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(3) ダム用語事典 
 相原信夫編・著「現場技術者のためのダム工事ポケットブック」(山海堂・昭和45年)は、ダム建設の全工程にわたって執筆されている。この書で、相原信夫は「わが国の経済発展に伴い国土保全と水資源開発などを目的とする多目的ダムや治水ダムの建設は急速に増加してきたし、補助金に係わる府県の実施するダムも増えてきた。ダム建設の経験のなかった府県でも施工を担当することとなってきた。このような時期に発行されることはなによりでもある」と述べている。

 その内容は調査、水文解析、地質調査、計画(洪水調節など)、費用便益分析とコストアロケーション、設計(重力ダム・アーチダムフィルダム基礎処理設計)、工事計画と施工設備(転流工骨材製造・貯蔵設備)、コンクリートダムの施工(基礎掘削・基礎処理・コンクリートの打込み及び養生、継目グラウチング)、フィルダムの施工(材料の選択・砂礫、ロック材料の採取・堤体施工)、放流設備(余水吐減勢工ゲート)、ダムの管理設備(操作用観測設備・警報および通報設備)、ダム構造基準、コストアロケーション関係の政令からなる。項目ごとに既設のダムの例をあげて図でも解説。


「現場技術者のためのダム工事ポケットブック」
 基礎処理の項目のなかで、田子倉ダム(昭和35年完成)のコンクリートによる岩盤改良について、次のように記してある。

 「河床の右岸寄り一帯に、基礎を通しての漏水のおそれがあったので図4.50に示すようにコンクリート置換えを行った。図4.50において@、Aに示す箇所はトンネル工法で、また上部は大幅な掘削を行って置換えを行った。」(図1)

 また、佐久間ダム(昭和31年完成)におけるダムブロック割りについて、次のように説明する。
 「佐久間ダムでは図に示すように、EL.170m以下の厚い部分に対してはブロック方式を、上部はレヤー方式を用いている。なおレヤーで打込みを実施するに先立ちブロック方式は十分冷却して縦継目を開かせ、グラウチングを行って一本化を図った。」(図2)

 この事典は実際に既設ダムによって、ダム施工が理解できるようになっており、興味を引く。なお、執筆者は相原信夫を筆頭に、建設省を中心とするダム技術者の佐々木才朗、藤城武司、飯田隆一、堀和夫、廣瀬利雄の6人である。

 土屋昭彦編「図解 河川・ダム・砂防用語事典」(山海堂・昭和53年)では、河川に関する土木工事の用語をまとめている。ダム工事は比較的新しい技術が導入されて発展してきた分野で、外国語がそのまま使われて技術用語となっている例が多いという。カタカナの用語もみられる。アールシーデー(RCD):Roller Compacted concrete Damについてそのまま引用する。

 「コンクリートダム工事における新施工法を採用したダム。コンクリートの打込み速度を速めるために従来からの内部振動機にかえてコンクリートを層状に撒き出し、振動ローラーにより、上部からのローラーの自重と振動による締固めにより施工するコンクリートダムをいう。ダムサイトの条件さえ整えば有効な方法であり、コンクリートダムの合理化施工法の一つの重要な柱として最近注目されており、建設省の島地川ダム、大川ダムで本工法を採用した。RCDに適した条件として河幅が広く、大型機械の稼働が容易なこと、堤体内埋設物が少ないこと、堤体積が大きいこと等があげられる。」(図3)

 この事典は左ページに解説、右ページに図解で示されており、分かりやすい。なお、その後、RCD工法により、玉川ダム、美利河ダム、真野ダム、白川ダム、朝日小川ダム、道平川ダム、朝里ダム、布目ダム、境川ダム、寒河江ダム、浦山ダム等が竣工した。


「図解 河川・ダム・砂防用語事典」
 なおこの事典の執筆者は、土屋昭彦をはじめ、吉野文雄、山本晃一、水野光章、竹村公太郎、斉藤孝三、永山功、松本徳久、播田一雄、近藤悟、渡辺和夫、渡辺正幸、池谷浩、中村浩之の14人のメンバーである。


 また河川総合開発用語研究会編「河川総合開発用語集」(ダム技術センター・平成5年)には、河川総合開発事業を進めるためにより安全で合理的なダム施工の観点から、ダムの用語について、重力式ダム、アーチダム、材料(骨材セメントなど)、基礎処理、付属設備(洪水吐き、放流設備など)、発電、工事施工、ダムの操作、用地補償、水源地対策、環境アセスメントなど、多岐にわたって解説している。
 なお、日本大ダム会議編・発行「ダム技術用語辞典」(昭和53年)も発行されている。



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