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7.長井ダム(最上川水系置賜野川)の建設

 置賜野川は、朝日山地南東斜面に降った雨水と融雪を集め、長井盆地を流れ、最上川と合流する流路延長22.6km、流域面積120.1km2である。

 長井ダム(ながい百秋湖)は、最上川水系置賜野川の長井市大字平野地先に、昭和59年4月事業に着手し、平成2年8月一般補償に関する協定の調印、平成14年10月堤体コンクリート打設を開始し、現在平成22年完成に向けて建設中である。

 長井ダムが建設される長井市は、山形県南西部に位置する人口32000人の田園都市である。長井の名は「水の集まるところ」を意味し、最上川とその支流が清らかに流れる。この豊かな良質の水が電子産業の集積地として発展させ、さらに米作や果樹栽培の農業を支えている。

 置賜野川流域は冷水灌漑が多く、このために客土用の土を水で溶かして水田に流し込む客土の一種であるドロ水灌漑が行われており、この方法は全国的に非常に珍しい。

 長井ダムについては、竹田市太郎編『水清く緑深き 野川の郷』(国交省長井ダム工事事務所・平成2年)の書がある。この書は主に置賜野川における明治22年〜38年の洪水歴史とその治水事業、野川三堰等の灌漑用水に関し記されている。

 さらに、長井ダム上流に建設された管野ダム・野川第一発電所(昭和29年完成重力式コンクリート)、木地山ダムm3野川第二発電所(昭和36年完成・中空重力式コンクリートダム)も述べてある。


『水清く緑深き 野川の郷』
 この両ダムは洪水調節、発電、農業用水の多目的ダムである。
 続いて、長井ダムの目的、諸元、特徴をみてみたい。
 ダム建設の目的は次のとおりである。

計画高水流量1000m3/Sのうち、780m3/Sの洪水調節を行う。(洪水吐は調節用ゲートをもたない自然調節方式)

・置賜野川、最上川沿川の約7900haの農地に灌漑用水を補給する。

・河川環境の保全を行う。

・長井市に、最大10000m3/Sの水道用水を供給する。

・新野川第一発電所を新設し、最大出力1万KWの発電を行う。

 ダムの諸元は、堤高125.5m、堤頂長381m、堤体積約120万m3 、総貯水容量5100万m3 、型式重力式コンクリートダムである。

 起業者は国土交通省、施工者は間組m3前田建設工業m3奥村組共同企業体、総事業費は約1600億円である。


長井ダムの完成によって水没する管野ダム(撮影:ダム守)

 ダム本体施工設備の特徴について、次の3点を挙げる。

・地山斜面の掘削を極力減らし、周囲の環境へ与える影響を最小限にするため、堤体直上流の河床部に掘削土石を盛土し、ヤードを造成して、骨材製造m3貯蔵設備、コンクリート製造設備等の施工設備を配置。

・大規模コンクリートダムとしては、初めてテルハ型クレーンを採用。これにより、周辺斜面の掘削を減らすことができ、上流河床ヤードに設置した施工設備との連続性もよくなる。

RCD工法を採用。凡用機械を用いた機械化施工により、工期の短縮、費用の省力化がはかられる。なお、打設ヤードが狭くなる上標高部ではELCMに切り替えて行う計画となっている。

 なお、長井ダムの完成によって、直上流の管野ダムは水没することとなるが、農業用水などのダム機能は長井ダムに引き継がれる

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