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2005・5・28・徳山ダム建設見学会

 これは、ダム好きさんホームページ灰エースさんによる投稿です。2005年5月28日の徳山ダム建設現場見学会の様子をまとめたものです。
 
2005年5月28日に、徳山ダムJVさん、日本ダム協会さん、水資源機構さんの御厚意により、徳山ダムの建設現場見学会を開催することが出来ました。

ダム見学会の流れは次のとおりです。

11:00      集合(徳山ダム工事事務所前)
11:00〜11:20 (A)会議室で工事の概要説明
11:20〜11:50 (B)昼食
11:50     (C)マイクロバスで現場に出発
12:00〜12:10 (D)下流右岸展望台(洪水吐工事現場のすぐ横)
12:20〜12:35 (E)左岸天端。ロックフィルダムの断面構造が見える
       (F)12:30に原石山の発破が見える
12:45〜13:00 (G)ダム盛り立て部(ダムの断面)に立って工事を見学
13:05     (H)モータープール(工事重機の修理工場)
       (I)ストックヤード(ダムの材料土砂置き場)を見学
13:15〜13:25 (J)土質試験室見学
        (ロックフィルダムでもっとも大切なコアの土を品質管理)
13:35〜13:45 (K)原石山見学(12:30に発破が行われた場所)
14:00     (L)ダム工事事務所へ戻る。その後解散。

A)会議室で工事の概要説明

まず最初に、徳山ダム工事のあらまし、ロックフィルダムの構造などについての説明がありました。

B)昼食

ダム工事事務所の食堂で、職員の方が食べているのと同じメニューの食事を頂きました。ごちそうさまでした。

(゚д゚)ウマー

(゚д゚)ウマー
C)マイクロバスで現場に出発

見学者も安全帽をかぶって徳山ダム建設現場に出発です。案内をしてくださった副所長さんは、徳山ダム以前は奈良県の大滝ダムにも携わられたとのことで、私の大滝ダムの質問にも答えていただきました。まさか徳山ダム見学で大滝ダムの謎が解けるとは思いませんでした(笑)


D)下流右岸展望台(洪水吐工事現場のすぐ横)

徳山ダムの洪水吐のすぐそばです。ここはダムが完成すれば誰しも立ち寄ることが出来るでしょうが、現在はまだ工事中のため立ち入り禁止になっている場所です。

手前が洪水吐ゲート工事のための仮設道路、奥がダム堤体です。ダムの断面構造が見えています。

ちょっと見えにくいですが、ラジアルゲートと巻き上げ機は既に据え付けられています。
E)左岸天端ロックフィルダムの断面構造が見える。

先ほどとは反対側のダム左岸に回ってきました。ここからはダムの断面構造がよく見えます。ロックフィルダムの構造は、各地のロックフィルダムの案内看板やパンフレットでどうなっているのかは知っていても、ダムの断面構造の実物を見るのはみんな初めてでした。



真ん中の赤土の帯はロックフィルダムのかなめのコア層。粘土や細かい土で出来ています。その外側は少し荒い石のフィルター層。コアは土で出来ているのですが、土は水に溶ける(崩れる)ので、このフィルター層でコア層をしっかり守ります。そしてその外の白く見える部分は荒い石と岩のロック層でダムをがっちり安定させる働きがあります。
F)12:30に原石山の発破が見える

12:30にダムのロック材料を取る原石山の発破が行われました。


これが発破です。これで取った岩と石がダムのロック材料になります。
G)ダム盛り立て部(ダムの断面)に立って工事を見学

バスに乗ってダム工事の最前線。ダム堤体盛り立て面に行きます。その途中で、ダム建設に使っている重ダンプを見せていただきました。



これ・・・一般の家屋よりも大きいんじゃ・・・もちろんこんな大きさの車は道路を走れないので、分割してトレーラ数台で運んできます。そして現場でボルト止め、溶接などで組み立てるとのこと。すげー


手前に移っている機械は振動タンピングローラーといいます。デコボコの突起がついたローラーを振動させて自重と振動の圧力で土を締め固めます。この振動タンピングローラーを走らせて圧力を掛けることを「転圧」と言って、一回分の層を積んだら転圧何回と回数が決められていて、そのとおりにローラーが何往復も走ります。そういえばここから見てもロックフィルダムの層構造がよくわかりますね。赤っぽい色の層がコア、黒褐色の層がフィルター、白いところがロックです。


ダムが巨大なので、近くで見ればあんなに大きかった重ダンプもそんなに大きさを感じません。ダンプに限らず、動いている機械すべてがデカいですね。


斜面に白くダムの完成ラインが書かれています。
H)モータープール(工事重機の修理工場)

ダンプやブルドーザーなどの重機は一日中働いているのですが、機械ですから壊れることもあります。しかし壊れるたびにメーカーに修理に出すなんてことをしていれば、ダム工事が遅れてしまうし、代替機を持ってくるとしてもトレーラー何台にも積んだ部品から組み立てになるのでそんなことは出来ません。だから巨大重機のために現場に修理工場を用意しています。

工事を監督する副所長さんは、修理工場に重機が何台も入院していると、大きめの工場を作っておいてよかったなと思う反面、こんなに壊れやがって・・・と思う。修理工場が空っぽだと、もっと小さい工場でも良かったかな?と思う反面、機械が壊れずちゃんと働いているな、良い事だな、と心中複雑らしいです。

I)ストックヤード(ダムのコア土置き場)を見学

ロックフィルダムのかなめである水を止めるコアは、コア山から採取された細かい土、粗い土、そして粘土っぽい土の三種類を混ぜて作られています。コアの材料はとても重要なので、性状などを吟味して良いものを選りすぐった上で、工事で直ぐに品質を満足した均一なコアが使えるようにストックヤードと呼ばれる場所に先ほどの三種類の土を交互にサンドイッチ状に積み上げられています。



きれいに土が盛り上げられていて、なんだかピラミッドのような外観ですよ。
J)土質試験室見学

ロックフィルダムの水を止めるコアはダムの命とも言えるとても大切な役目をもっているので、厳重に品質管理をしなければいけません。そのために、この土質試験室で毎日品質検査や締固めに最適な含水比がどのくらいなのかを確かめてからダムに持って行き、最良のコアを作るようにしているとのことです。

ひとくちにコア材といっても、基礎岩盤に近いところやそれ以外など、ひとつのダムの中でも場所場所で必要とされる性質が変わってくるので、いろいろな種類の土を混ぜて最適な物を作っているそうです。

これがコアを締め固めた検査サンプルを作る機械だそうです。


こちらは検査サンプルに水がどのくらい通るかを検査して、水が通らない良い状態を作るのに必要な締固め状態と含水比のデータを求める試験装置です。この検査を毎日行ってダムのコアの品質をしっかり管理しているとのことです。ダムの施工って本当に細かいところまで注意して行われているんですね。ごくろうさまです。
K)原石山見学(12:30に発破が行われた場所)

先ほどの発破で切り崩された原石山の見学です。発破して出来た材料ははやくもダムへ持っていくための積み込みが始まっていました。



先ほど発破された現場です。既に積み込みが始まっています。


巨大な重機です。右上に小さく写っているのが普通トラックなので、大きさの違いが分かるでしょうか??


なにもかもスケールの違う大ダム工事に見とれる見学者一同
L)ダム工事事務所へ戻る。その後解散。

これで徳山ダム建設現場のみどころをすべて回り終えて工事事務所に戻ってきました。


水資源機構の一般向け見学会では今日のような細かい所までの見学はしていないとのこと。本当にありがとうございました。


みんなで記念撮影の後、解散しました。この後、横山ダムなどを皆さん見学に立ち寄っておられました。


最後になりましたが、今回の見学会は、(独)水資源機構・徳山ダムJV・(財)日本ダム協会の方々のご協力で企画することが出来ました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。3時間ほどの見学時間でしたが、本当にアッと言う間に時間が過ぎてしまいました。参加者・関係者の皆さん、本当にありがとうございました。

普段は何気なく見ているダムですが、施工現場ではこれでもかというぐらい厳しい品質管理が行われていました。だから磐石なダムが完成するんですね。

川底近くの工事現場から上を見上げると、所々にダム満水位を示す看板が立っていますが、これらはずっと上の方に見えてダム湖の深さにビビります。さすがは日本一の総貯水量のダム。

完成したダムはいつでもそこに行けば逢えますが、建設中のダムは日々姿を変えています。これから機会を見つけて徳山ダムの完成までを追って行きたいと思いました。

徳山ダムは、日本で残り少ない大規模ダムプロジェクトで、総貯水量は徳山ダム日本一を塗り替えるものはもうどこを探しても出てこないだろうと言われています。ダム本体工事の規模だけでみれば、最近本格的な工事が始まった岩手県の胆沢ダムが徳山ダムと同じぐらいですが、徳山ダムは中京地域で交通アクセスも結構良いと思いますので、皆さんもぜひ機会があれば建設中の徳山ダムを見に来てください。生で見るプロジェクトXですよ。

なお、2005年6月25日、7月9日、7月23日のどれかの日(すべて土曜日)に、再び同じ見学会を開催する予定です。世紀の大ダム建設を見に行きたいという方がいらっしゃいましたら、私のホームページ「ダム好きさんhttp://damsuki.com/」へお問い合わせください。

[関連ダム]  徳山ダム
(2005年6月作成)
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