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《発電ダム〜天山ダム》

 厳木ダムの直上流に築造された天山ダムは、天山の西斜面を源とする六角川水系天山川の東松浦郡厳木町大字天川地点に、発電ダムとして昭和62年に完成した。この建設記録について、九州電力・土木部編・発行『天山ダム・発電所建設工事報告』(平成2年)が刊行されている。天山川の河道周辺山腹の開削により天山ダムを造り、 327万m3を貯留し、下池の厳木ダムの利水量 560万m3のうち 300万m3を発電に利用する。発電は上・下部調整池間を約3,300 mの水路で結び 520mの有効落差を得て 140m3/sの使用水量で最大60万kwを発電させる。


 この書に、「両ダムの中間に地下発電所を設け、当発電所は異なる2水系を利用し、世界最大級の高落差によって、揚水発電所としては非常に恵まれた地点といえる。しかし、工事では水路建設において破砕帯に伴う湧水に遭遇し、またダム周辺の切取斜面の安全性及びコア材料の庶水に苦労したが、技術力で克服できた。」とある。

天山ダム

 ダムの諸元は堤高69.0m、堤頂長 380m、堤体積 164万m3、総貯水容量 327万m3、中央土質しゃ水壁型ロックフィルダムで総事業費 1,082億円(kw当たり建設費18万円)を要した。起業者は九州電力(株)、施工業者は青木建設(株)、鹿島建設(株)である。
 なお、用地取得面積は89.8ha、移転家屋はない。補償基準は厳木ダムと統一基準を作成し運用した。この天山ダム建設について、九州電力・立地環境本部編・発行『天山発電所の建設の思い出』(昭和62年)が発行されている。

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