第17回 日本ダム協会ホームページ 写真コンテスト
"D-shot contest"
入賞作品および選評


各委員の全体評

第17回D-shotコンテストは、326点の作品応募がありました。これらの作品を対象に、最優秀賞、優秀賞、入選作品の選考を2020年2月12日に日本ダム協会にて行いました。
その結果、今回は下記の作品が選ばれました。



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最優秀賞
最優秀賞
「守り続けた夜」
群馬県・八ッ場ダム
撮影者:ハル
<選評・西山 芳一>

一夜にして満水になり下流域を守ったと言われる八ッ場ダムの湖を何もなかったのように非常に美しく捉えましたね。ライトを受ける山、街、堤体そして湖面に姿を映す二本の橋が絶妙に画面に収まっています。撮影する視点、日時、構図の全てが計算され尽くされている感はありますが、完璧で素晴らしい作品です。ダム写真は計算してもなかなかその通りに撮れるものではありません。これからも頑張ってください。





「ダム本体」部門

優秀賞
優秀賞
「緑の堰堤」
静岡県・横沢川第二ダム
撮影者:子持ち・アッカーマン
<選評・萩原 雅紀>

例年通り、全部門の中でいちばん応募数が多く、100枚以上の写真が机の上に並べられたダム本体部門の審査。その中で、審査員全員の視線を捉えて離さなかったのがこの作品でした。ほぼ無名のダムだし色合いも派手ではありませんが、奥の堤体と手前の水路や通路の明暗、ボケによる距離感、木々と苔の緑色の鮮やかさ、そして木々で隠されて全体が見えないという構図がどれも完璧で、山深い道を進んだ先に小さなダムが「ぬっ」と現れた瞬間の興奮が見事に封じ込められていると思います。現地の湿気まで感じられるような気がしました。





入選入選
入選 入選
「ももいろ宇奈月ダム ゼェェェェェット!」
富山県・宇奈月ダム
「眼光を放つ」
愛知県・新豊根ダム
撮影者:iiysk 撮影者:HAMTIY
<選評・萩原 雅紀>

アイドルグループの「ももいろクローバーZ」が黒部市でライブを行う応援として、宇奈月ダムが期間限定でももクロカラーにライトアップされた、という少々説明が必要な状況ですが、まずアイドルのライブに(国土交通省直轄の)ダムが乗っかった企画を行うということ、オリフィスゲート内が黄色や赤に光っているというインパクト、そして見事な放流、という3点をひとつにまとめ、これはももクロとダム、どちらのファンも壁に飾っておきたい作品だと思います。

<選評・萩原 雅紀>

放流中なのでしょうか、堤体下流面を照らす照明で堤体のシルエットがくっきり浮かび上がっていますが、重要なのはやはり霧ですね。これによってゲートまわりの影が手前に伸びる幻想的な仕上がりになったと思います。いっぽうで左側の発電用取水ゲートはやたらリアルで、1枚の写真の中で面白い対比になっていると思いました。欲を言えば構図をもう少し詰められるのでは(考えた末かも知れませんが)、と感じてしまったのと、似た作品を何枚か応募されていたので覚悟を決めて1作品で勝負してほしかった、という点をお伝えして次回作に期待します。



入選入選
入選 入選
「風屋ダムと天の川」
奈良県・風屋ダム
「ラジアルゲート」
長野県・笹平ダム
撮影者:PYTH 撮影者:子持ち・アッカーマン
<選評・萩原 雅紀>

風屋ダムがこれだけライトアップされても天の川まで写るということはそれだけ周囲が暗いのでしょうか。とにかく暗闇に浮かび上がる堤体と、それを挟むように上下に伸びる川の輝きが素敵な、バランスのとれた作品だと思いました。下の川がもう少しだけ反射してくれたら文句ないですが、こればかりは仕方ないでしょうか。自分でもこの景色を見に行ってみたい、と思わせてくれる作品でした。

<選評・萩原 雅紀>

ラジアルゲートが全門全開という、狙って行ったのか偶然だったのか、とにかくなかなか見られない見事なタイミングを切り取った作品で、この時点で当コンテストなら数百枚の中からの数枚に選ばれることは間違いないと思います。あとは構図なのか光の加減なのか色合いなのか分かりませんが、目を引くプラスアルファの要素がもうひとつふたつほしい、それがあれば...と思ってしまうのは欲張りでしょうか。





「ダム湖」部門

入選入選
入選 入選
「流木に向かう」
埼玉県・滝沢ダム
「結界」
東京都・小河内ダム
撮影者:太田 正実 撮影者:清水 篤
<選評・西山 芳一>

上下が単純化された三分割の構図の中に陸部と木々の反射、そしてボートと生み出す波紋とが絶妙に配置されています。夜間、堤体からの照明での撮影でしょうか。すべてが片側のみの低いライティングを受けることで、ボートは動いているにも関わらず時間が止まったような不思議な空間を生み出しています。

<選評・西山 芳一>

近年、激甚災害を引き起こすような台風や豪雨が多発し、今回の作品の中にも泥水や流木が多く見受けられました。自然災害の「結界」としてのダム堤体の役割もありますが、ダム湖の中にも濁りを分ける「結界」があったのですね。大人しいけれど大胆な構図をとったことにより嵐の後の静寂感がうまく醸し出されています。




入選
入選
「あさいゆめ」
福井県・真名川ダム
撮影者:清水 篤
<選評・西山 芳一>

見える現実は1本の橋脚だけで、あとは虚(うつ)ろ。その橋脚も過去のもの。そんな時の流れの儚(はかな)さや寂寥感をダム湖の中にうまく捉えた作品です。過去の映画の1シーンだったか子供の頃の夢の中で見たのか、そんなデジャヴ感がたまらなく好きです。クールなジャズのCDジャケット写真に使えそうですね。





「工事中のダム」部門

優秀賞
優秀賞
「晩秋の夕暮れ」
群馬県・八ッ場ダム
撮影者:iiysk
<選評・森 日出夫>

堤体コンクリート完了を間近かに控える八ツ場ダムを下流から写したものです。本体の非越流部、下流の減勢工にある副ダムと、左岸側に位置する発電所を同時に施工しています。夕暮れが迫り、施工箇所は工事用照明に映し出され、堤体打設完了間際の現場のあわただしさを美しく、また生き生きと表現した作品です。



入選入選
入選 入選
「エネルギー充填中!」
香川県・椛川ダム
「キャットウォークから休日の工事現場を見上げたら」
栃木県・川俣ダム
撮影者:小南 宣広 撮影者:四国三郎
<選評・森 日出夫>

いよいよ最盛期を迎える椛川ダムの施工状況の全体を捉えたものです。右岸側には、コンクリートを堤体にダンプトラックで供給する運搬道路を整備、上流河床には仮設施工用のクローラクレーンが配置され、バッチャ―プラントではいつでもコンクリート出荷がスタンバイされているでしょう。これからフル稼働でコンクリ-トが打ち上げられる現場の熱いエネルギーが表現された1枚です。

<選評・森 日出夫>

高さ80mに及ぶ、川俣ダムの岩盤補強工事用の足場を下から撮影したものです。規模の大きさと垂直に組み立てられた景観から、ダムマニアならずとも見学者が多いと聞いています。上からのアングルはよく取り上げられますが、下からはめずらしいです。ダム見学会で撮られたようですが、迫力があって、この足場を使っての工事の緊張感が伝わってくる作品です。



入選
入選
「湛水エリアへ」
群馬県・八ッ場ダム
撮影者:子持ち・アッカーマン
<選評・森 日出夫>

八ツ場ダムの上流貯水池に到る工事用道路を、1台のダンプトラックが下って行きます。貯水池内の斜面補強のための押え盛土用の材料を運搬しているのだと思います。記憶に新しい、台風19号による急激な貯水を可能にしたのも、この工事が一役買ってます。綺麗に施工された石積みの工事用道路と、1台のダンプトラックが下って行く様が慌しい工事現場に一瞬の静けさをもたらします。





「ダムに親しむ」部門

優秀賞
優秀賞
「光のシャワー」
高知県・早明浦ダム
撮影者:小南 宣広
<選評・中川 ちひろ>

よく撮れましたねー! 合成? と思ってしまうほどですが、違うようです。画面の7割が花火で構成されているため、迫力を感じさせる写真になっているのは言うまでもなく、さらに人とダムが加わっていることで、さまざまなものの大きさが対比されています。意識的か無意識か、情報がさりげなく計算された、素晴らしい写真です。



入選入選
入選 入選
「花より噴水」
熊本県・市房ダム
「ゲートのある夏」
埼玉県・玉淀ダム
撮影者:kazu_ma 撮影者:子持ち・アッカーマン
<選評・中川 ちひろ>

美しいなあ。桜、山、湖、空。カンペキ! 桜の幹が見えないのがまた絶妙です。幹を入れなかったことで色の構成がシンプルになり、主役も明確になります。噴水が手前ではなく、やや奥の方にあることで、見る人の目線を動かし、平面的になりがちな画面に奥行きを感じさせます。花より噴水より、、、写真? これをきっと、クスッと笑いながら撮影しているkazu-maさんもまた、ここに写っている気がします。

<選評・中川 ちひろ>

洒落たタイトルです。開放的な夏なのに、のんびりした様子の人が写っているのに、天気もいいのに、でもゲートが、、。不自由さのなかの自由。閉ざされた空間でのつかの間の休息。閉塞的になりそうなテーマですが、むしろ楽しそうです。それはこの写っている人が上半身裸で、背中から平和を感じるからなのでしょう。「ダムに親しむ」のテーマでしかできない表現ですね。





「テーマ」部門 『和』

優秀賞
優秀賞
「みんなの和」
岡山県・久賀ダム
撮影者:小南 宣広
<選評・宮島 咲>

「和」には、仲良くする、なごむ、おだやか、協力し合うなどの意味があります。この作品は、これら全ての意味を感じ取れる作品だと思います。堤体直下にある水田でおこなわれている稲刈りでしょうか。稲は米であり、米は日本を代表する食べものであることに間違いないでしょう。「和」は、日本という意味も持ち合わせています。



入選 入選
入選 入選
「龍姫の指和」
広島県・温井ダム
「天端ラン」
京都府・高山ダム
撮影者:ぺこにゃん 撮影者:子持ち・アッカーマン
<選評・宮島 咲>

輪ですね。今回は「和」というテーマでしたが、中には「輪」の作品も応募されると思っていました。「和」には丸いという意味合いもあるので、これはこれで問題ないと思います。導水管をスライスしたオブジェでしょうか。太陽が導水管のてっぺんにあり、それが円の輪郭を強調した良い作品ですね。

<選評・宮島 咲>

部活の練習で走り込んでいるのでしょうか。心を一つに合わせ、試合に勝つために練習しているのだと思います。これぞ協調という「和」を感じますね。しかしながら、この作品を眺めていて、ふと思ったことがあります。もし、この人々がテニスなどの個人競技の選手だったら、はたして「和」は存在するのかと。ということで、テニスの選手ではなく、できれば団体競技である駅伝の選手であってほしいと願った作品でした。







全体評


審査委員プロフィール
西山 芳一 (土木写真家)

いっそ大都市のギャラリーで写真展を開催しても恥ずかしくない、と言うより開催したいほどの素晴らしい写真が数多く集まりました。十数回審査をさせて頂いていますが、一般の方にも見せられる写真が数点の時代から、ちょっと良い写真の団栗の背比べを経て、今回はナイスフォトが二十点ほどは見受けられるようになってきました。このダム写真コンテストは確実にレベルが上がってきて審査も毎回楽しみです。施工中以外のダム写真に関しては実は私も勉強させてもらいながら審査をしています。好きでこそ撮れるダム写真です。フィルムの時代ほど難しくありませんのでもう少し写真の勉強をして、いざダムに繰り出そうではありませんか。来年もなお一層の努力と応募とを期待しています。

宮島 咲 (ダムマニア&ダムライター)

応募作品数は昨年とほぼ同数とのことでしたが、作品のクオリティーは年々上がっているように感じます。中でも、ダム湖部門に応募された作品はどれも甲乙つけがたく、全ての作品に撮影時の努力と魂を感じました。

また、ダム本体部門は作品の見せ方が2通りに分かれてきたように感じます。一つは、堤体を全景で見せたもの。もう一つは、堤体の一部分を切り取ったものです。選考していると、両者は比べるべきものではないと感じ、できればこの2つの部門を独立させたいとも思ってしまいました。

テーマ部門ですが、今回のテーマは、難しかったでしょうか、それとも、やさしかったでしょうか。「和」というテーマは、過去のものよりも具体的ではなかったため、十人十色の和を見せていただくことができました。「どうしてこれが和なの?」と思う作品もあり、コメントを読んで納得するという具合でした。しかし、コメントが無い作品もあり、なぜ和なのか理解できないものもあったことが残念です。テーマ部門にかかわらず、作品のコメントは作者の思いを伝えられるもう一つの手段ですので、ぜひ次回はコメントをつけていただきたいと思いました。

萩原 雅紀 (ダムライター/ダム写真家)

年々レベルが上がり、正直言って審査するのはかなり神経が擦り減ります。もちろん惜しい作品が数多くあったのは例年通りです。しかし今回、選外となってしまった作品の多くには次の2つのタイプがあると気づきました。

・作品としては美しいけれどダムとしての魅力がいまひとつ
・ダム好きなのは伝わるけれどもう少し作品としての質を上げたい

「写真好き」と「ダム好き」、この両方を高い次元で融合させてこそ「コンテスト」で上位を獲得するポイントだと思います。このバランスを意識して、今後も素敵な作品を撮ってください。

中川 ちひろ (編集者)

昨年と同じくらいのクオリティーで、部門ごとにはっきり特色が分かれた印象でした。ただその中でも毎年、工事中部門にだけ「遊び」があり、ちょっと異色の写真がまぎれこんでいます笑。奇をてらった写真ではなく遊び心ある写真は、撮影者のキブンが想像でき、明るい気持ちにさせてくれますね。美しい、かっこいい、驚きのある、、いろいろありますが、ダム写真では「楽しい」も表現できそうです。新たな視点の写真、お待ちしております!

森 日出夫 (ダムネット運営委員会委員長)

様々な切り口で捉えられた作品が並び、選考には非常に悩まされるとともに、楽しませて頂きました。全体的な感想ですが、背景を含めたダム全景を捉えたものではなく、ある部分を切り取ってダムの魅力を浮き上がらせた作品が多いなと思いました。ダムの機能美は全景で表現されるのものという感覚が大きいので、非常に新鮮にうつりました。年度により傾向が出るのも面白いと思います。来年はどんな作風がトレンドになるのか今から楽しみです。


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