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10.刀利ダム(小矢部川)の建設

 小矢部川は、その源を石川県境の大門山(標高1571.6m)に発し、県境分水嶺に沿い渓谷を流下し、福光町野津付近にて渓谷を離れ、山麓の丘陵地帯に入り、右岸に折尾川を合流させ、さらに明神川、山田川を合流するところで庄川扇状地に入り、その末端を曲流しつつ旅川、渋江川、子撫川、千保川等の支川を合流し砺波平野の水を集めて富山湾へ注ぐ、延長68km、流域面積 667km2の一級河川である。

 刀利ダムは小矢部川農業水利事業の一環として、小矢部川上流富山県西砺波郡福光刀利(現・南栃市刀利)地先に、農林省によって昭和42年に完成した。



『刀利ダム工事誌』

 北陸農政局編・発行『刀利ダム工事誌』(昭和42年)によると、刀利ダムは3つの目的をもって造られた。

・豊富な融雪水を貯留し、農業用水として耕地3780.3haに対し確保する。
洪水調節としてダム地点において最大流量 405m3/sを行うことにより下流の洪水を減災する。
・刀利ダムの利用によって、富山県電気局は小矢部川第一、小矢部川第二発電所の建設により、最大出力1万2500KW、1万1200KWを各々発電する。
 ダムの諸元は、堤高 101m、堤頂長 229.4m、堤体積14.8万m3、総貯水容量3140万m3、型式はドーム型アーチダム、施工者は(株)間組、事業費は 40.11億円を要した。なお、主なる補償は移転家屋(水没地、下刀利、上刀利、滝谷の3地区)27戸、土地取得面積 118ha、 学校1などであった。

 刀利ダムは、農林省最初のアーチダムで、堤高 101mのハイダムであることから設計や施工に非常な困難と苦心を重ねて完成している。管理、施工後における堤体挙動等に特に注意を必要として、ダム内には 330個の計器が埋設され、湛水前から満水に至るまで6回にわたり観測解析がなされた。

 刀利ダムの地域は豪雪地帯で、その融雪水がまた貯水池を満たし、そのアーチダムは、一層優美な姿をかもし出している。


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