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◇ 4. 飯田ダム(飯田川)の建設

 涸沼川はー級河川那珂川の支川で、国見山標高392mに源を発し、笠間市を流下し、涸沼を経由して那珂川に合流する。その流域面積420km2、流路延長65qである。一方、飯田川は、同様に国見山に源を発し、笠間市大渕地先にて涸沼川に合流し、その流域面積は9.5km2、流路延長は10qである。

 飯田ダム(笠間湖)はこの涸沼川支川飯田川の笠間市飯田地先に多目的ダムとして建設されたもので涸沼川の総合開発の一環である。茨城県那珂水系ダム建設事務所編・発行「飯田ダム工事誌」(平成4年)によれば、飯田ダムは3つの目的をもって造られた。

@ 洪水調節
 涸沼川沿岸には、上流部に人口約3万人を有する笠間市があり、中流部は茨城県有数の水田地帯を擁しており、未改修区間が多く、出水のたびに被災しており、このため、抜本的な治水対策を樹立する必要に迫られていた。このため、涸沼川石橋地点の計画高水流量70m3/sのうち25m3/sを飯田ダムに導水し、これを合わせて飯田ダム地点の計画高水流量90m3/sのうち60m3/sの洪水調節を行い、涸沼川石橋地点下流及び飯田ダム地点下流の水害を軽減する。
A 流水の正常な機能の維持
 笠間市周辺は通称、「笠間盆地」と呼ばれ、水需要はすべて涸沼川に頼らざるを得ず、渇水による用水不足が頻発している。このため飯田ダム地点下流の飯田川及び涸沼川沿岸の既得用水の補給を行う等、流水の正常な維持と増進を図る。
B 水道用水
 笠間市及び涸沼川沿川の町村では給水人口の増加に伴って、現在の水道用水では給水困難となったため、県中央広域水道に対し、加賀田地点において水道用水として新たに0.3m3/sの取水を行う。


飯田ダム工事誌
 なお、ダムの諸元は、堤高33m、堤頂長219.5m、堤体積7.2万m3、総貯水容量244万m3、型式重力式コンクリートダムである。起業者は茨城県、施工者は、戸田建設、株木建設、武藤建設共同企業体、事業費104億円を要した。

 用地補償については、用地取得面積43.1ha、移転世帯5世帯、漁業権補償等であった。

 飯田ダムの特徴は、涸沼川の水を飯田川へ分水し、それによって治水と利水を図り、その水はまた涸沼川へ戻るようになっていることである。また、ダム湖周辺は生態系創造事業として、水鳥と魚の浅瀬、やすらぎの水辺、トンボとカエルの池、魚とオオムラサキの楽園、浮島が整備されている。



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