全項目表
 
ダム番号:207
 
浅瀬石川ダム [青森県](あせいしがわ)
 [旧名]浅瀬石ダム(あせいし)


ダム写真

(撮影:灰エース)
042247 北国のNAGO
042250 北国のNAGO
022045
042253 北国のNAGO
  →ダム便覧トップ写真   →フォト・アーカイブス [ 提供者順 / 登録日順 ]
どんなダム
 
正確な河川名に改名
___ 河川名が長いので、川を省略して浅瀬石ダムだったが、下流の水没とは無関係な場所に浅瀬石地区があり、紛らわしいことなどから、正確な河川名にして、浅瀬石川ダムに改名。
ピンク色が珍しい
___
堤頂部の機械室などがピンク色に塗装されていて、珍しい。違和感はなく、周囲と調和しているように見える。
[写真](撮影:ふかちゃん)
日本初の多目的ダム・沖浦ダムが水没
___
浅瀬石川ダムの建設によって、沖浦ダムが水没した。沖浦ダムは昭和20年に完成した重力式コンクリートダムで、堤高40m、堤頂長171m、堤体積81,000m3、洪水調節・潅漑用水・発電を目的としており、日本初の多目的ダムだった。
[写真]沖浦ダム
ダム湖は「虹の湖」
___
ダム湖は2代目「虹の湖」。このダムの建設により、従来あった沖浦ダムが完全に水没した。沖浦ダムのダム湖は虹の湖であったが、それを引き継いだ。
[写真]虹の湖(撮影:灰エース)
テーマページ 「理の塔、技の塔」 〜私説・戦後日本ダム建設の理論と実践〜 (8) 地元補償:「水特法」の精神
ダムツーリング -ダムの細道・東北-
(財)ダム技術センター第22回「ダムフォトコンテスト」受賞作品
ダムのプライベートグッズ - 浅瀬石川ダムの「のれん」 -
平成7年度〜平成12年度 「森と湖のある風景画コンクール」 受賞作品
ダムの書誌あれこれ(40) 〜青森県のダム〔中〕 (浅瀬石川、浪岡、小泊、下湯)〜
このごろ 「ダムのお土産用提灯」が完成
「浅瀬石川ダム試験放流プロジェクト検討委員会」を始動 〜浅瀬石川ダムクレストゲート試験放流に向けて〜
「沖浦ダム健全度調査」を開始〜本体着手から80年〜
浅瀬石川ダム試験放流日程決定!!
浅瀬石川ダムの試験放流
浅瀬石川ダム秋のライトアップが始まります
平成29年度浅瀬石川ダムクレストゲート試験放流日程決定
『浅瀬石川ダム・津軽ダム』冬のライトアップが始まります
左岸所在 青森県黒石市大字袋字富岡  [Yahoo地図] [DamMaps] [お好みダムサーチ]
位置
北緯40度35分49秒,東経140度41分23秒   (→位置データの変遷
[近くのダム]  二庄内(3km)  一の渡(5km)

河川 岩木川水系浅瀬石川
目的/型式 FNWP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 91m/330m/700千m3
流域面積/湛水面積 225.1km2 ( 直接:193.1km2 間接:32km2 ) /220ha
総貯水容量/有効貯水容量 53100千m3/43100千m3
ダム事業者 東北地方建設局
本体施工者 熊谷組・竹中土木
着手/竣工 1971/1988
ダム湖名 虹の湖 (にじのこ)
ランダム情報 【水特法関係】浅瀬石川[法第9条指定ダム等]、水没総面積:222ha、水没戸数:201戸、水没農地面積:59ha、ダム等の指定年月日:S49.7.20、水源地域指定年月日:S50.2.17、整備計画の決定年月日:S50.3、10
【ダムにいる鳥】国土交通省「河川水辺の国勢調査」(2003)
カイツブリ、カワウ、ダイサギ、アオサギ、オオハクチョウ、オシドリ、マガモ、カルガモ、コガモ、オナガガモ、ミコアイサ、カワアイサ、ハチクマ、トビ、オジロワシ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、ノスリ、サシバ、クマタカ、イヌワシ、ハヤブサ、チゴハヤブサ、ヤマドリ、イソシギ、ウミネコ、ドバト、キジバト、アオバト、カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、フクロウ、ヨタカ、ハリオアマツバメ、アマツバメ、ヤマセミ、カワセミ、アカゲラ、オオアカゲラ、コゲラ、イワツバメ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、サンショウクイ、ヒヨドリ、モズ、カワガラス、ミソサザイ、ジョウビタキ、トラツグミ、マミジロ、アカハラ、ツグミ、ヤブサメ、ウグイス、メボソムシクイ、センダイムシクイ、キクイタダキ、キビタキ、オオルリ、エナガ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、キバシリ、メジロ、ホオジロ、カシラダカ、ミヤマホオジロ、ノジコ、アオジ、アトリ、カワラヒワ、マヒワ、ベニマシコ、ウソ、イカル、スズメ、ムクドリ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、アオシギ
【ダムカード配布情報】2021.8.1現在 (国交省資料を基本とし作成、情報が古いなどの場合がありますので、事前に現地管理所などに問い合わせるのが確実です) Ver2.0
○@地域防災センター浅瀬石川ダム資料館 A浅瀬石川ダム管理支所 @10:00〜16:00(土・日・祝日と年末年始を除く) A10:00〜16:00(土・日・祝日と年末年始のみ)※資料館休館日には、浅瀬石川ダム管理支所で配付しますので、門の脇にあるインタ-ホンを押してください。
ダムカード画像コレクション
浅瀬石川ダム Ver.1.0 (2007.07)
[協力:mayuno]
浅瀬石川ダム Ver.1.1 (2015.07)
浅瀬石川ダム Ver.1.2 (2015.10)
浅瀬石川ダム Ver.2.0 (2016.4.27)
浅瀬石川ダム Ver.1.2.2 (2016.7.21)
リンク 東北のダム(国土交通省東北地方整備局)
DAM Photographer・またしても東北・・・(その8)
DAM Photographer・またしても東北・・・(その9)
Dam's room・浅瀬石川ダム
Damstyle・浅瀬石川ダム
kazu_ma’s WALKING-DIARY・浅瀬石川ダム
THE SIDE WAY・浅瀬石川ダム
ウィキペディア・沖浦ダム
ダムニュース/浅瀬石川ダム3年ぶりにフラッシュ放流を実施 -河川環境をリフレッシュ-(ダム技術センター)
ダムニュース/浅瀬石川ダムダム湖でオイルフェンス設置訓練を実施 -ダム湖への油流出対策を迅速に-(ダム技術センター)
ダム好きさん【浅瀬石川ダム】
ピンクのうさぎ ダムめぐり・青森の旅 その2
ピンクのうさぎ ダムめぐり・浅瀬石川ダム見学
ピンクのうさぎ ダムめぐり・津軽ダム見学会
水力ドットコム・浅瀬石川発電所
浅瀬石川ダムガイド(国土交通省東北地方整備局浅瀬石川ダム管理所)
日本全国ダム紀行・浅瀬石川ダム
参考資料
■浅瀬石川ダムの補償経緯とその特徴:会津正人
【ダム日本 No.401(S53.3)】
■浅瀬石川ダムの補償特性と今後の課題 東北地方建設局浅瀬石川ダム工事事務所長 会津正人
【第22回水源地問題実務講習会(S53.09.06)】
■浅瀬石川ダムの補償特徴と地域整備の現状 東北地方建設局浅瀬石川ダム工事事務所所長 会津正人
【第25回水源地問題実務講習会(S55.02.18)】
■<環境対策シリーズ>浅瀬石川ダム付替道路の法面対策について: 北村律太郎・佐藤喜代治・福士博信
【ダム日本 No.445(S56.11)】
■浅瀬石川ダムの右岸遮水工事(地中連続壁工法) 東北地方建設局浅瀬石川ダム工事事務所副所長 大 越 晴 之
【第12回ダム施工技術講習会(S57.11.12)】
■浅瀬石川ダムの右岸遮水工事 −連続地中壁工法−:大越晴之
【ダム日本 No.459(S58.1)】
■浅瀬石川ダムの仮設備について:市川慧・丹野光正
【ダム日本 No.484(S60.2)】
■浅瀬石川ダムのベルトコンベヤ工法について 東北地方建設局浅瀬石川ダム工事事務所 所長 市 川 慧
【第17回ダム施工技術講習会(S60.07.19)】
■浅瀬石川ダムの施工および特性について:金子芳春
【ダム日本 No.507(S62.1)】
■浅瀬石川ダムの堤体施工とその特徴 北陸地方建設局河川部 調査官 金 子 芳 春
【第21回ダム施工技術講習会(S62.07.16)】
■浅瀬石川ダムの堤体観測設備について:長尾廣
【ダム日本 No.543(H2.1)】
■浅瀬石川ダム建設と黒石市の地域振興:清藤三津郎
【ダム日本 No.570(H4.4)】
関連書籍 ■建設省浅瀬石川ダム工事事務所 『浅瀬石川ダム工事誌』 建設省浅瀬石川ダム工事事務所 1991
■青森県土木部 『浅瀬石川ダム水没移転者の意識と生活実態調査報告書』 青森県 1978
■建設省浅瀬石川ダム工事事務所 『浅瀬石川ダム写真集・図集』 建設省浅瀬石川ダム工事事務所 1991
諸元等データの変遷 【06最終→07当初】河川名[浅瀬石川→北川] 流域面積[225.5→225.1]
【07当初→07最終】河川名[北川→浅瀬石川]

■ このごろ → このごろ目次
浅瀬石川ダムの試験放流

 
 浅瀬石川ダムで非常用洪水吐ゲート点検のための試験放流が、4月27日(水)と29日(金・昭和の日)に行われました。試験放流は両日とも同じ内容で実施されました。このレポートは、29日に実施された放流に基づいたものです。この日は、発達した低気圧の影響で、時々強い雨や風の吹くあいにくの天気となりました。
 当日、八戸からレンタカーで浅瀬石川ダムに向いました。道路情報に『山間部降雪注意』の文字が表示されていました。少し過剰な警告かと思いましたが、国道103号線の山間部は注意表示通り雪が降っていました。凍結や残雪は覚悟していましたが、この時期になって新雪が降るとは思いもよりませんでした。レンタカー会社にスタッドレスタイヤ装着車を念押ししておいて良かったと思います。


国道103号線の状況


1.午前の部

 まず9時30分に2号クレストゲートからの試験放流が始まりました。浅瀬石川ダムに設置されているクレストゲートは、左岸側から順に1号・2号・3号・4号となっています。


2号クレストゲートからの放流


 2号ゲートからは30分間放流を行い、3号ゲートの放流に切り替わりました。


3号クレストゲートからの放流

 さらに30分経過した後、1号ゲートからの放流となりました。強い雨が降る中、職員の皆さんが点検作業を進められています。時々、雷鳴も聞こえました。


1号クレストゲートからの放流

 1号ゲートからの放流はそれまでのものと比べると、流量が少ないように見えます。職員の方に確認すると、放流量は各ゲートとも最大3m3/秒ということでした。放流は導流壁とコンジットゲートのデフレクターに挟まれて水流が横に広がらないために、流量が少ないように感じるのかもしれません。


点検作業中の職員

 最後に4号ゲートからの放流が行われ、2時間にわたる午前の試験放流が無事終了となります。


4号クレストゲートからの放流

 堤頂部から減勢工を確認すると、副ダムを越流するまでには、まだ余裕がありそうです。


堤頂部から減勢工

 浅瀬石川ダムの操作規則では、2号→3号→1号→4号の順にゲートを開き、閉じるときは4号→1号→3号→2号の順に放流を停止することになっているそうです。
 クレストゲートを開ける前には、チャイムが鳴って放流を行う旨のアナウンスがありました。そして、「5、4、3、2、1」とカウントダウンした後に放流が行われました。


2.午後の部

 午後の試験放流は、操作規則通りに各クレストゲートを開いてゲート全開にした後、順次放流を停止することになっています。この一連の試験放流を、午後1時30分からと、午後3時00分からの2回行うことになっています。


下流広場の駐車場付近

 予定通り、2号クレストゲートからの放流が開始されました。堤体下流の駐車場は当然満車状態です。警備員の方が発電所敷地内(通常は立入禁止)の方へ車を誘導していました。悪天候にもかかわらず「想い出の橋」にも多くの見学者が来ていました。


想い出の橋からの浅瀬石川ダム

 午後の試験放流は、一度開けたゲートを閉じることなく次のゲートを開きます。3号ゲートからの放流が開始されました。


2・3号クレストゲートからの放流

 続いて、1号クレストゲートから放流が開始されました。午前と同様にカウントダウンの放送の後に放流が行われます。放流開始の瞬間を見たいという方は、次回の試験放流に期待してください。


1・2・3号クレストゲートからの放流

 タイムテーブルでは、午後2時00分にゲート全開となるはずでしたが、悪天候の影響のためか実際は少し遅れての放流となりました。


1〜4号クレストゲートからの放流

 全ゲートからの放流が開始されましたが、この時点でも副ダムからの越流は見られませんでした。本来4門で最大1,550m3の放流可能なゲートから約12m3(3m3×4門)程度の放流ですが、この光景は圧巻です。
 副ダムからの越流が見られたのは、全てのゲートが開いてから、4〜5分後のことでした。


減勢工副ダムからの越流

 ゲート全開後、20分ごとに操作規則にしたがって1門ずつ放流が停止されます。ゲートを閉じる際には特にアナウンスはありませんでした。
 放流を背景に記念写真を撮ろうとしていた地元の方が
「あれ、終わっちゃったよ」
などと会話をしていました。


4号クレストゲートの放流停止

 さらに20分後、1号ゲートからの放流も停止され内側の2本のみとなりました。


1号クレストゲートの放流停止

 その後、3号ゲートも停止となり、2号ゲートからの放流のみとなりました。この時点でも副ダムは越流しています。


3号クレストゲートの放流停止


2号クレストゲートのみの放流

 洪水調節の目的を持つダムも、異常な降雨による洪水を完全に防御することは不可能です。この試験放流で副ダムの状況を観察すると、ダムには確実に「遅らせ効果」があるということを実証しているようです。ダムは、どんなに極限の状態でも、住民の避難時間を確保する役割を持っています。

 天候には決して恵まれない環境の中で、午後の第1回目の試験放流は終了しました。


2号クレストゲート放流停止

 今回は、発電所敷地内の一部が臨時駐車場として開放されたため、堤体直下からの放流も自由に見学することができました。


 いくつかのダムでクレストゲートの点検放流(試験放流)が行われるようになりましたが、これほど放流のバリエーションが豊富な例は他にないと思います。また、操作規則上、浅瀬石川ダムでは、2号ゲート以外のゲート(1号・3号・4号)から単独で放流することは通常の運用ではありません。大変貴重なシーンを見学させていただくことができました。
 次年度以降も、定期的に試験放流を行いダムが常に適切な状態で運用されることを願います。


1号クレストゲートからの放流開始

【追記】

 なお、浅瀬石川ダム管理所の公表によると、4月27日(水)の見学者が約700人、29日(祝)の見学者が1,001人という集計結果になったそうです。実際、駐車場には、関東方面のナンバープレートやレンタカーが目立ちました。この放流を一目見ようと各地から大勢の方が訪れた証です。


ライトアップ中の浅瀬石川ダム


「森のあかり」様で販売された浅瀬石川ダムカレー

(2016.5.2、ダムマイスター 01-024 安部塁)

→ ダム便覧の説明
ご意見、ご感想、情報提供などがございましたら、 までお願いします。
ダム便覧内の写真、文章、データなど全ての内容の無断転載を禁じます。