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17.天間ダム(高瀬川水系坪川)の建設

 坪川は、八甲田山系の折紙山・七十森山(標高900m)に源を発し、小坪川、中野川、七戸川を合流し、小川原湖に注ぐ流路延長36km、流域面積175km2の一級河川である。小川原湖に流入した水は、高瀬川を通じ太平洋に流入する。

 坪川沿岸の洪積台地は、昭和20年までは東北地方屈指の馬産地で、陸軍の軍馬補充部の用地として使用されていた。戦後、この台地の原野や採草地は国策事業として開畑されていたが、農家の生計が立ち難かった。また、坪川沿岸の昭和26年〜37年までの洪水は、公共施設、農地、農業用施設等を含めて12ケ年間で5.05億円、年平均4215万円の被害を受けている。このため農業生産の増大、水害の減災を図る必要性から天間ダムは坪川の青森県上北郡天間林村(現・七戸町)天間館地点に昭和43年に完成した。このダム建設記録として、青森県農林部土地改良第一課編・発行『天間ダム工事報告書』(昭和45年)があり、ダムの目的は次の2点である。


『天間ダム工事報告書』

(撮影:北国のNAGO)
・ 坪川沿岸の洪積台地に対し、灌漑容量1533万m3により、新田1126ha、旧田131.6haに灌漑用水を供給する。

・ 坪川の下流部575.9haの水田は、河川の堤防不整備断面狭小、屈曲等のために水害を受けていた。このためダムの洪水調節容量356万m3をもって、洪水被害を減災する。

 次に、天間ダムの諸元については、堤高50.5m、堤頂長202.8m、堤体積10.7万m3、有効貯水容量1843.4万m3、総貯水容量1958.4万m3、型式は直線重力式コンクリートダムである。起業者は青森県、施工者は大成建設で、事業費は14.07億円を要した。主なる補償関係は、民地取得面積26.3ha、国有地払下げ94.1ha、家屋移転4戸であった。


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