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《猪野ダム》


猪野ダム

 猪野ダムは、多々良川水系の糟屋郡久山町猪野地先に平成12年に完成し、この建設記録として福岡市水道局・(株)建設技術研究所編『猪野ダム工事誌』(福岡県・平成12年)が刊行されている。「猪野ダム建設事業は、当初専用水道ダムとして福岡市により調査がなされていたが、「福岡砂漠」と呼ばれた昭和53年の福岡大渇水を契機に多々良川総合開発事業の一環として猪野ダムも取り上げられ、治水を盛り込んだ多目的ダムと計画するに至った」とある。
 ダムの目的は、ダム地点の計画高水流量 120m3/sのうち 100m3/sの洪水調節を行い、猪野川、多々良川沿岸の既得用水の補給によって、流水の正常な機能の維持の増進を図る。さらに水道用水として福岡市に対し多の津地点において水道用水 33500m3/ 日( 0.388m3/s)の取水を可能にする。
 ダムの諸元は、堤高 79.9m、堤頂長260m、堤体積30.1万m3、総貯水容量 511万m3、重力式コンクリートダムで総事業費 296億円である。用地取得面積50ha、家屋移転はない。企業者は福岡県、施工者は鹿島建設(株)、(株)錢高組、森山建設(株)である。


 この猪野ダムの特筆な施行を二つ挙げると福岡県内始めて「拡張レア工法(ELCM)の施工、そして地域のシンボルに大きな役割を果たす目的として「ダム景観設計工事」がなされたことである。
 「特に、当ダムの特徴である左右岸の曲線美を表現するためか、堤体下流面の打設目地の強調や猪野渓谷の左右岸を結ぶ架け橋としてのアーチ橋をイメージした造形を取り入れた。また、下流フーチン部は一般開放を目的として、側面に化粧型枠による模様や低高木による緑化を行った。更に、下流護岸等はホタルガ生息しやすい石積みを採用するなどして自然環境との調和を図った」とある。
 猪野ダムの構造設計にデザイン的要素を取り入れられ、実際の土木施工に建築的センスの堤体構造が築造された。


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