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《筑後川の諸事業の歩み》
ここで、水資源開発公団施行の両筑平野用水、寺内ダム、筑後大堰、福岡導水(山口調整池)、筑後川下流用水に係わる各々の建設事業を中心として、北部九州水資源開発協議会編・発行『北水協30年のあゆみ』(平成7年)、水資源開発公団編・発行『水とともに−水資源開発公団40年の足跡と新世紀への飛翔』(平成15年)、筑後川河川事務所編・発行『筑後川流域基礎情報−筑後川ハンドブック』(平成16年)、「各事業のパンフレット」の資料に基づき、筑後川の治水と利水について、主なる経過を追ってみる。
昭和28年6月 筑後川大水害がおこる 29年5月 夜明ダム(筑後川本川)完成(P) 33年4月 松原(大山川)・下筌ダム(津江川)建設の着手 34年3月 下筌ダム建設反対「蜂の巣城」築造 36年11月 「水資源開発促進法」「水資源開発公団法」の制定 37年5月 「水資源開発公団」の設立 38年10月 「北部九州水資源開発協議会」(北水協)の設立 39年7月 旧河川法廃止「河川法」の制定 治水、利水を含めて水系一貫河川管理の確立 10月 筑後川水系を水資源開発促進法に基づく水資源開発 に指定 「筑後川流域利水対策協議会」(筑水協)の結成 40年 筑後川、一級河川に指定 3月 下野・長門石引堤工事の完成 41年2月 筑後川水系における水資源開発基本計画(フルプラン) の閣議決定(両筑平野用水事業の決定) 42年4月 両筑平野用水建設所の発足(甘木市) 6月 北九州市渇水( 130日間 給水制限) 44年3月 江川ダム一般損失補償基準の調印 6月 筑後川水系水資源開発構想(北水協マスタ−プラン) の決定 10月 下筌ダム室原家と和解成立 45年12月 水資源開発基本計画の一部変更(寺内ダムの追加) 46年2月 寺内ダム調査所の発足(久留米市) 7月 環境庁の発足 10月 「久留米広域上水道企業団」の設立 47年4月 寺内ダム建設所の発足(甘木市) 5月 「土地改良法」の改正 8月 江川ダム(小石原川)竣工式(AWI) 寺内ダム一般損失補償基準の妥結 48年3月 松原ダム・下筌ダムの完成(FNWP) 筑後川基本高水流量の策定(夜明地点基本高水流量 10,000m3/S、瀬ノ下計画高水流量 9,000・/S) 6月 「福岡地区水道企業団」の設立 柳又発電所の運転開始、大山川、三隈川の流量減少 10月 「水源地域対策特別措置法」の制定 49年6月 国土庁の発足 「電源開発促進法」の制定 7月 水資源開発基本計画の一部変更(筑後大堰・福岡導水 の追加) 50年3月 両筑平野用水事業の完成 4月 「佐賀東部水道企業団」の設立 甘木市工業用水道給水開始 10月 福岡市渇水( 106日間取水制限) 51年4月 久留米市、日本住血吸虫病の宮入貝の生息調査を行う 9月 福岡導水建設所の発足(小郡市) 11月 第2次北水協マスタ−プランの決定 52年2月 筑後大堰建設所の発足(久留米市) 5月 「水の日」の制定 8月1日を水の日に決定 6月 久留米広域上水道企業団筑後川取水開始 53年1月 寺内ダム(佐田川)竣工式(FNAW) 5月 福岡大渇水(5月20日 給水制限開始) 9月 福岡県有明漁連が福岡市警固公園で筑後大堰建設 反対集会 白井正外、原告 377名筑後大堰建設差止(本訴)を提訴 54年3月 福岡大渇水 287日に及ぶ給水制限解除 原鶴分水路工事の完成 4月 筑後大堰の工事、漁連の実力行使に会い中断 6月 筑後川流域水害をうける 55年3月 山神ダム(山口川)の完成 8月 筑後川流域水害をうける 12月 筑後大堰に係わる筑後川の流下量の合意なる 筑後大堰工事の再開 56年1月 水資源開発基本計画の全部変更・水需給計画の決定 (耳納山麓土地改良(合所ダム)、筑後川下流用水、竜門 ダム、猪牟田ダム、松原・下筌ダム再開発、佐賀導水、 城原川ダムなどの追加) 10月 筑後川下流用水建設所の発足(久留米市) 57年7月 「財団法人筑後川水源地域対策基金」の設立 筑後川流域水害をうける 58年4月 福岡導水24.7kmの工事完成(久留米、小郡、基山町、 筑紫野、大野城) 11月 福岡導水を通じて筑後川の水が福岡市へ受水開始(暫定 通水) 59年2月 水資源開発基本計画の一部変更 (赤石川ダムの追加) 11月 筑後大堰の漁業補償9件全て解決 60年3月 筑後大堰(筑後川本川)の完成(FNW) 6月 筑後川流域の水害 8月 台風13号により有明海沿岸高潮被害 10月 筑後大堰建設差止裁判の最終公判 61年8月 福岡導水山口調整池建設の着手 9月 松原・下筌ダム再開発事業の完成 12月 福岡導水、佐賀県基山町へ暫定通水開始 63年6月 筑後大堰建設差止裁判、原告側敗訴 第3次北水協マスタ−プランの決定 平成元年1月 水資源開発基本計画の全部変更 (赤石川ダムを大山ダムに名称変更) 10月 「久留米広域上水道企業団」を「福岡県南広域水道企業団」 へ改称 2年2月 福岡導水事業山口調整池の一般損失補償基準調印 3月 江川ダムに小水力発電所完成 宮入貝撲滅による日本住血吸虫病の安全宣言 7月 梅雨前線による集中豪雨 3年9月 台風17号、19号による甚大な被害(上流域に風倒木 1,500万本) 4年3月 東櫛原引堤工事の完成 4月 大山ダム建設所の発足(大分県大山町) 10月 松原・下筌ダム ノリ期の河川流量確保のため緊急放流 5年4月 耳納山麓土地改良事業合所ダム(隈上川)の完成(AW) 9月 水資源開発基本計画の一部変更(小石原川ダムの追加) 6年3月 筑後川最後の渡し「下田の渡し」の廃止(福岡県城島町) 8月 平成の大渇水(福岡市給水制限8月4日開始) 筑後川高水流量の策定(荒瀬基本高水10,000m3/S、瀬ノ下 計画高水流量 9,000m3/S、河口計画高水流量10,300m3/S) 7年1月 松原・下筌ダム ノリ期の河川流量確保のため緊急放流 6月 平成の大渇水(福岡市給水制限(6月1日)解除) 12月 福岡市渇水( 129日間取水制限) 8年1月 松原・下筌ダムノリ期のため緊急放流 3月 「川の日」制定 7月7日を川の日と決定 4月 佐賀東部水道企業団、13市町村へ全面通水開始 9年5月 「河川法」の改正 「河川環境の整備・保全」の目的が規定される 10年1月 大山ダム一般損失補償基準の妥結 3月 筑後川下流用水事業の完成(A) 11年2月 福岡市渇水( 122日間の取水制限) 3月 福岡導水事業 山口調整池(兎ケ原川)の竣工(W) 12年11月 三隈川、大山川流量増加の要求 松原ダム 1.5m3/S、大山川ダム堰 4.5m3/S増量決定 猪牟田ダム建設中止の決定 13年1月 中央省庁 1府12省に再編成 3月 福岡導水事業の完成(W) 14年3月 大山川ダム堰改修完了、 4.5m3/Sの放流開始 7月 福岡市渇水( 264日の間の取水制限) 15年1月 松原・下筌ダム ノリ期の河川流量確保のため緊急放流 3月 松原ダム改修工事完了、 1.5m3/Sの放流開始 10月 「水資源開発公団」、「独立行政法人水資源機構」に移行 11月 松原・下筌ダム管理開始30周年記念(筑後川大水害50周年) 16年8月 コイヘルペスウィルス病の発生、コイ大量死 台風16号、18号、21号、筑後川流域農林業に多大の被害
(F:洪水調節 N:不特定用水 A:特定灌漑用水 W:水道用水 I:工業用水 P:発電用水)
このように見てくると、昭和38年北水協の発足以来北部九州における水資源開発構想が順次示され、そのプランが実際に筑後川水系における水資源開発基本計画と連動して、水開発が進めらてくる。昭和47年6月田中角栄通産相が「日本列島改造論」を発表、さらに高度経済成長が加速され、人口の増加も相まって北部九州地方もまた都市用水の需要が増大し、その対処のために水資源開発施設の建設が進められてきた。
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