3月21日22日と、フジテレビ開局50周年記念ドラマとして、「黒部の太陽」が放映された。前後編で4時間を超える大作だったが、原作の小説、そして三船敏郎・石原裕次郎のダブル主演の映画との比較が楽しみで見た人も多いだろう。私もその一人。キャストの名前、設定が、映画版・小説と違うという感想は多々あるだろうと思うが、それはあまり気にならない。ドラマ版はドラマ版なのだから。主役の香取慎吾が格好よすぎる印象だが、これもSMAPというアイドルを起用しているのだから仕方ない。
ただどうしても気になるのが、大町トンネルを掘ったとき、むかえ掘りの滑ヤ組の工事の描写がほとんど見られなかったことだ。迎え掘りのことは言葉では出てくる。大型機械を使えないので手掘りに近いなどとも言っている。トンネルを抜くときも、香取慎吾の熊谷組倉松班だけがやったような感じだし、貫通式も、滑ヤ組のヘルメットをかぶった人は何人かいたけれども、熊谷組と関西電力のヘルメットがほとんどで、まるで、関電と熊谷組だけでトンネルを掘ったかのよう。そして、トンネルを出て、黒部の太陽を浴びるのである。大型機械を使えないのだから、向こう側から掘った滑ヤ組も苦労しただろうに。
ドラマのモニターを頼んでおいた家族と友人に聞いてみた。黒部の工事のことを全く知らない彼らは、大町トンネル工事は、熊谷組と関電の共同工事で、破砕帯に苦しみつつ山を掘り、こちら側から向こう側へトンネルを通したものと思っていた。両側から掘ってきて、出会ったところで貫通させるのではなく。つまり、一般の人が大町トンネル工事をそのように勘違いしやすい内容だったのではないだろうか。力作だったと思うけれど、そこだけ、どうも納得できないでいる。私の理解不足だったらすみません。
前に映画の「黒部の太陽」を見たとき、そばにいたゼネコンの方が、実際のトンネル工事はもっとすごいと言っておられたことを思い出している。ダム屋の方たちはドラマを見てどう思うのだろうか。是非、聞いてみたい。
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