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座談会
『ダム好き、ダムを語る』
 

出席者 (順不同・敬称略)
Dam master サイト「Dam master」管理人。ダムの個人サイト運営の先駆者の一人。テレビなどにもしばしば出演。マスターと呼ばれダムマニアの間で広く親しまれている。静岡県在住。

takane Googleマップを利用したネット上のダム地図「DamMaps」を作成・公開。最近はネットテレビで生中継をしばしば実施し、人気が高い。サイト「ダム日和」管理人。群馬県在住。
 数年前、高校生のダムマニアとして有名になる。その風貌からか、「ダム王子」とも呼ばれる。代表的若手ダムマニア。サイト「DamJapan」管理人。東京都在住。

萃香 週末はいつもダム。そしてダムの写真を撮る。雪ダム、夜ダムの写真は特に有名。ダムマイスター第1号で、番号は「01-001」。サイト「DAM photographer」管理人。東京都在住。
山口 勲 ダムマニアとして知られるようになったのは最近だが、地元でダム写真展を開催、地方紙などにも大きく取り上げらる。サイト「週末はダムに居るかもね♪」管理人。神奈川県在住。
 

司会 中野 朱美 (財)日本ダム協会
司会(中野) 本日は座談会にお集まりいただき、ありがとうございます。全く思いもよらなかったことですが、少し前に東北から関東にかけて大地震が発生し、亡くなられた方や被害を受けた方がたくさんおられます。心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。そんな中ではありますが、予定通り座談会を開催させて頂きました。遠方からおいで頂いた方もおられますが、皆様お忙しい中をご参加頂き、感謝申し上げます。

 本日の座談会は、「ダム日本」が6月で800号となるということで、記念の特集号に掲載するために企画されました。座談会が3本ございまして、これはその中の一つで、一般の方から見たダムはどう見えるのか、ダムマニアの皆さんにご参加いただいて幅広く語っていただくものです。どうかよろしくお願いいたします。


まずは自己紹介から

司会(中野) それでは、まず自己紹介から進めていきたいと思います。最初に、ダムの個人サイト運営の草分け的な存在で、だいぶ前のことですが、ダムマニアの中ではダム協会に初めてメールをいただいたというDam masterさんからお願いしたいと思います。

Dam master 阿部と申します。阿部繁とか、あべべぇーとかいろいろな名前が飛び交っていますけれども、最近はマスターと呼ばれることが多いんで、よしDam masterという言い方に変えちゃおうというのを思いたったのがつい最近で、それでDam masterという名前で表に出ています。でも、私、ハンドルネームにはこだわりがなくて、阿部さんでも別にいいですし、マスターと呼び捨てにしていただいてもいいですし。

 住んでいるのが静岡県なんですよ。天竜川の近くです。電源開発の3姉妹ダムがあるという非常にダムにはまるには絶好の環境でございまして、佐久間ダムでカウンターをくらってから、ダムにはまり始めたというところですかね。北は福島ぐらい、西は兵庫県の入り口ぐらいまでは行っているかな。700ぐらいダムを回っているので、割と多く回っています。どうも最近マニアを見ていると、ダムの特定の分野しか興味を示さない人とか、写真を撮るのが好きとか、そういう中で私はとにかくシラミつぶしに何でもやっていくというタイプなんで、ホームページの更新も進みませんし、写真の整理もおぼつかないという、こんな状況です。

司会(中野) ありがとうございました。それでは次に、たくさんの方がダム巡りに利用されているネット上のダム地図、DamMapsを作成されたというtakaneさん、よろしくお願いします。

takane DamMapsとかやってます。ダム日和というサイトもやってます、takaneと申します。

 サイト自体は、2001年くらいに始めてたのですけど、ダムのサイトと銘打ったものの5年くらいひたすら日記を書いていました。ダムを見に行くのは見に行ったんですけど、余りまじめにサイト作ったりしてなくて。それじゃまずいだろうというので、DamMapsをつくったりとか。あと、最近だと、ネットの生放送をやってみたりとか、そういう感じです。

 ほかの人が100とか、下手すると4けたのダムを回っている人が出てきている中で、僕家の近所とか、あと遠くにちょこちょこ行ったときにダムを見ている程度で、余り見ていないなっていう感じは改めてしますね。

司会(中野) takaneさんありがとうございました。
 次に、何年か前に高校生のダムマニアとして有名になられて、その後テレビ、雑誌にもよく出演されている琉さんお願いします。

琉 こんにちは。ただいまご紹介に預かりました琉です、というのも今さらかもしれませんが。高校生でダムを好きになって、もう何年たつんだろうというぐらいになるんですけど、後がないというか、後身がいないな、若いダムマニアがいないなというのは、ちょっと最近寂しいというか。

 ダムには最近、一時期に比べたらペースは落ちたんですけれども、やっぱり行っています。今年は、もっとダムに行きたい、行けたら、そして、だんだんサイトの存在が忘れられているような気がするんで、自分のサイトをもっと更新できたらなと、何かアゲインという感じで。どうも、まとまりのない話になって。

司会(中野) ありがとうございました。それでは、次にダムマイスター(注1)に第1号として任命された萃香さん、お願いします。

(注1)「財団法人日本ダム協会ダムマイスター」。広く一般の方々にダムの実態、役割、魅力などについて知って頂くことが重要だとの認識に立ち、それを支援する役割を持つボランティアを、「財団法人日本ダム協会 ダムマイスター」として任命する制度が昨年スタートし、11月1日付で18名の方が初めてダムマイスターに任命された。今回の座談会参加者5名は全員ダムマイスター。詳細は、次を参照。
  http://damnet.or.jp/jdf/dam-meister.html

萃香 「すいか」と読みます。ついこの間も、ダムマイスターの件でかなり自己紹介的な記事が載っていたので、今さら何も言うことはないような気がしないでもないんですけれども、最近皆さんが余りダムに行ってないような話をちらほらと聞くので、私としては、やはり週末はダムというのが基本です。

 お休みがあればダムに行きましょうということが一番だと思いますし、せっかく最近ブームで夜ダムが流行っているし、雪ダムも流行っていましたので、その辺も……
(「この人だけですよ」の声)

萃香 皆さんで楽しんでいただければいいんじゃないかなとは思いまして、写真をいろいろ出させていただいております。

司会(中野) ありがとうございました。それでは最後になりましたが、ダムの写真展を地元で開かれているという山口さん、お願いします。


ダム写真展の様子(山口さん提供)

山口 写真展というか、本当に個人でやっているぐらいなんで、そんな、ばんばんと写真展という感じもないんですが。
 何でダムにはまったかというと、大体五、六年ぐらい前ですね。自治会の会合みたいなところの打ち上げで、宮ヶ瀬あいかわ公園に行ったときに、近くに宮ヶ瀬ダムという大きいダムがあって、もう何だこりゃと、最初そういうふうに思いました。それまでは、風景写真とか、水中写真とか、ダイビングとかをやっていたので、水に精通してはいましたけれども、余りダムには興味がなくやっていました。地元の写真サークルに所属していて、グループ展とかやっていて、ダムを撮っているのは私だけだったものですから、ぜひダムだけの写真展をやってみようという形で思い立って、去年、11月から12月にかけて、それから今年は、また幾つか話があるので、多分回数的には2回か3回ぐらいやることになると思います。
 ダムの数的には、皆さんから比べたら初心者みたいなものなんで、ちょっと緊張はするんですけれども、大体ようやく300基行ったかどうか。好きなダムの形はアーチとか、あと重力式とかが好きなので、その辺を中心に回っています。


座談会の様子
 
ダムに行くようになったきっかけ

司会(中野) ありがとうございました。
 一通り自己紹介をして頂きましたので、それでは皆さんに、どういうきっかけでダムに行くようになったかについて、伺っていこうと思います。

 今、山口さんもちょっとお話しになったんですけれども、ダムを見に行ったときに、自分はどういうところ、ダムの見るポイントみたいなことも少しずつお話を伺いたいと思います。
 まずDam masterさんどうですか。最初にダムに、はまったきっかけは、2000年ぐらいですか。

やっぱり見た目、ビジュアルと大きさと、迫力ですかね

Dam master ホームページを開いたのは2000年ぐらいなんですけれども、実はその前からダムが好きでしたね。静岡県は、佐久間ダムだけじゃなくて、井川ダムとか畑薙第一ダムとか、それから愛知県の方に行けば矢作ダム、阿木川ダム、割と近場に大きなダムがあって、最初はやっぱり見た目、ビジュアルと大きさと、迫力ですかね。道を走っていたら目の前にダムがあらわれたとか、そういうシチュエーションではまっていったことが多いですね。

 小さいころからあっちこっち親に連れ回されていたので、そういうのもあったんじゃないのかなという気はします。でもやっぱり学生時代に原付を持つようになってから行動範囲が広がって、走るのを楽しみながらダムを見るというスタンスが確立していきましたね。残念ながら、現在は撮影機材が余りにも重たく大きくなったのと、私は結構アースダム、農業用のため池とかも行くもので、そうなるとやっぱり大型二輪車だとなかなか難しいところがありますね。当時はバイクでダムを見に行くというのが好きだったんですけれども、結局残念ながら今は車、撮影機材と布団と地図だけ車に積んでそのままダムに行くというスタイルに変わってしまいました。はまったことになるのかな。

黒部ダムに行ってみたら、思いのほかすごかった

takane 僕は、何がきっかけだかよくわからないんですが、黒部ダムを見てみたいと思ったんです。それで行ってみてみたら、思いのほかすごくて、それでダムって面白そうだぞと。僕、実家が群馬ですが、そのときは都内で働いていたんですけれども、実家に戻ったときに、群馬の矢木沢ダムとか、奈良俣ダムに行って、ああこんなところが地元にあったんだというのに気づいて、それでいろいろ回り出しました。

ダムへの入り口を開いたのは小渋ダム

琉 最初に、ダムへの入り口を開いたのは小渋ダムで、何となくそこに迷い込んで、ちょっとダムを見たら、そのときに何かを植えつけられたらしく、何か帰ってからずっと小渋ダムのことが気になって、なんだ、あれは何だったんだろうと、無意識のうちに心の中に存在をぴっと植えつけれてしまって、帰っていろいろ調べたんです。今度は、ダムを見に行こうと、ダムが通過地点じゃなくて、目的になり初めて、それから次に行ったのが梓川にあるあのダムたち、それを見て、やっぱりダムっていいなというか、迫力に押し倒されそうになって、それがこの世界への入り口です。

 それまではキャンプに行くのがメインだったのが、それからはダムを見に行くためにキャンプをするようになって、免許を取って一人で車で行くようになってからは、もうキャンプというのがどこかに行っちゃって、完全にダムを見に行くために車でどこかに行ってという感じでした。基本的に、ドライブも楽しみつつ、ダムを見てという、そういうちょっとマスター殿と少し似ているような気がすると思いまして。言っている意味分かりますか。はまったきっかけって、つまりのところ小渋ダムということです。

黒部ダム(takane さん提供)

小渋ダム(琉さん提供)
司会(中野) よくわかります。

琉 だから、多分アーチが好きなんだと思います、潜在的に。アースに興味を持っている最近でも、やっぱりたまにアーチを見るとああやっぱりアーチいいなフフフみたいな、初恋の人が忘れられないというか。

司会(中野) なるほど、アーチダムである小渋ダムの印象がすごく深かったわけですね。

琉 今でも、小渋ダムに行くと、何かすごくなつかしいというか、優しい気持ちになるんです。

司会(中野) 萃香さんはどうですか。

カタログ写真的なものばっかりでつまらない、じゃ自分で撮ろう

萃香 ダム自体は、昔から見たりはしていましたけれども、もともと鉄道写真を撮るのがメインでしたので、秩父鉄道を撮っていたときに、沿線に浦山ダムがあるわけです。最初は、何か壁が立っている程度のイメージだったんですけれども、近くへ行って、どんなもんかなと思って見たところ、大きいじゃないですか、156mあるダムですから。これはすごいやということで、写真を撮ったりしてたんですが、その後、じゃあどんな写真があるんだろうと思って、もうその頃ですからホームページにもいろいろな写真が載っていたりしたんですけれども、見るとみんなきちんとした写真ばっかりなんですよ。カタログ写真的なものばっかりで。ここが見たいのに写ってないという写真が結構多かった。じゃ自分で撮りまくろうというのが始まりです。

 一般的な写真は皆さん撮っているので、自分でそれをがんばって撮っても、もう厳しいんで、だったらみんなが撮ってないようなアングルから撮ろうと、いろいろ頑張ってやってみた。その過程で夜撮ってみたりと。夜の写真が全くなかったわけじゃなくて、ライトアップしたときとか、そういう写真はあったんですが、真っ暗な中で真っ暗なダムを撮っているなんていうことは余り考えられてなかったようなので、じゃその辺をと、そんな風にしてどんどんダムを撮るということにはまっていったという感じですね。

司会(中野) 山口さんも、先ほどダムにはまっていったことを少しお話しされましたが、以前はダイビングをしておられたということですか。

山口 ダムに興味を持つ前は、東伊豆を中心にダイビングで水中撮影をやっていました。ライセンスのランクはレスキューダイバーで、潜った本数も200近くありますが、ここ4〜5年はまったく潜ってません。もはや潜り方を忘れてしまいました。ダイビングはまた海中に興味を持ったら再開したいと思います。

司会(中野) それがどうしてダムに興味を持つようになったのですか。

見た目だけじゃなくて、1つ1つやっぱり重いものがある

山口 地元の近くの宮ヶ瀬ダムに行って、まず大きさを見てすごいなと。それで、次に思ったのが、じゃ地元の神奈川に何個くらいダムがあるんだろうと。そういえば知っているのが二、三しかないのと、よくよく調べてみて、そのときは確かダム協会さんの存在を知って、そこの情報を見ていた中で、どうやら10基ぐらいあると。じゃせっかくだから回ってみようかなという形で見ていきました。見ていくと、歴史とか、宮ヶ瀬ダムは新しいダムですけれども、相模ダムとかは非常に古くてもう60年以上たっているとか、そういった見た目だけじゃなくて、1つ1つやっぱり重いものがあるんだなと思うようになりました。ダムの奥深さといいますか、そういうところを感じました。


ダム巡り、苦労も楽しさもいろいろあって

司会(中野) 今、山口さんからもお話しがあったんですけれども、ダムを見に行くときに、ダム便覧とか、DamMapsとか、調べるツールみたいなものはありますか。Dam masterさんは以前にダム協会にメールを送られたということですが、何か調べるためにですか。

Dam master ダム便覧がない時代ですから。

ダム協会にメールした

司会(中野) ダム協会にメールをいただいた最初のダム好きさんということですか。

Dam master そうかもしれませんね。あのころは、2000年ぐらいで、ダムについてどこに聞けばいいのかわからなくて、ネットでダム協会と打ったら出てくるかなと思ったら出てきたんで、とりあえず聞いてみようかというのがきっかけです。もし私がそのときにダム水源地環境整備センターとかにメールをしていたら、こういう御縁はなかったのかもしれません。

司会(中野) どういう質問をされたんですか。

Dam master よく覚えていませんが、船明ダムの高さって何メートルなんでしょうかねとか、そんなんじゃなかったかな。当時はどこにも書いてなかったんですよね、船明ダムの高さ。今はどこでも出ているじゃないですか。ダム便覧を見ればいいんですけれどもね。当時はね、行って、看板に書いてなかったらもうそれで終わりだったんですよね。

 当時はね、地図を見てダム湖のあるところに印をつけて、そこに行っていたんですね。たまにこの川の上流何キロのところに何々ダムがありますという放流注意の看板、あれを見て、あれこんなところにダムができていたんだ、僕の地図は古いなとか、そういう一喜一憂があったんですが、今はもう全然違いますね。

今はもうDamMapsとダム便覧と、水力ドットコム・・・

Dam master 今はもうDamMapsとダム便覧と、水力ドットコム、それからあとヤフーの地図が水力発電所の水路が結構載っているんで、それと国土交通省の2万5,000分の1の地図。そんなものを見ながら、ダム巡りのプランを立てているというのが今のスタイルですね。

司会(中野) 1回行くと、何基くらいダムを巡られるんですか。

Dam master 1週間で50ぐらいですかね。昔はもうちょっとペースはよかったんですけれども、最近水力発電所も必ず回ろうとか、円筒分水が近くにあれば必ず寄ろうとか、あとは、近くに温泉があればそこで立ち寄ろうとか、ここにちょっと発電所のPR施設があったら寄るかとか、ちょっと観光スポットなんかも見ないとね。ダムばっかりだとあきちゃいますから。

山口 確かに。

Dam master 社会の中で、ダムがどういう位置づけにあるのかなというスタンスで私は見るようにしているんです。だから、その辺の地形の雰囲気とか、道路がどうつくられていったとか、町がどの辺に位置するとか、そういうダムに直接関係ないけれども、何となく関係しているようなところまで、雰囲気的にわかるような回り方をしています。

DamMapsはこうしてできた

司会(中野) takaneさんが、DamMapsをダム便覧をもとにつくられたというところをお聞きしたいと思います。

takane もともと、最初からDam Mapsを作ろうと思って作った訳ではなく、Googleが、ああいう地図をだれでもプログラムできるようなものを公開したんで、それを試しに使ってみようというので、地図にピンを打つみたいなプログラムをつくって試してみたんです。それで、そういえばダム便覧にダムの経緯度が載っていたなと思い出して、試しに1個のデータの数字を打ち込んでみたらぴったし一致するので、ああこれ試しに全部とれるようにしてみたらおもしろいんじゃないかというので、きちんと作り出したのがそもそもの始まりです。

 それから結局半年くらいずっとそれをやっていました。ある程度使えるようになって、それをもとにしてどこか僕も出掛けるようになって、不便なところがあると家に帰ってからちょっと機能を追加してみるみたいなことを繰り返したんです。最近は、僕が出掛けないからアップデートされないというのがありますよね。自分で使わないと制作のモチベーションがあがらないというか。


DamMaps
DamMapsを改善してほしい

Dam master 文句は言っていいのかな。

takane 文句を言っても、更新されるかどうかはわからないけど。

Dam master でも、ダム便覧の間違いもあるからね。

takane 位置の間違いはダム便覧で直してもらうと、僕が定期的と言っているけれども、実際は不定期に更新しているんです。

 今、iPhone対応とかしたいなと思っているんで、それはそのうちできるかもしれないですね。僕が欲しいんで。

琉 僕も欲しいんで。携帯用につくってください。

司会(中野) そうですね。普通の携帯でも対応してほしいですね。
 ダム便覧の緯度経度のデータが更新されたとき、なかなか直らないみたいですが、直すのは大変なんですか。

takane いや、直せばいいんですけれど、去年ダム便覧がリニューアルしたあたりからデータがうまく取り込めなくなったことがあって、直すのがちょっと面倒くさいなと。本当はちゃんとプログラムを作り直さないといけないと思うんですが、それまでのプログラムがもう大分へたってきて。ちょっとうまくいかないところがあるんです。

琉 緯度経度って、手で自分で全部打ち込んだんじゃないんですか。

takane いや、取り込むプログラムがあるんです。データを取り込むのをダム便覧から許可してもらっているので。あれ、さすがにちょっと一人で打ち込むのは無理……

司会(中野) 琉さんは、ダムを回るとき、DamMapsを使って回るということですか。

琉 よく見ます。でも、そう聞かれるとDamMapsに対して思うことを言っちゃうかも。

takane 要望座談会。

琉 DamMapsって持ち出せないじゃないですか。それがある意味一番の不便、なんか言っちゃ悪いんですけれども。印刷しても、もし縮尺を余り大きくするとすごい枚数になっちゃうじゃないですか。

司会(中野) そうですね。ダムって位置がすごくわかりづらいので、持ち歩ければいいですね。でも、DamMapsはすごいなと思うんです。

琉 そういう意味では、ダム巡りの歴史が変わったなんていう、ちょっと。

司会(中野) そうですね。

カーナビにダムが全部ちゃんと載っていればいい

琉 すごく大きな話になっちゃいますけど、理想としては、カーナビにダムが全部載っていればいいんですね。アースダムまで全部ちゃんと名前つきで載っていて、そこまでいく道も載っていてみたいな、だったら一番いいんですけどね。

司会(中野) どこかのカーナビの会社がそういうことをやるんならデータを提供してもいいのではないかと思います。

琉 それだったらお金を払ってそれを買ってもいいかなと。ダムって住所ないのが多くないですか。

司会(中野) 萃香さんは、DamMapsを見てダムに行かれることが多いですか。

萃香 まあ、そうですね。最近はDam Mapsが一番見やすいですから、あれで当たりをつけておいて、あとはGoogleマップで、あれは実際の地形が写真で見れるわけですから、それで見てどこへ行くというのをおさえますよね。詳細は2万5,000分の1の地図で道路を調べて、その他には通行止になっていないか、柵がないかというのをネット等で調べた上でルートは組むんですけれども、大体そのとおりになってないですから。あとはカーナビで、行ったところはすべてプロットしているので、カーナビにはダムのデータがどんどんたまっていきます。けれど、行ったところのデータですから。たまったデータを皆さんに配った方がいいのかなという気がしないでもないですけれども、互換性はないので難しいですね。

見えるところは一通り見る、そして全部撮る

司会(中野) ダムに行ったらどういうところを見るんですか。



萃香 見えるところは一通り見ます。下からだろうが、上からだろうが。まずダムに行って、天端に普通立ちますよね。ぐるっと見渡して、どこを見るかと。下流は下を普通見て、あそこに行ける行けないを判断します。右岸左岸を見て、山の上まで一応見て、それであそこからなら撮れるという判断をするんです。

 その後、そこへどうやって行くんだよという話になるんで、1回だけではどうしても済まない。1回行ったときに、大体あそことあそことあそこは行けるなというのを考えた上で、次に行くときに地図でプロットして、道を調べて、行くようなことになります。
 上から撮ってみたり、ダム湖側から撮ってみたり、あとは細部っていうか、部分的なところですね。ゲート取水塔とか、そういうところは一通り撮ります。余りホームページを見ても写真がないようなもの、艇庫ですとか、そういうのって載っているところが少ないので、その辺を撮ってみたりとか、あとは季節によって水位が変わっていたりするので、水位が高いときと低いときと撮り比べてみたりとか、そういうことはありますね、撮り方として。

琉 まじめですね。自分が適当なだけかもしれませんけれども。

萃香 いや、でも撮っているときは意外といいかげんですよ。最近何がすごいかというとデジカメですよ。フィルムのカメラだったら36枚撮りが限度じゃないですか。フィルムを持って行ったとしても10個ぐらいしか持っていかないから360枚撮れればいいとこですよ。でもデジカメって500枚、1,000枚平気で撮れるわけです。嫌なら消せばいいだけの話ですから。木がかかっていようが、電柱が立っていようが、邪魔になっていようがとりあえず見えるところから全部撮る。

司会(中野)写真に関してはどうですか、山口さんは、最近撮り始めたということですが、300基ぐらい行かれておられて、ダム巡りのポイントはダムの写真を撮るということですか。

そのときそのときに最高の1枚を撮りたい

山口 まあそうですね、ダムってやっぱりはまれるポイントがいっぱいあるじゃないですか。歴史とか。でも、萃香さんもおっしゃるとおり、本当にデジカメというのがキーになっていますね。とにかく上から下から、右から左から、もうまずは手当たり次第に撮るという形ですね。あとは、撮るときのポイント。近場だと複数回行けるけれど、遠方になってしまうとなかなか頻度多く行けないですね。遠方はなかなか行けないですけれども、そこに着いたときというのは、そのダムが見せてくれる姿、一期一会みたいなものなんで、やっぱりそのときそのときに最高の1枚を撮りたいということを意識しながら、頑張りますね。

司会(中野) ダムを見ていて何か不審に思われたとか、そういう苦労話とかありますか。何か注意されたとか。

車中泊で職務質問された

山口 そういうのはいろいろありますね。結局連泊とかで行く場合に、暗くなったら撮れないんで、車中でもパソコンで写真を載せるとかやるんですね。回りが真っ暗なんで、周りから見ると車内だけがこうこうと人影が写っている感じがするんです。山形の方に行ったとき、一般に開放している神社の駐車場があったんで、そこに車をとめていたら、近くから不審か何かの通報があったんでしょうね。もう車を運転しないので大丈夫だろうと少しお酒を飲んでいて、車の中でパソコンをやっていたら、こんこんとやられて、職務質問され、何やってんのと言われたりとか。

萃香 そんな経験はないな。

琉 ありますよ。岩手の夏油温泉、そっちの方にダムがあって、ダムの下の町にコンビニがあったんですね。田舎のコンビニってやたら店の何倍も駐車場があるんです。きょうの夜どこで寝ようかなと思って、ちょうどコンビニに寄ったら大型トラックが駐まっていて、エンジンもついていた。寝ているなと思って、駐車場も広かったんで、ではここで今日は寝ようかなと思って、寝たんですよ。

 そのときは、小さい車だったんで、身長が177もあるもんで、頑張って車の中を拡張しても絶対足が曲がったりしているわけですね。ちょうど10月ぐらいで、夜はやっぱり冷えるじゃないですか。かといって朝はまだちょっと暑いので、トランクに寝ていたんですけれども、後部座席のドアをちょっと開けておいたんですよ。それで不審がられたかどうか知らないんですけれども、朝の5時とか4時ぐらいに外が明るくなったというか、ライトがすごいこうこうと光ったんです。自分の車が照らされているなと思って、そうしたらこんこんとされて「あんたこんなところで何してんのこんな時間」って言われました。岩手県でなまりが強い警察官なんですけれども、いや寝ていただけですというと、「こんなところで何で寝ているの、こんな寒いのにドア開けてさって」、でもちょっと暑いんで、「いや暑いって今寒いじゃねえかよ」って。そのときに気温が9度だったんです。寒かったんですが、でも暑くなることを見越して開けておいたというのを、何か理解されなかったらしくて、免許証を見せろみたいなことを。

司会(中野) 夜そこに行って待機をしているからでしょうか。

琉 ダムの近くに泊まって、次の朝、朝早くからダムをいっぱい見ておきたい。というか、行動を夜のうちにしておいて、朝明るくなったらすぐダムに行けるぐらいの場所に割といつも寝るんです。

夜ダムの撮り方

萃香 夜ダムを撮っているときは、真夜中でも撮っているわけじゃないですか。でも、それは事前に管理所に話を通していますから、余り問題ないんですよ。昼間のうちに管理所に寄って、写真撮っています、夜も撮っていますと話を一応通しておいて、特に不審がられるということはないとは思うんです。


夜の亀山ダム(萃香さん提供)

司会(中野) そこまでしてダムに行きたいという、夜中でもダムの写真を撮りたいという、そういった魅力があるわけですね。

萃香 いや、それはね、夜のダムの写真がいっぱいあれば別に私がやることもないんですけれども、見たいシーンというのが結構あるんですが、写真が余りない。昼間見ていて、夜照明がつくんだなと思うと、じゃどんな感じに見えるのかなっていうのはやっぱり思います。工場やジャンクションでもありますよね、昼間なら普通に見えるものが、夜だときれい。まったく違って見えたり。ダムもそう見えるだろうというのがあって、夜どうしても撮りたいなというときは、昼間から行っておいて、撮影場所をおさえておいて、夜になったら撮るという感じですね。
司会(中野) Dam masterさんはどうですか。

朝ダムが一番いい

Dam master 朝ダムが一番いいですね。もやが出ていてね。朝ダムは実はすごいきれいなんですよ。じゃきれいな写真撮っているのって言われると、大して撮れているわけではないんだけれども。

萃香 朝ダムブームにしてください。

Dam master 朝ダムブームにしたいんですけれどもね、本当に瞬間なんですよね。夕焼けダムと朝ダムは瞬間ですよね。ぼうっとしていたらあっシャッターチャンスを逃しちゃったみたいな、そんな感じなんです。

司会(中野) そんなに美しいのですか。

Dam master きれいに撮れているわけじゃないんですけれどもね。きれいに撮る腕は残念ながらないんですが、きれいなことは私が証明します。

琉 結構撮るの難しいんですよ。

Dam master 光が難しいんですよ。風景がきれいなことはものすごいきれいです。ダムをきれいに撮れるかということとは別問題ですね。

萃香 風景の中のダムは撮れます。でも朝のダムを主張したものを撮ろうとすると難しい。何回か挑戦しましたけれども、見た印象とできた写真との差はでかいです。

琉 気分が印刷できればいいんですけどね。

司会(中野) takaneさんはどうですか。

ストーリーを組み立てられるように

takane 僕はそもそも写真をそんなに真剣に撮ってないんで。そうですね・・・。全然違う話してもいいですか。

 最近は、動画をつくったりとか、あとニコニコ生放送というネットの生中継で話をしたりするので、そのネタ集めで結構いろいろなところに行ったりすることが多いんです。どこか見に行ったときに、見方として、1つストーリーみたいなのを組み立てられるようにいろいろな場所を見ていくみたいなことを結構気にしています。動画だったら15分とか、それくらいで1つの話になったりとか、ニコ生だったら、30分で1本の話になるように、ここを見て、ここを見てという感じで見ていくことが多くて、そういうふうに見ていくと、半日とか1日とかかかっちゃうんですけれど、割と今までぞんざいに見ていたなみたいなことを結構気づかされるというか、ちゃんと見ていくとああなかなか面白いなんてことを思ったりとか、そういうことがありますね。

ニコニコ生放送の画面(takane さん提供)

ニコニコ生放送の使用機材(takane さん提供)
司会(中野) 琉さんには先ほども苦労話をお聞きしましたが。

ダム人生で一番の苦労をした

琉 ダム人生の中では、一番の苦労をこの間したんです。苦労というか、失敗談という感じ。宮城の七北田ダムというところに行ったんですね。冬の朝、2月だったんですけれども、朝の6時、7時ぐらいで、ダムを一通り見て、じゃダムの湖岸の道路はどうかと。そこから先は行けないかなと思ったんですが、別に柵もなく、雪が積もっていたんですけれども普通に行けたんです。だんだん雪が多くなってきて、戻ろうかなと思ったら、Uターンできる場所がない。バックをして戻るの面倒くさいな、ちょっと進むかというふうに、それが結果的にひどいことになってしまう原因でした。坂になっていて、あっ坂だ、戻りたいけれども、もうちょっと行ったら戻れるような広場があるかもしれないと思って下ったのが最後、その坂の途中で、雪がすごく積もっていて、スタッドレスをはいていたんですが、ちょっと滑って山側の雪の方に車が動いてしまった。するっと滑ったときに、山側の雪に車が落ち込んで、そこではまったというんですか、動けなくなってしまった。冗談抜きで、雪もすごい、さあどうしようという感じでした。

 周りに家もないし、助けを呼びに、ダムの下流まで1人で歩いていくと、やっと民家が見つかりました。すごくやりづらいなと思いながら、自分で失敗して迷惑をかけて、何をやっているんだと思いながら、その家に行って、こうこうこうなんでと。

 トラクターとか、そういうのがあるかなと思ったんですが、実際あったんです。それで、すごくありがたいことに、トラクターで引っ張ってもらったんです。ところが坂が急なのか雪が深いのかトラクターでは動かない。

 もうしょうがないからJAFを呼ぶしかないとまさに電話をしていたら、今度は後ろからランクルが来たんです。別に呼んでもいないのに。みんな車をおりてきて、そうしたら猟師だったんですね。車が2台。いっぱいおりてきて、例のごとく東北なまりでいろいろ聞かれ、「こっから引っ張り出すからさあ」とか言われて、結局、猟師の人の車にめっちゃすごい勢いでウインチとかで引っ張ってもらった。そういう非常にお恥ずかしい失敗談ができてしまいました。


雪ダムにはかんじきが必要

萃香 長靴にかんじきは用意して。

琉 かんじきは本当に雪ダムには必要ですね。スノーブーツというよりかは。

萃香 必ず積んでいます。


好きなダムは

司会(中野) そんな苦労をして見に行かれるダムですが、Dam masterさんは、好きなダム、例えば季節でもいいですし、型式でもいいですし、そういったものって何かございますか。

よく聞かれるが、よく答えられない

Dam master よく聞かれる質問なんですけれどもね、毎回……

萃香 答えられないんです。

Dam master よく答えられないんです。みんなそうなんです。

萃香 ダムはみんな違ってみんないいですからね。

Dam master ダムは何がいいの?というのと、どこのダムが好きなの?というのはやっぱりみんな答えられないんですね。

司会(中野) 例えばアーチダムが好きなダムといったようなことでもよいのですが。

佐久間ダムって、すごい割には無名

Dam master 私、結構まんべんなく好きなタイプでね。アースはアースでいいんですけれどもね、アースもたくさん見ているからあきちゃう。ときどきロックフィルがあって、たまにアーチがあったりするといいとかね。そんなの全然質問に対する答えになっていないね。

 最近、みんなが黒部がいい黒部がいいと言っているんです。黒部は確かにいい、私も好きで、四季折々いろいろな表情を見せてくれる。でも、それで佐久間ダムが評価されないというのかな、黒部ダムを建設する技術というのは佐久間ダムで培ったはずなのに、黒部の技術はすごいとみんなが言うんで、そこで私はちょっと嫉妬しちゃうんですよね。

琉 佐久間ダムって、すごい割には無名ですよね。

Dam master なので、佐久間ダムのアピールが足りないんじゃないのと。そういうところでいうと、実は僕は心底佐久間にほれていて、佐久間ダムがないがしろにされていると嫉妬してしまう気持ちが芽生えてしまうのかなと。


佐久間ダム(Dam master さん提供)
萃香 昔はきちんとアピールしていたんですよ。

Dam master 佐久間ダムは、常緑樹ばかりで紅葉もあまりないですし、しかも雪も降らないですし、強いて言えば台風が来たときに放流するとダイナミックなのが見られるんですけれども、残念ながら放流するときは大体通行止めになります。台風が来ると、雨量による交通規制が入って。

司会(中野) 山口さんはどうでしょうか。最初に宮ヶ瀬ダムが好きだというふうにおっしゃったんですが。今も、そうですか。ほかを回られて何か好きなダムはありますか。

車の中で絶叫した

山口 アーチダムにあこがれます。神奈川県ってアーチダムがないんです。

琉 東京にもないです。


御母衣ダム(Dam master さん提供)

山口 だから初めてアーチダムを見たのが、稲核ダムです。初めて見たときに、真っすぐ走っていくと目の前にぽっと出てくるんですね。だから、もうそのときは1人だったんですけれども、車の中で絶叫しました。うおっ、これだよっていう感じでしたね。

萃香 ありますよね、角を曲がった瞬間に前にダムがあったら、絶対に車の中で叫んでいますよね。

Dam master 僕、ちなみに御母衣を下流から上流に走っていくときが好きで。走っていて、どんどん視界のなかに御母衣ダムが大きくなっていって迫ってくるんですよね。
 あと秋葉ダムのトンネル。トンネルがあって、トンネルを抜けたところで秋葉ダムって。
司会(中野) 琉さんは、ダムのどこを見て感激されますか。好きなダムというのは。

意外とアースが好き

琉 好きなダムって、本当難しいですよね。形でいいですか。

 意外とアースが好きです。ロックフィルよりアースの方が好きです。ロックフィルって、こんなことを言ったら怒られるんですけれども、何か個人的には余りおもしろくないなという。地方にある割と影の薄い地味なロックフィルダムって本当に地味なんで、それよりかはアースダムの方がおもしろいかな。行くまでの楽しさもあり、みんなすごく色が濃いんですよ。個性的というか。土手といえば土手なんですけれども、ちょっとしたところにちょっとした特徴があったりというので、アースダムが意外と好きで、次はやっぱりアーチかな。

Dam master ロックはどっちかというと、御飯大盛りで見せていますみたいな感じです。どっちかというとね。

takane ロックフィルでも御母衣は好きなんですけれどもね。

Dam master 洪水吐がですよね。洪水吐きで色気を出しているぞという感じかな。

 でもアースは、石川県の能登半島に行ってみてよ。ずっと2日間ほとんどアースだよ。あとから写真を見返してもどのダムなのか分からないですよ。

司会(中野) アースダムがお好きって言われたんですけれども、具体的にアースのどういう名前のダムですか。

荒沢1、2、3が好き

琉 岩手の北の方にある荒沢1、2、3。あのあたりが結構好きです。行くのがすごく大変なんですけれども、逆に行くのが大変だからこそちゃんと着いたときの喜び、山登りみたいな感じですかね。登るのが大変な、登頂したときの達成感があるみたいな。やっぱりダムも行く道が険しいほど着いたときのあったという感じが、やっとあったみたいな、その感じが結構、それは大きいコンクリートとかのダムでは味わえないものだなという。到達する難易度ではアースダムが高いので、その難易度の高さが魅力をかさ増ししている感じがあります。

司会(中野) 萃香さんなんかはどうですか、好きなダムは、何か型式とかあるんですか。


荒沢3号ダム(琉さん提供)
雪の時期はロックフィルが一番いい

萃香 みんなアースばっかり言っているから、じゃ私はロックフィルですね。いや、別にどれが好きというのは本当に難しいんです。それぞれに対して好きなところがみんなあるわけですけれども、だから、さっきロックフィルが余り人気がなかったんで私が推していくのは、この時期というか、もうちょっと過ぎちゃったんですけれども、雪の時期はロックが一番いいです。

琉 雪が乗ってきれいです。

萃香 どうしても普通の重力式とか、アーチなんていうと、雪は積もってもすぐ落ちちゃいますから。その点、ロックフィルは乗っかっていますから。別にアースでも乗っかっていますけれども、規模としてはロックフィルが大きいですから、見栄えとしては大きくきれいですよね。具体にどこのダムがいいかと言われると、最近は三国川です。

三国川は一番見栄えがいい

琉 三国川はいいですよね。

Dam master 毎週行かれていましたね。

萃香 毎週行ってましたね。だっていい写真1枚も撮れないんだもん。あれだけ行っても。


三国川ダム(萃香さん提供)
琉 その原因は何ですか、撮れない原因は。

萃香 もちろん、天気が一番の原因なんですね。天気が一番よかったときに街灯が切れててとか。でも一週間後に直ったのは、あれびっくりしましたけれどもね。街灯が切れているってツイッターに書いておいたらそのうち直っていたし。

琉 読まれていたんじゃないですか。

萃香 翌週には直っていたのかな。三国川は一番見栄えがいいんですよ。見れるアングルもいいところにあるし、この時期でないと、天端は車で入っていけないんですよね。

琉 今、車は天端に入れるんですか。

萃香 冬だけ入れるんです。もっともダムの天端に立つと両側が2メートル以上の雪の壁で、どっちを向いても何も見えない。で、かんじきが役に立つわけです。あの雪の山の壁を登っていくわけですよ。

琉 でも雪の壁の上ってダムの堤体じゃないですか。

萃香 いや、歩道の部分が除雪してないですから、歩道の部分に乗れるんですね。職員さんに話をして、写真を撮りに来たよと言って、見えないから登るよと言って、それで撮っています。


ダムの管理所の方に要望したい

司会(中野) 皆さんのお話をお聞きしていると、すごく苦労してダムに行かれているんですけれども、ダムの管理所の方に、ダム巡りをするときに何か要望したいこと、もっとこうしたらうまくダムが見られるのに、工夫してほしいとか、何かそんなことがありますか。

管理所は人がいれば皆さん親切、無人のダムはどうにもならない

萃香 それはいっぱいありますけれども。でも、基本的に管理所に管理者がいるところというのは、皆さん親切です。要望を言えば大体かなえてもらえるというのが多いですよね。下から撮りたいんですけれどもと言えば、門を開けてくれたり、管理所の屋上から撮りたいと言えば上がらせてもらえたり。意外とフリーに接してもらえるんですごくありがたいです。けれども、管理所に人がいないようなところ、無人のダムはどうにもならないですね。行きどまりで、下から撮りたくても入れない。柵を乗り越えていくわけにはいかないし。

司会(中野) どこに問い合わせたらいいか分からないということなのでしょうか。

萃香 いや、大体閉鎖しているときでも問い合わせ先は書いてあるんですが、さすがにあれに電話して、ダムを見たいんですけれどもと言う勇気はないですね。何かあったときにはご連絡を、とあるんで、緊急事態だったらわかるけれども、見に来たんで門を開けてくださいとは言えないです、さすがに。それを言えるくらいの、逆にフリーな看板くらい立てて、見学されたい方はこちらにお電話くださいくらいの看板をつくってもらえるといいんじゃないかなと思います。

司会(中野) そこに行って、何もなくて拒絶されているのはちょっと困る。もう少し開いたダムになってほしいということですか。

萃香 閉じている理由は安全のこととかを考えているんでしょうけれども、余り理由なく閉じているところも結構多いように思えるんです。

司会(中野) なるほど。Dam masterさんはどうですか、ダムの管理所に行かれたときに何かありましたか。

Dam master 見せてくださいとしか言えないですね。1人の人間のために、事務所からダムまで来て、私たちが写真を撮る間つき合って、じゃどうもありがとうございましたと言う間の時間をお金に換算すると、なかなかすごい金額になるので。暇なときはいいかもしれませんけれども。

 以前、馬瀬川第2ダムってあるじゃないですか。岩屋ダムの下流ですね。見学の申し込みはこちらへどうぞと電話番号があったので、普通に電話をかけたら、はい何々事務所ですって言って、今、うちの事務所から、そちらに行くと1時間ぐらいかかっちゃうんだけれども、それだけ待っていてくれればということでした。私1人の人間のために動いてもらうのは申しわけないということで遠慮したんですけれども。なかなか自由に見学できるというのは難しいですよね。

萃香 どうしても遠慮が出ちゃうんですね。

Dam master それは出ちゃいますよね。

琉 特に土日とかいうと。

Dam master 土日はもうあきらめていますけれどもね、私は。

琉 土日は、人いないところもふえますね。

Dam master 国土交通省関連がもう土日は、基本的に閉鎖するようになっちゃったんで。小里川ダムだっけ、あそこはもう土日は開けなくなっちゃったんですよね、ダムの堤体内。

展望台をせっかくつくってあるなら、その整備くらいはしてほしい

萃香 それから展望台をせっかくつくってあるというダムは、あるんだから、その整備くらいはしてほしいですね。夏に行くと展望台に草ぼうぼうで入れないというのはちょっと問題外です。

琉 入れても草が生え放題で、展望台から何も展望できないとか。

萃香 展望台はあるんだけれども、そこまで行く階段がないとか。

Dam master 展望台に行ったけれども何を展望していいのかわからないような眺めしかないというか。

萃香 やっぱり、それは一般の人とダムを見る人の差だと思う。大体展望台ってダム湖を見せている。我々は堤体を見たいわけです。だから、展望台の位置が違うんです、基本的にね。

司会(中野) 管理事務所もなかなか管理が行き届いてないところもあるということなんでしょうね。

琉 平日でも、人が全くいないのに、やたら立派な管理所を見ると、さすがにちょっともったいないなと思いますよね。すごい凝ったデコラティブな管理所で、しかも大きいし、駐車場もちゃんとある、けれども無人みたいな。

司会(中野) そうですね。パンフレットも何も置いてなかったというところもあるわけですね。


Dam master 外から窓を通して管理所の中を見て、ダムの役割とか書いてあるのが見えます。ところが管理所に入れないとき、せめて看板だけでも立ててくれという感じですよね。せめて役割、高さ、主要諸元、それから下流への役割とか上流がどうなっているかとか。


ダムを知ってもらうために

司会(中野) 一般の人にダムを知ってもらうために、理解をしてもらうためには、努力をしていかなければいけない、こういうふうにしたらダムは、一般の人に理解されるんじゃないんだろうかというところを皆さんにお聞きしたいのですが。

琉 マスコミが取り上げるとか。

Dam master いい方向で取り上げてくれればいいですね。

司会(中野) 山口さんは、何かありますか。

ダムの役割を伝えるのは難しい

山口 そうですね、だから、もっと効果的に、例えばダムの役割に行く前に、地域柄と、あるいはトータル的に地のものですとか、観光名所とか、そういったところでダムだけじゃなくて、要は、一般のお客さんの興味がわくところもまとめてアピールしていく。その中にダムがあって、その役割を伝える。

萃香 一般の全くダムに興味のない人に、ダムって何って聞いたときに、大体答えてくるのは、まずイメージとしては黒部ダムなんですね。皆さん想像するのは。何しているのと言うと、水をためているところです。そこまではみんなわかるわけです。ためた水をどうするのって聞くと、飲む、要するに水道水のイメージしかないです。発電の方には発想が行ってないんです。

 ダムによって用途が全部違うじゃないですか。ですから、地元に住んでいる人たちは当然そのダムが何のためにそこにあってというのを知っていますけれども、見てない人は知らないわけです。ましてや、洪水調節をしているなんていうことは到底わからないわけです。夏に行って水位が低ければ水不足だと判断されちゃうわけですから。

司会(中野) そうですね。

萃香 その辺をじゃ一般の人にもわかるようにアピールしていくという話になると、アピールすること自体がどうなのという話になっちゃうんです。それを一般の人に知ってもらって、どこまでその話を持っていくか、だから水を大切にしましょう、電気を大切にしましょうまで持っていくんであればいいんですけれども、そういうもんなんですよという教育的な話だけでは聞いたときは覚えていても、先行き忘れちゃうなという気はしますね。

司会(中野) takaneさんはどう思われますか。

ダム構造物の格好よさが知れ渡った

takane そうですね、まず、ダムの構造物みたいなのを格好いいと萩原さんとかが写真集を出したりして、何かそういうのが知れ渡ったのが今の状況かなとは思うんですよね。で、そういう見方が一方でだんだん浸透していくと、全然ダムに関心がない人というのは少なくなっていくのかなみたいなことを思ったりするんです。ダム、なんかすごいもんだというイメージがだんだんでき上がってくるんじゃないかなみたいに思います。

Dam master ダムマイスターという、そこからですかね。まずは。一般の人に認識してもらう。マイスターとマスターと紛らわしいですが。
 切り口は違いますけれども、極端なことを言うと、うちの会社の人がバンドを組んでいて、ギターか何か買いに行ったときに言われたのが、けいおん。アニメがきっかけで楽器がブームになっているという話だったんで、そういうほかの文化との融合を図ってダムというのが上がってきたら楽しいことにはあるのかなという気もします。去年かおととしか「ダンダム」というゲームが出ましたけれども。

司会(中野) そうですね。ゲームとのコラボという。

Dam master ゲームがきっかけで、ダムの役割が理解されるようになったらいいと思います。

司会(中野) 先ほど琉さんもおっしゃっていたのですが、次世代にダムを好きになる人がいないというのは、興味がもてないからでしょうか。

若いダムマニアが育たない

琉 何ていうのか、知る限りでは、いろいろな掲示板とかにちょっと書き込んでいる中学生ぐらいの若い人たちというのは多分いると思うんですけれど、ここにいる方々のようにサイトをつくってとか、発信する側に回ろうとする人が今は余りいないんじゃないかなと。ダム好きで、興味があって、見ています、行っていますで終わっちゃうという若い人が多い。この年で若い人というのも何か変ですけれども、でも……

萃香 それはダムが飽和状態になっていることがあるんでは。発信したって既にもっといいものがいっぱいできてきちゃっているんで。それこそ着眼点を変えた発想でいかないといけないんだけれど、まだそこまでできるような年齢には達していないというのもあるんじゃないのかな。

琉 何年かすれば自分みたいな中学生、高校生ぐらいのダムマニアも出てくるかなと、高校生ぐらいのときには思っていたんですけれども……

takane でも、高校生とかって、結局ダムを巡るのに車が必要だからなかなか。

琉 電車で行けるダム、ぱっと思い立ったらすぐに行けるダムが限られるんで難しいんでしょうけど。

司会(中野) そうですね。去年ダムマイスター制度ができて、第1号は萃香さんでした。たまたまこの座談会に集まられた方は、ダムマイスターですが、皆さんはどんな活動をしていきたいと考えておられますか。

とにかく時間をつくって整理をしなきゃ

Dam master とにかく時間をつくって、自分の情報を整理しなきゃいけない。収集したものがちょっと整理がつかない状況になってきているので、そこを何とかしなきゃいけないんです。ホームページの更新もやらないと。

 勤め先の会社では人が減っちゃったんですよ。むちゃくちゃ忙しいんです。どう時間をつくるかが目下の課題でございます。道具はいろいろ活用しているんですけれども。このダムどこだっけということにならないうちに、生きている間に何とか巡ったダムはホームページに挙げていきたいなというのはあるんですが、生きている間にできるとは限らないので。


takane そんな先まで。

Dam master だって700あるうちまだおれ100基ぐらいしか挙げてないんだよ。

司会(中野) アップするより回る方が多いのでしょうか。

Dam master 体が動かなくなったら、文を書く方に専念するから、回れるうちは回っておきたいという気持ちはあるんです。自由な時間が持てないのが悩みです。ただ、何かイベントがあったら協力していきたいというのはありますね。

司会(中野) 今日は参加されていませんけれども、夜雀さんは真名川ダムで、ダムマニアによる展示ブースをやっておられて、Dam masterさんも、ご一緒に真名川で、随分協力されたということですが。真名川のイベントはいかがでしたか。

イベントをやって仲良くなった人がふえた

Dam master 声をかけてもらって仲良くなった人がふえたというのはすごくいいですね。

司会(中野) ダムマイスターの制度ができたので、ダムマイスターで何かやるという企画があったらいいなとは思いませんか。

Dam master たまたま誰かが来るから、じゃみんなで集まろうかという感じで。そういうときに声をかけるメンツが、マイスターというくくりがあったら声をかけやすくなるということですかね。山口さんがマイスターじゃなかったら、私はきょう会う機会がなかったですよね。

山口 そうですね。

Dam master たまたまどこかのダムで会っても、多分ああダムマニアがふえたんやな、この人もそうなのかとか思いながら、声をかけずにいただろうなと。

山口 本当にそうですね。現地に行っても、いかにもマニアの方って動きが違うんですよ。水力魂さんかな、二瀬ダムのライトアップありましたよね。あのときに、どこかで見たことがあるなと、マークが車の後ろのところで張ってある、アイ、ラブ、ダムとかなっていると。

 自分も目的がそこだったんで。ライトアップの途中でやっぱり目の前にいる、行ってみたらやっぱり同じで、それでもう三脚立てて、あっちこっち行っているわけですよね。だけれども、話もできずみたいな。

萃香 ダムマニアみたいな人を見つけたらすぐ話しかけちゃう。どうですか、いい写真撮れていますか。すぐ言っちゃうけれどもね。

ダムカードは、いい

司会(中野) ダム好きさんのなかではたくさん集めておられる方もいらっしゃいますが、ダムカードについてはいかがですか。

山口 ダムカードとかの存在を知らない方も多いようです。やっぱりそういったおみやげみたいなものはあればいいという感じです。非常に喜ばれます。

萃香 ダムカードは、いいですね。これをもらいに来ている人、イコールダムの好きな人ですから。それを見ていれば、あっ、この人はダム好きなんだなということがわかります。話しかけるのはわけない。

takane ダムカードができたので、初めて管理所のインターホンを押しましたね。ダムカードくださいって。それまで管理所に行ったことなかったんです。

Dam master さすがインドア派だね。

takane だってダムをちゃんと回ったのはダムカードが出てからです。

Dam master えっ。この人ね、全然ダムに行ってないんですね(笑)。

ダムカードコレクション(山口さん提供)
 

ダムカードコレクション(萃香さん提供)
これからはこんなことを

司会(中野) これからの夢、これからどういったことをしていきたいかというところをお話しいただきたいと思います。Dam masterさんいかがですか。

日本全国のダムを巡れたらいい

Dam master 夢ですか。夢といったら、日本全国のダムを巡れたらいいなということなんですけれども。なかなかどこまでできるかというのが。
 奥新冠ダムでしたっけ、アーチダムで、北海道のすごい奥深くにあって、ヒグマが出るんで、昼寝もできないし、車でも行けないし。車で行けるのは北海道電力の職員だけとか。空撮というのを1回やってみたいですね。空から見る。

takane チャーターして、ヘリコプターとか。スカイツリーを空撮したいので、みんなでお金を出し合って、チャーターしてというのがあったみたい。マニアの人で集まってヘリコプターを出した。

職場体験やってみたい

Dam master それから、職場体験やってみたいですね。1回でいいから、こういうふうに何かカチャっと、点検して、何とかよし!とか。ハウエルバンガーバルブの分解とかもやってみたいですね。

萃香 ゲートオープンじゃないの。

Dam master ゲートオープンは、ダムが空っぽだったらやってみたいですね。開度設定よし、放流開始とか言って。それっぽい服着てね。子供とかだけにやらせずにね。30過ぎたっておれ子供のようなものですので。

琉 大人の社会見学ができれば。

司会(中野) ダムで職場体験のようなことは、やりづらいというところもあるのかもしれませんが、夏休みに親子教室を開いて、そこにダムマニアさんのブースがあるとか、そんなのもいいなと思ってます。

Dam master 親子と言わずに、おじさん教室とか。あるんですよそういうの。某ダムで。

司会(中野) 将来に向けて、萃香さんはどうお考えですか。

せっかくダムマイスターという制度ができたんだから

萃香 せっかくダムマイスターという制度ができたんだから、ほっとかないで、その制度の中で、もっと、たまには教育をしていって、ダムの人たちにとって、ダムマイスターの人たちはもうある意味プロだから、見学に来ても立ち入り禁止の区域でも、ご自由にどうぞと言われるくらいな勢いになってくれて、そうすると、なった価値というのがどんどんふえるでしょうし、逆に、専門的な資料とかもいただけるとか。

司会(中野) ダムマイスターも、人数も増えたことだし、実際に役に立つように何をしたらいいかを考えていかないといけませんね。山口さんは、ダムマイスターに最近なられましたが、どのような活動をお考えですか。


山口ダムの職員さんから(山口さん提供)

山口 そうですね。私はダム巡りというのは、人との出会いが一番だと思っています。いろんな方と出会ってお世話になったりもする、お世話になった方々に何かしらの恩返しができたらと思い、マイスターの申請をしました。
 出会ったり、交流者、友人ができたりとか、地方のダム巡りをする場合に、ダム職員さんに限らず、地元の方々に教えてもらったりして、そのときに名刺とか渡して実名を出してやっているんですけれども、そうすると、やっぱり話しが膨らんだりとか。向こうも、安心して今度こっちの方、岐阜とかに来たときには私の家に泊まりなさいみたいな。きょうも持ってきたんですけれども、これ山口ダムですね。このダムの職員さんの方とも仲良くなって、こういった季節の写真とか頂いたりとか。

琉 しかも写真うまいですね、結構。
山口 そううまいんですよ。こういう写真とか、もう本当に丁寧にやってくれて、お手紙までいただいて。こういうことをされたら、もう本当に恩返しをしたくなっちゃうんですよね。

萃香 逆に言うと、皆さんダムマイスターのカード持っているじゃないですか。使ったことありますか。ないよね。意外とあれを出すタイミングがないんです。

山口 ないんですね。

琉 そもそも管理所に行って、せっかくある制度を活用できてないかなというのが結構あります。

萃香 というか、逆に拒否されないから使うチャンスがないんです。見学に行って、見せてくださいと言って、一般の人はだめですよという拒否があれば、いやこういう者ですのでと出せるんだけども。

琉 そうですね。

司会(中野) 一歩踏み込んで、何か見せてもらうところとか、詳しいことを聞こうと思うときには役に立つのかもしれませんね。

takane そうですね。その場というより何か問い合わせたときに、いろいろな能力がひょっとしたらあるかもしれない。

萃香 ダムの管理所に尋ねていって、真っ先に何を聞かれるかというと、どちら様ですかと聞かれるんです。これに対しての答えがないわけです。どちら様と言われても普通の民間人ですとしか言いようがない。別に仕事で来たわけでも何でもないんで、そういうときには、こういう者ですと出せるチャンスはあるかもしれないですね。

司会(中野) ダムマイスターは、周知のために努力しているところなので、いろいろご意見がございましたらまたぜひお聞かせいただきたいと思います。

分かりやすく話す・・・さかなクン、池上彰さん、あるいはテレビの解説委員

takane ダムマイスターというか、そういうのでいくと、個人的に何となく思っているのが、さかなクンっているじゃないですか。あのポジションを個人的に目指すべき場所なのかなみたいなことを思っています。別にテンション高く甲高い声でしゃべるキャラを目指そうというわけじゃなくて、専門家と一般の人との橋渡しになるような、一般の人に向けてちゃんと柔らかい言葉で話せるような、興味を持てるような形で出していけるような姿が理想かなと、最近思っています。


司会(中野) 池上彰さんみたいなわかりやすい解説ができるようなことですか。

takane そうですね。

Dam master takaneさんにダムマイスターの池上さんになってもらおうか。

司会(中野) そうなるといいですね。 琉さんはどうですか。

琉 やっぱりうまくいかに正しく、そしてわかりやすく伝えられるか、伝えられるようになりたいという感じですか。だからもっと、知識もつけられればつけたいなというふうに思いますし、あとは、いろいろ覚えた知識をいかにわかりやすく抵抗なく普通の人にも伝えられるかって、せっかくダムマイスターになったからには、そういうふうなこともできるようにならなければいけないんじゃないかなと思います。

萃香 ダムマイスターとしての立場からいくと、例えば、一般の人との架け橋はいいんですけれども、さかなクン的立場になるには、ダムの種類にしろ、内容にしろ多過ぎるので、個人個人のマイスターが、専門のダムを持つというのがいいと思うんですね。私はこのダムとこのダムに関してはだれにも負けませんというものを持って、そのダムの人に言われれば代理として説明ができるという感じ。そのくらいになるのは、最近のテレビでいうと原発問題で、専門家の人がテレビに出ていてああだこうだと言っている、あのポジションだと思うんですよね。

琉 解説委員的な。

司会(中野)そうですね。わかりやすく話していくというのが必要なことなのかもしれないですね。

Dam master 池上さんの立場というのは、1つの目指してもいい姿かなというのはありますね。というのは、うちの会社結構人が多いんですよ。私が相手にしている同じフロアーの中で大体400人ぐらいいるんです。趣味の話になって、ダムに行ったときには、いかに素人にわかりやすく説明できるかというのがポイントで、結構私のダムの説明で納得してもらえるということは、これは手ごたえがあるんだなと思います。

 幸い私結構手広くやっているというか、ダムだけを見ているわけじゃないんで、そんな浅く広い知識がダムを知らない人に説明するときに役に立つように思います。おととしぐらいにやらせてもらったテレビの関係の仕事なんですけれども、ダムについてへえっというようなクイズを考えてきてよと言われまして、全部で70何問かつくりました。そのうちオンエアされたのが20何問ぐらいだったんですけれども、ダムにとってへえっていうのはそんなもんなんですね。いろいろ浅く広く持っている知識を使って何かあったときに解説ぐらいはできますね。

萃香 かみ砕いて説明できれば。

Dam master ええ。子供の自由研究で手伝ってとか、そういうお話があれば喜んでお手伝いさせていただきたいというふうに。

司会(中野) 山口さんは、将来の夢についてはどうですか。



ダムが好きな人たちのコミュニティー

山口 そうですね。ダムが好きな人たちの人口ですよね、ダム好き人口って果たしてどれぐらいあるのかなと思います。何か把握できる材料があるんでしょうか。広い意味でのダムが好きな人たちの何かコミュニティーみたいなものがあればいいんじゃないかなみたいな、プチダムマニア会議みたいな。とにかくダムが好きですということで、それだけでもうオーケーみたいな。

司会(中野) 気軽に参加できるようなことですか。ダムツアーとか、そういったものはどうでしょうか。
山口 ダムツアーだと、なかなかまとまって動くというのが難しいんじゃないかなというのがあるんで、だから、自分的には、単独で動いてもらう、それがメインなのかなと。個人的にダムに行ったとか、何かmixiとかを見てみると、やっぱりやられている方とかもいるんですけれども、せっかくなんで、ダム協会さんの方での公認を何か、そういったものもあるといいかなというのがあります。
話し足らなかったこと

司会(中野) 確かにそうですね。いろいろお話し頂きましたが、何でもいいですので、話し足らなかったことって、ありますか。

ダム見学のマナー・・・次に来られる方が気持ちよく見学できるように

山口 ダム見学のマナーについてです。最近ちょっと見ていると、ルールであったりマナーであったりとか、そういう言葉が結構出ているような感じがするんですよね。ダムを見せてもらうときには、管理所の方に迷惑をかけてはいけないし、ルールを守り、マナーをきちんとしなければいけないと思います。でも、逆にルールとかマナーをきつく言い過ぎるのもどうかなと思います。

 全ては訪問者の良識にお任せするところですが、基本的な考え方として、次に来られる方が気持ちよく見学できるようにということを心がけるようにするのがいいんじゃないかなと思っています。

Dam master YouTube見ていると、ん?というのあるよね。やっぱりみんな知ってる。

山口 動画だと堂々というのありましたね。そこは入れないでしょうというところを平気で動画で撮ってるんです。

萃香 マナー、マナーと言っても、マナーの基準が最初から崩れているんで、難しいですよね。一般常識で考えればわかるでしょうが常識のレベルが大分違っていますから。そこまではいいでしょうという常識の判断基準がかなり違うんですね。

司会(中野) そうですね。本来の常識的行動をとってほしいですね。
takaneさんは何か言い足りなかったこととか、ありますか。

当時の黒部ダムは、今の黒部ダムと世間の人の思いは全然違う

takane さっき、振られなかったんで言いそびれたんですけれども、僕黒部ダム好きなんですよ。最近、計画停電とかで電気が消えているじゃないですか。この計画停電の中で思ったのですが、あの当時電気が消えている状況で、あのダムができたら電気がずっとついているとか考えたら、それは黒部ダムみんな期待するよなみたいなことを何となく思ったんです。

 去年、黒部ダムのことを調べていたんですけれども、1960年当時って、黒部ダムが普通の雑誌の表紙とかに取り上げられているんです。だから、当時の黒部ダムというのは、もう今の黒部ダムとは、世間の人の思いは全然違うんだろうなみたいな。

Dam master アサヒグラフでしょう。持ってる、持ってる。ちょうど上流側ですよ。

takane そうそう。一部発電が始まった。

Dam master そうそうそう。黒部は建設途中からもう発電を始めていましたね。ダムの見方というのも時代によって変わっていますね、やっぱり。

萃香 当時の黒部の見方と今のスカイツリーと同じようなんです。象徴でもあるし、役割も持っているじゃないですか。スカイツリーはただでっかいでけじゃなく電波塔という目的があるんです。だからダムができて発電して電気が来るというのは、そういうイメージだと思うんです。最近の停電は、ここ計画停電があるからみんな改めて認識しているけれども、若い人は停電知らないですからね。

水力発電のイメージがよくなれば

琉 はい、停電知りません。
せっかくだから、少し水力発電のイメージがよくなればいい。水力で発電しているんだというのを知らない人がいっぱいいるんで。飲むか、あと洪水から守るかぐらいのイメージがメインだと思うんで、そこで発電というのがあるのは知られていない。

takane でも、このエネルギーの問題があったおかげで、ネット上でみんな発電所の容量の計算を一生懸命していたりして。絶対に3月11日以前はそんなこと関心持たなかっただろうから、ちょっと面白いなというか。こういうことが起きると、嫌でもそういうところに目が行くようになるんだな、みたいなことを思いましたね

司会(中野) ほかにありますか、何かちょっと言い足りなかった部分で。

琉 それを次々始めると、終わらなくなっちゃう。

Dam master この人たちはみんな言いたいことばっかり言っちゃって。まとまらないよね。

司会(中野) それでは、話は尽きませんがそろそろ時間のようです。貴重な御意見をたくさんいただき、活発な楽しいお話もしていただきました。今日は、長時間ほんとうにありがとうございました。


(「月刊ダム日本 No.800 記念号」2011年6月 より転載。座談会は、2011年3月27日に行われたものです。)

(2011年7月作成)
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