6.宇奈月ダムの建設
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『宇奈月ダム工事誌』
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黒部川におけるダム建設は、昭和38年黒四ダムの完成後、昭和60年出し平ダム、昭和61年黒部川支川黒薙川に北又ダム、そして富山県下新川郡宇奈月町内山大字大尾地点に、平成13年宇奈月ダムが竣工した。宇奈月ダムは、昭和44年8月黒部川に未曾有の大洪水を契機に計画され、富山県内に初めての国が直接建設する多目的ダムである。この建設記録については、国土交通省北陸地方整備局黒部工事事務所編・発行『宇奈月ダム工事誌』、『宇奈月ダム工事誌写真集』(平成14年)の書がある。
宇奈月ダムの諸元は、堤高97m、堤頂長 190m、堤体積51万m3、総貯水容量 2,470万m3、有効貯水容量 1,270万m3。その目的は、
・ダム地点での計画水量 6,900m3/sのうち 700m3/sの調節を行い、ダム地点下流の水害を防御する。 ・富山県東部水道用水供給事業の給水対象とする新川地区に水道用水58,000m3/日(0.68m3/s)の取水を可能とする。 ・新たに宇奈月発電所を建設して、最大出力20,000KWの発電を行うものである。
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企業者は国土交通省、施工者前田建設工業(株)、佐藤工業(株)共同企業体、事業費 1,740億円である。 補償関係は、用地取得面積 81.21ha、建物移転(住家3、非住家1)、さらに、宇奈月ダムによって水没する引湯管の付替え補償 6.2kmの施工、黒部峡谷鉄道付管約 1.7kmの施工、柳河原発電所を補償し西洋の城のような新柳河原発電所が誕生した。 なお、工事中、平成7年7月11日、8年6月25日、10年7月10日の出水により、洪水が堤体を越流し、被害を及ぼしている。
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