[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]


10.水上ダム(会田川)の建設

 水上ダムは会田川の長野県東筑摩郡四賀村中川地内に、平成12年に完成した。会田川はその源を地蔵峠(標高1122m)に発し、山間部を西流し、途中、水上沢川、矢久川に合流し、明科町で犀川に合流する流域延長16.2km、流域面積88.7km2の一級河川である。

 長野県土木部松本建設事務所筑北ダム建設事務所編・発行『水上ダム工事誌』(平成13年)には、このダムの必要性について次のように記されている。

【会田川沿川では、昭和27年から護岸工事等の治水事業が行われていたが、昭和34年台風7号により家屋全壊8戸、床上浸水87戸、浸水害地46ha、被害総額15億円の災害を被った。その後も昭和36年の伊勢湾台風等によって、毎年のように災害を繰り返してきた。そのため地元住民は抜本的な治水対策等を望み、水上ダムの建設がなされた。】


『水上ダム工事誌』
 水上ダムの目的は、

洪水調節として、高水の流量16m3/sのうち、13m3/sの調節を行う。
・既得取水の安定化と河川環境の保全の流量を確保する。
・水道用水として、四賀村(人口約6300人)に対し、 300m3/日を供給する。

 ダムの諸元は、堤高38m、堤頂長 171.5m、総貯水容量27.6万m3、型式重力式コンクリートダムである。施工者は清水建設(株)、松本土建(株)共同企業体、事業費は 125億円を要した。補償関係は家屋移転はなく、用地取得面積 4.7haとなっている。なお、団体交渉による補償基準の妥結、調印は行わず、個別に用地交渉して契約を行った。


 四賀村は、静かな山里の環境を生かし、農業を通じて都市住民との交流を図る滞在型市民農園(クラインガルテン)の建設を目指している。水上ダムはその農園づくりとして、小規模生活ダムとして重要な役割を果たしている。


[前ページ] [次ページ] [目次に戻る]
[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]