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11.瓜田ダム(大淀川水系瓜田川)の建設

 瓜田川は、宮崎県高岡町に位置し、その源を穆佐地の山腹(標高 337.3m)に発し、山間部を北流、平地部で東流して花見橋上流で大淀川に合流する。流路延長 6.5km、流域面積11.3km2である。下流は扇状地を形成し、水田、園芸作物、みかんの生産が盛んである。瓜田川流域は、宮崎県中部の集中豪雨地帯にあって、平均年降水量は2500mmである。降雨は梅雨期、台風期には例年のごとく氾濫を繰り返し、その度に災害を及ぼした。昭和43年台風16号被害額2億3595万円、46年台風13、19、23、25、26号4320万円、51年台風9、17号1128万円、57年台風13号1億1039万円、58年台風10号2854万円、63年豪雨4248万円、平成2年台風14、20号7億649 万円と災害を受けた。このような水害を防ぐために瓜田ダムは、瓜田川の宮崎県東諸県郡高岡町大字小山田地内に平成10年治水ダムとして建設された。



 高岡土木事務所・八千代エンジニヤリング(株)編『瓜田ダム工事誌』(宮崎県・平成10年)によると、瓜田ダムは次の目的を持っている。

・ダム地点の計画高水流量 110m3/sのうち、65m3/sの洪水調節を行い、瓜田川沿川地域の水害を防除する。
 洪水調節計画については、1/50確率日雨量を 308mmとし、流出解析からダム地点の計画高水流量 110m3/s、基準地点(番所橋)の計画高水流量 170m3/sとなっている。洪水調節は自然調節方式とし、ダム地点計画高水流量 110m3/sのうち、65m3/sを調節し、45m3/s(最大51m3/s)を放流する。これに必要な洪水調節容量を54万m3としている。
・瓜田ダム地先地下流の既得用水の補給を行うなど、流れの正常な機能の維持と増進を図る。

 この瓜田ダムの諸元は、堤高42m、堤頂長 160m、堤体積10万m3、総貯水容量72万m3、有効貯水容量62万m3、型式重力式コンクリートダムである。放流設備として常用洪水吐きオリフェイスによる自然調節方式、高さ2m、幅2.25m1門、非常用吐き台形型越流頂、自由越流式高さ 1.4m×幅12.5m4門、利水放流管単孔式φ300 mm1条、緊急放流設備φ 600mm1条が設置された。

 起業者は宮崎県、施工者は日本国土開発(株)、(株)奥村組、日成大淀(株)共同企業体で、事業費は 110億円を要した。なお、主なる補償取得は、土地取得面積 8.3ha、家屋建物移転10戸である。

 瓜田ダムの建設経過を追ってみたい。
 昭和43年宮崎県営の予備調査を開始、59年建設事業採択、63年一般補償基準の承認、平成4年本体工事着工、7年定礎式、8年本体工事完了、9年試験湛水、10年竣工式を行っている。予備調査開始以来30年の歳月を要したが、現在、瓜田ダムは瓜田川氾濫区域の世帯数 676、人口1851人、事業者数82、農家数109 、水田45.6ha、畑18.1ha、県道1.96km、市町村道 12.70kmの減災を図っている。


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