですか?
南保: あ、わたし一人です。なんか(営業するには)団体名出さないといけなくて…。
山口: 団体名の意味などはあるのですか?
南保: もう解散していますが、好きなバンドの楽曲名からとりました。

作品「FACE」のシリーズ化をしていきたい。
南保: ゲート部のアップって面白いです。これをちょっとシリーズ化してみたいなと思っています。
山口: 顔(ゲート部)のアップって面白いですね。
南保: 本当は背面らしいのですが…。


山口: ここだけ見るとマシーンみたいですものね。
南保: …ガシャーン!って動きそうですよね!
山口: ガシャーン!って動き出しそうですよね。ほんとそうですよね!
南保: 長島ダムを訪問したときはほんとビックリしました!
山口: 長島ダムのすぐ近くに大井川ダムがありますよね。


南保: 大井川ダムは訪問してないんです。電車で行きましたので、長島ダムと井川ダムしか行ってないんです。残念ながら、ローリングゲートは…
山口: 大井川ダムと言えば、ローリングゲートと答えられるのがすごい!

南保さんと山口、下久保ダムで遭遇?
山口: 下久保ダムの4門放流、これって最近行われた点検放流のときですよね?
南保: そうです。


山口: 私、このとき下久保ダムに来ていました。たしか天気は悪かったですよね?
南保: はい、天気悪かったです。
山口: 私、ゲートが閉まる午後3時前に現地に着きました。
南保: 私は放流開始から、ちょっと遅れたかな?たしか3門開いていて…。
山口: あ、では時間帯は違うかもしれませんね。

山口: 長々とありがとうございました。最後に記念撮影をお願いします。



というわけでインタビュー終了です。
南保さんはインタビュアーのへっぽこな質問に終始苦笑いされていましたが、日本画制作やダムに対する想いを伺うことができて、とても勉強になりました。
また、インタビューを通じて、南保さんは正真正銘のダムガールだと思いました。
学園祭でお忙しい中、本当に有難うございました!

南保さんの近々の活動予定として、
今月(11月)の19日〜25日まで開催される相模湖ダムフェスタ 第1回ダムマニア展にて高瀬ダムなどの作品を展示されるとのことです。
開催期間中は南保さんも現地に居られる日があるそうで、ポストカードも販売されます。
ぜひ、会場にお越しいただき、ダムの日本画の魅力や迫力をご体感下さいませ♪

(参考)
  南保さんのブログ  南保さんのツイッター

[関連ダム] 間瀬ダム  長島ダム  下久保ダム  笹流ダム
(2011.11.9、山口勲)
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