[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]


◇ 11. 熊本県のダムのまとめ

 熊本県のダム建設は大正期以降29基に及ぶが、以下のようにまとめてみた。なお、緑川ダムは主ダムと脇ダムが造られており、2基と数えた。

■ 時代建設区分は、大正期1基、昭和初期(元年〜20年)0基、昭和中期(21〜40年)5基、昭和後期(41〜63年)18基、平成期(元年〜20年)5基となっている。昭和41年から63年にかけて高度成長期のダム建設18基に及び、全体の62%を占めピークであった。
■ ダムの型式は、アースダム6基、重力式コンクリートダム16基、ロックフィルダム6基、重力式コンクリートダム・フィルダム複合ダム1基である。
■ ダムの用途別では、洪水調節・農地防災1基、農業用水6基、水道用水3基、発電5基、多目的ダム14基となっている。
■ ダムの事業者別では、国土交通省(建設省)4基、熊本県17基、牛深市3基、姫戸町1基、九州電力2基、電源開発1基である。
■ ダムの堤高は、15m〜30m11基、31m〜50m10基、51m〜70m4基、71m〜100m4基となっている。堤高ベスト3は
   1竜門ダム 99.5m
   2油谷ダム 82m
   3市房ダム 78.5m
である。
■ ダム総貯水容量別では、2〜100万m311基、101〜500万m39基、501〜1,000万m34基、1,001〜2,000万m31基、2,001万m3〜5,000万m33基となっている。総貯水容量ベスト3は
   1緑川ダム 4,600万m3
   2竜門ダム 4,250万m3
   3市房ダム 4,020万m3
である。
■ 熊本県のダムは、四大河川の菊池川に竜門ダム、白川に立野ダム(建設中)、緑川に緑川ダム、球磨川に市房ダムの大規模ダムが建設され、その他のダムは中小規模ダムである。
■ 天草諸島は、主に水道用水を目的とした小規模ダム12基が建設されており、熊本県におけるダム数の41%を占め、重要視されている。
■ 石打ダム、上津浦ダムに見られるように、2つの川を導水トンネルで結び、治水と利水の効用を果し、水を有効に利活用している。
■ 熊本市の水道水は、ダム貯水池の水に依存せずに阿蘇山に降った雨による地下水で供給されている。県庁所在地の都市の水道水が、河川やダムにたよらないことは、全国的に稀なケースである。
■ 熊本県のダム建設は、前述したように昭和20年まで、皆無であった。このことは利水における水道水、工業水のほとんどが豊富な地下水に依存していたためといえる。
■ 平成20年10月現在、熊本県のダムについて、荒瀬ダムの撤去、川辺川ダム建設の是非に係わる問題が生じている。

◇ 12. おわりに

 以上、ダムについて概観してきたが、熊本県に係わる水環境の書をいくつか挙げてみる。
・熊本城址保存会編・発行『加藤清正公の土木治水』(昭和11年)
・中野嘉太郎著『復刻版加藤清正伝』(青潮社・昭和54年)
・矢野四年生著『加藤清正−治水編』(清水弘文堂・平成3年)
・谷川健一編『加藤清正−築城と治水』(冨山房インターナショナル・平成18年)
・熊本工事事務所編・発行『加藤清正の川づくり・まちづくり』(平成7年)
・熊本県編・発行『くまもと水プラン21』(平成6年)
・同『熊本県水資源総合計画』(平成14年)
・熊本県企画開発部編・発行『熊本の水資源 平成8年度』(平成9年)
・同『熊本の水資源 平成14年度』(平成15年)
・熊本県環境生活部編・発行『ふるさとの川や海をみんなで守り育てるために』(平成15年)
・熊本県編・発行『川の水環境調査報告書』(平成9年)
・熊本市水道局編・発行『熊本市水道40年史』(昭和41年)
・同『熊本市水道80年史』(平成19年)
・熊本県編・発行『平成六年渇水の記録』(平成7年)
・熊本県企画開発部発行『くまもとの水』(平成元年)
・熊本県環境公害部発行『ぼくたち わたしたちの名水』(平成7年)
・甲佐町教育委員会編・発行『みどり川はともだち』(平成9年)
・同『わたしたちの緑川』(平成9年)
・同『豊かなめぐみ緑川』(平成9年)
・熊本市環境保全局発行『くまもと「水」検定公式テキストブック』(平成20年)
・熊本日日新聞社発行『くまもと水と緑の百景』(昭和61年)
・同『熊本の名水』(平成10年)
・肥後銀行発行『水の気持ち くまもとの水たち』(平成7年)
・熊本電波工業高等専門学校出版会発行『水は伝える熊本の湧水』(平成16年)
・熊本県保険医協会編『くまもと水防人物語』(槙書房・平成10年)
・田中伸廣著『阿蘇山と水』(一の宮町・平成12年)
・朝日新聞熊本支局編『水は救えるか』(葦書房・平成元年)
・熊本県編・発行『天草の水』(昭和61年)
・出水市教育委員会編・発行『出水の川と生活の歴史』(平成3年)
・国土庁土地局国土調査課編・発行『熊本・八代地域主要水系調査報告書−球磨川、白川、緑川』(昭和51年)
・牛島盛光編著『熊本の川と生活』(熊本日日新聞社・昭和59年)
・白川流域連携協議会編・発行『白川物語』(平成9年)
・全国川サミット白川スペシャル実行委員会編・発行『阿蘇をサカナに川を語る』(平成15年)
・くまもと元気実行委員会編・発行『写真集・坪井川武蔵DUCK RACE』(平成15年)
・柿本龍治編『坪井川とともにくらす』(成文堂・平成19年)
・熊本商科大学編・発行『球磨川が人吉地域経済に及ぼす影響についての調査報告書』(昭和58年)
・人吉・球磨自然保護協会編・発行『球磨川流域環境調査』(平成4年)
・熊本日日新聞社編・発行『新・球磨学』(昭和63年)
・前山光則著『球磨川物語』(葦書房・平成14年)
・麦島勝写真集『川の記憶−球磨川の五十年』(葦書房・平成14年)
・八代教育委員会編・発行『ふるさと八代くま川』(平成元年)
・同『ふるさと八代・球磨川−球磨川のあらまし』(平成3年)
・同『ふるさと八代・球磨川−歴史・人のはたらき』(平成3年)
・人吉市企画部編・発行『九州相良川水むかしものがたり』(平成6年)
・本田彰男著『肥後藩農業水利史』(熊本県土地改良事業団体連合会・昭和45年)
・熊本県編・発行『熊本県農業水利誌』(昭和49年)
・砥用東部土地改良区編・発行『砥用東部土地改良区史』(昭和51年)
・高田素次編・著『百太郎溝史』(百太郎溝土地改良区・平成5年)
・幸野溝土地改良区編・発行『復刻 幸野溝』(平成8年)
・農林省農地局編・発行『菊池川水系農業水利実態調査』(昭和35年)
・同『白川水系農業水利実態調査』(昭和34年)
・同『緑川水系農業水利実態調査』(昭和38年)
・同『球磨川水系農業水利実態調査(2分冊)』(昭和31年)
・柴崎達雄編著『農を守って水を守る−新しい地下水の社会学』(築地書房・平成18年)
・「くまもとの地下水を考える会」編・発行『地下水からの警告』(平成2年)
・熊本県教育委員会編・発行『熊本県歴史の道調査−菊池川水運−』(昭和62年)
・同『熊本県歴史の道調査−菊池川水運・資料編−』(昭和62年)
・同『熊本県歴史の道調査−緑川水運−』(平成元年)
・同『熊本県歴史の道調査−球磨川水運−』(昭和63年)
・玉名市秘書企画課編・発行『高瀬湊関係歴史資料調査報告書(一)』(昭和62年)
・名和達夫編・発行『八代地方の災害史年表744年〜1997年)』(平成9年)
・熊本日日新聞社、熊本県編・発行『熊本県大水害写真集1953』(昭和28年)
・熊本日日新聞社編・発行『6・26白川水害50年』(平成15年)
・熊本工事事務所編・発行『濁流の中から−昭和28年6月26日白川大水害体験記』(平成7年)
・熊本県防災消防課編・発行『昭和38年熊本県災害誌』(昭和39年)
・同『昭和40年熊本県災害誌』(昭和42年)
・永森茂著発行『水害の記−昭和47年7月6日天草の水害』(平成3年)
・熊本県林務水産部森林保全課編・発行『1990、7、2豪雨災レポート』(平成2年)
・一の宮町編・発行『平成2年7月2日一の宮大水害の記録』(平成7年)
・菊池川工事事務所、竜門ダム工事事務所編・発行『s28.s57.H2. 菊池川水害記録、写真集』(平成5年)
・八代工事事務所・川辺川工事事務所編・発行『暴れ川球磨川・水害記録集』(平成5年)
・同『ドキュメント洪水球磨川水害証言集』(平成5年)
・熊本県水俣市編・発行『平成15年水俣土石流災害記録誌』(平成20年)
・中里喜昭著『百姓の川・球磨・川辺』(新評論・平成12年)
・岐部明廣編著『川辺川の詩』(海鳥社・平成14年)
・熊本日日新聞社著『巨大ダムに揺れる子守唄の村』(新風社・平成17年)
・福岡賢正著『国が川を壊す理由』(葦書房・平成6年)
・球磨川流域・住民聞き取り調査報告集編集委員会編『ダムは水害をひきおこす』(花伝社・平成20年)
・子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会編『愛しの川辺川』(実践社・平成19年)
・岐部明廣著『潮谷義子讃歌』(海鳥社・平成20年)


[前ページ] [目次に戻る]
[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]