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11.白水川ダム(最上川水系白水川)の建設

 白水川は、その源を奥羽山地の黒伏山(標高1226m)、白森山(標高1263m)に発し、東根市街地において日塔川を合流し、荒小屋地点で最上川に注ぐ流路延長約14km、流域面積54.0km2の一級河川である。白水川はその源から遅沢川との合流点までは河川勾配の急なV字谷地形を流下する。その合流点から下流上川原付近まで比較的開けた集落が点在する。山間部を1/75程度の河川勾配で流下する。上川原付近から下流の白水川は平野部に流れ出て、扇状地を形勢して最上川に注ぐ。扇状地内では白水川は伏流水となるものが多く渇水期にはたびたび涸渇した。

 出水は、昭和44年8月、51年8月の集中豪雨で溢水氾濫により家屋への浸水、田畑の流出等の被害を受けた。また、東根市若木地区をはじめとする広大な果樹園は河川扇状地に拓かれ、灌水施設がなく果樹生産には不安定要因となっていた。

 これらを解決するために、白水川ダムは最上川水系白水川の山形県東根市大字泉郷字梨木平地先に平成3年3月に完成した。

 山形県白水川ダム建設事務所編・発行『白水川ダム工事誌』(平成3年)により、目的、諸元、特徴を追ってみたい。


『白水川ダム工事誌』

(撮影:安部塁)
 ダムは3つの目的をもって造られた。

◇ダム地点の計画高水流量210m3/Sのうち171m3/Sの洪水調節を行い、東根市一帯の水害を防ぐ。

◇ダム地点下流の白水川沿岸の既得用水の補給を行う等流水の正常な機能の維持と増進を図る。

◇東根市若木地区の480haの果樹園に対し、灌漑期平均0.318m3/S、最大0.417m3/Sの灌漑用水の供給を行う。

 ダムの諸元は堤高54.5m、堤頂長367m、堤体積31.4万m3、総貯水容量530万m3、有効貯水容量460万m3、型式重力式コンクリートダムである。起業者は山形県、施工者は西松・日本国土共同企業体、事業費は151.5億円で、アロケーションは河川98.15%、特定かんがい1.85%となっている。

 主なる補償関係は、土地取得面積56ha、家屋移転なし、漁業補償、神社補償であった。

 白水川ダムの建設の経過を追ってみたい。

昭和46年    予備調査を開始
  49年    実施計画調査
  54年    54年度より建設事業が認められ、諸調査
  55年12月 工事用道路工事に着手
  56年    ダム水没地関係調印完了
  60年    基礎掘削工事完了
      9月 RCDコンクリート打設
平成 2年 4月 コンクリート打設完了
      9月 取水放流設備完了
     10月 試験湛水開始
   3年 3月 事業完了
      6月 竣工式を迎えた

 白水川ダムの特徴をあげると、やはり山形県内初のRCD工法を採用し、超硬練り貧配合コンクリートの大量打設による工期の短縮、汎用機械による省力化、セメント量・型枠量の節減による建設費の低減、打設現場の安全性の増大を図ったことである。

 さらに白水川ダム周辺環境整備は、

◇入農村公園(9200m2)
◇星座の広場(4000m2)
◇展望広場(2200m2)
◇遊水広場(4000m2)
◇運動広場(9000m2)

が設置され年々利用者が増えている。


  古里白水の清き心を美しく永世に映す白水湖 (今野清吉)


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