ダムを現場で実際に造るのは、建設会社だ。建設会社には、ダム造りの専門技術者がいる。彼らは、自分たちを「ダム屋」と呼ぶことがある。
最近、いわゆるダムマニアがダム巡りに熱心だが、それは完成したダムを巡るのが主であって、建設中を見学することはあまりない。だから、ダムマニアとダム屋さんとの接点は少なかったと言っていいように思う。両者がもっと交流を深められたらお互いにいいのではないかと、前々から思っていた。
そんな中、3月の下旬だったろうか、萩原さんが今年も「ダムナイト」をやるという情報を得た。そこで、萩原さんに聞いてみた。
「イベントに、ダムを造っている人(建設会社の人)が出演するようなことは考えられないでしょうか。それもおもしろいのではないかと思うのですが。」
するとすぐに返事があった。
「いや、ぜんぜん考えられなくないですよ。 ただ、出演するダム好き側の人数をある程度決めて、それから時間と内容を詰めて...という進め方になると思うのですが、そのときにはJnyさんに人選をお願いしても良いのでしょうか。」
そうなのか。それなら、だれかダム屋さんに出てもらえば、また新しいおもしろさも生まれるのでは。問題は、誰がいいかということ。何しろ連休の真ん中で、都合の悪い人も多いだろう。それに何より、好きでなければ引き受けてくれないだろう。あれこれ考えて、数人の候補をリストアップ。
実際に出演した高田さんは、その第一候補だった。ダムマニアとの交流に積極的な考え方をしているようだし、多数のダムの現場経験があって、特に萩原さんがダムに興味を持つきっかけになった宮ヶ瀬ダムについて、本体工事の最初から最後まで現場にいて、建設を担当したし、資格を持つダム技術者の作る会(CMED会)の会長でもあるし、ずばずばものを言うので話はおもしろそうだし、と言ったことがその理由。
高田さんに話すと、引き受けてくれた。そして、4月27日には萩原さん、高田さんが打ち合わせ。夜だったので、食事をしながら打ち合わせがいいのではとも思ったが、どうもそんな雰囲気ではない。真剣そのもので、まじめに議論している。二人とも、いい加減にはできない性格のようだ。
「ダムナイト」当日の様子は、別に報告があるだろうからそちらに譲るとして、私も見に行ったが、ともかく、3時間半があっという間にすぎたと感じ、中身が濃くて観客も大いに楽しみ、連休の中をはるばるお台場まで足を運んだかいがあった。
ダム屋さんもついにここまできたのか。数年前だろうか、ダムマニアが世間に登場し、その後勢いを増している。少し遅れたけれど、いまダム屋さんがデビューしたと言うのは大げさだろうか。ともかく、出演者の皆さん、お疲れ様でした。楽しいお話、ありがとうございました。
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