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7.宇佗川−室生ダムの建設


室生ダム

 宇佗川は、その源を奈良県宇陀町西部の境、熊ケ岳山(標高 912m)に発し、本郷、迫間、小附を北流して芳野川を集め室生ダムに注ぎ、さらに流下して室生川を合わせて、室生村北東流して三重県に入り、名張市で名張川に合流する延長27kmの河川である。流域には良質のスギ、ヒノキを多く産出し、また茶、柿、野菜、花などの農産物もある。

 室生ダムは、名張川支川宇陀川の奈良県宇陀郡室生村大野地先に昭和49年に完成した。室生川よりトンネル島谷水路により室生ダムに取り入れ、它陀川の水と合わせて、奈良盆地の水道用水、かんがい用水を供給する。この宇陀川分水の構想は江戸末期から4回も計画されたが、ようやくその長かった夢が実現した。


『室生ダム工事報告』

 このダム建設記録については、水資源開発公団室生ダム建設所編・発行『室生ダム工事報告』(昭和49年)がある。室生ダムの目的は、次の通り。

・ダム地点における計画高水流量1100m3/sのうち 550m3/sの洪水調節を行う。
・宇陀川筋の既成農地 348haにかんがい用水を補給する。
・水道用水として奈良市、生駒市などに初瀬水路(延長 5.5km)により 1.6m3/sを桜井浄水場に送水する。

 ダムの諸元は堤高63.5m、堤頂長 175m、堤体積15.3万m3、総貯水容量1690万m3、型式重力式コンクリートダムである。起業者は水資源開発公団(現・水資源機構)、施工者は、(株)奥村組、ダム事業費は81.1億円、初瀬水路事業費16.2億円である。なお、補償関係は水没戸数19戸、水没面積等 131.2ha、地役権設定面積 1.3ha、一方初瀬水路は、取得面積 2.8ha、地土権設定面積0.04haとなっている。

 この書には、「室生ダムは昭和44年に本格的に着工したが、終盤は建設資材の高騰、石油危機、労務費の値上り等で極端な事業費の不足に悩まされ、その窮状は、言語に絶する労苦があった」と記されている。

 平成5年度から平成12年度まで清流ルネッサンス21事業が奈良県、地方自治体等により実施され、このなかで、水質保全ダム水質自動観測装置、ビオトープ施設が設置された。

      ダム開くや 吹きすさぶ 白彼岸花
                          (渋谷 道)

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