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8.亀山ダム(小櫃川)の建設

 小櫃川は千葉県のほぼ南西に位置し、清澄山系に源を発し、山滝野川、御原川、武田川、松川を合流し、木更津市北部を通過し、東京湾に注ぐ、流路延長88qの、流域面積272.3km2の二級河川である。

 河川流域は多雨地帯に属し、流域のほぼ中間に位置する上総の年間平均雨量は1900oである。昭和36年6月28日に日雨量307o、昭和45年7月1日の大雨では流域最高で426.5oの日雨量を記録し、家屋浸水26000戸、田畑冠水5500haの被害が出た。

 従来、小櫃川は、沿岸耕地約2800haの灌漑用水に利用されていたが、近年工業地帯の発展と住宅団地の建設に伴って木更津市等の都市用水の需要が増大。そのために水資源開発が必要となってきた。

 このような背景から、亀山ダムは小櫃川の河口から約50qの上流、君津市豊田、川俣地点の小櫃川と笹川の合流点に、12年の歳月を経て、昭和56年に完成した。
 この工事記録について、千葉県編・発行「亀山ダム工事誌」(昭和56年)がある。ダムの目的、諸元を、この工事誌により追ってみたい。


「亀山ダム工事誌」

(撮影:宮島咲)
 ダムは3つの目的を持っている。

@洪水調節は、標高80.6mから標高84.00mの間の容量4350000m3を利用 してダムサイトにおける計画高水のピーク流量840m3/Sのうち345m3/Sを調節 する。

A河川維持用水および沿岸の既成田約2800haの不足用水に対して標高67.6m〜 80.6m間の容量のうち1000000m3を利用して補給する。

B君津地区の上水道用水に対して、標高67.6m〜80.6mの間の容量のうち300 0000m3を利用して0.75m3/Sの供給を可能とする。さらに千葉市以南の臨海地区の工業用水に対して標高67.6m〜80.6mの間の容量のうち5000000m3を利用して1.2m3/Sの供給を可能とする。

 ダムの諸元は、堤高34.5m、堤頂長156m、堤体積8.1万m3、有効貯水容量1335万m3、総貯水容量1475万m3、型式重力式コンクリートダムである。

 起業者は千葉県、施工者は熊谷組で、事業費は117.3億円を要し、費用割振は治水45.9%、上水22.4%、工水31.7%となっている。

 主なる補償関係は用地取得面積166ha、水没移転家屋37戸、公共補償は月毛神社、押込神社、川俣神社、川俣公会堂。特殊補償は鉱業権補償(天然ガス採掘利用者を含む)、小櫃川漁業組合に対する漁業補償であった。

 亀山ダム周辺は県立養老渓谷奥清澄自然公園、清澄寺、三石山があり、本地域は総合保養地域整備法に基づく房総リゾート地域整備構想の一環として「亀山・清和区−森と湖のロマンティックリゾート」と位置づけられている。そのため、センターゾーン、アウトドアライフゾーン、アドベンチャーゾーン、エントランスゾーンに区分され、整備かなされた。


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