全項目表
 
ダム番号:2328
 
中筋川ダム [高知県](なかすじがわ)



ダム写真

(撮影:安河内孝)
035403 灰エース
035419 灰エース
035453 灰エース
005961 安河内孝
D-shot contest 入賞作品   →ダム便覧トップ写真   →フォト・アーカイブス [ 提供者順 / 登録日順 ]
どんなダム
 
ダム本体に拡張レヤ工法を採用
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ダム本体のコンクリート打設合理化施工法である拡張レヤ工法を採用した初期のダム。この工法の確立に寄与。
優れたダム堤体デザイン
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本格的な景観設計を導入。特徴は、堤体の下流面を階段状にして豊かな表情を持たせていること。ステップの高さは75cm。85段ある。 越流時には滝を思わせる。同時に越流水の勢いを押さえるという機能もあわせ持つ。また、堤体は左右対称で、落ち着きのあるデザイン。平成13年度土木学会デザイン賞優秀賞。階段状であるためにゴミがたまりやすいという欠点もあるらしい。
[写真](撮影:安河内孝)
流木を堆肥化し有機肥料として再利用
___ 洪水期にダムに流れ込んだ流木や葦などを堆肥化し、有機肥料として再利用。環境面の効果のほか、13%のコスト縮減になったという。
地域文化交流の場を目指す
___ ダム建設の基本コンセプトはダムは自然風景の一部であり後世に残す土木文化財。地域の生活・文化・レクリエーション施設づくりの観点から、ダムと周辺施設が相まって地域文化交流の場を目指す。ダム展示室、公園、オートキャンプ場、野球兼サッカー場、ミニゴルフ場、トンボの池、ホタルの里などが整備されている。
堤体にタイムカプセル
___ ダム建設時、堤体に地域の小学生の作文を入れたタイムカプセルを埋め込んだ。20年後の2013年に開封。
ダム湖は「蛍湖」
___ 平成10年、一般公募により命名。ダム湖周辺に生息するホタルをいつまでも見られるよう、現在の自然環境を保全したいという願いが込められているという。
テーマページ 中筋川ダムの景観設計
洪水吐き拾弐景 《第四景》 中筋川ダムの階段式洪水吐き
平成16年台風23号時のダムの効果 (中筋川ダム)
ダムの書誌あれこれ(38) 〜高知県のダム〔下〕 (鎌井谷、大渡、桐見、中筋川、坂本)〜
位置未確認ダムを探して…牛の池田ダムほか
このごろ 中筋川新聞「あかん!」
四万十川新聞「中筋川ダム」
左岸所在 高知県宿毛市平田町大字黒川地先  [Yahoo地図] [DamMaps] [お好みダムサーチ]
位置
北緯32度55分38秒,東経132度48分38秒   (→位置データの変遷
[近くのダム]  横瀬川(10km)

河川 渡川水系中筋川
目的/型式 FNAWI/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 73.1m/217.5m/274千m3
流域面積/湛水面積 21.1km2 ( 全て直接流域 ) /70ha
総貯水容量/有効貯水容量 12600千m3/12000千m3
ダム事業者 四国地方建設局
本体施工者 清水建設・大旺建設
着手/竣工 1982/1998
ダム湖名 蛍湖 (ほたるこ)
ランダム情報 【地域に開かれたダム】国土交通省により地域に開かれたダムに指定される(1994/04/21(木)指定)
【ダムにいる鳥】国土交通省「河川水辺の国勢調査」(2004)
カイツブリ、カワウ、ゴイサギ、アオサギ、オシドリ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ミサゴ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、サシバ、コジュケイ、ドバト、キジバト、アオバト、ホトトギス、フクロウ、アマツバメ、カワセミ、アリスイ、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ビンズイ、ヒヨドリ、モズ、カワガラス、ミソサザイ、カヤクグリ、ルリビタキ、ジョウビタキ、イソヒヨドリ、クロツグミ、シロハラ、ツグミ、ヤブサメ、ウグイス、メボソムシクイ、キクイタダキ、オオルリ、エゾビタキ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、ミヤマホオジロ、アオジ、クロジ、カワラヒワ、ベニマシコ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、サンコウチョウ
【コンクリートダムの工法】拡張レヤ工法
【ダム工事年表】仮排水路(1988.12〜1989.12) 本体掘削(1989.12〜1990.12) 本体打設/盛土(1991.1〜1993.11)
【ダムカード配布情報】2024.8.2現在 (国交省資料を基本とし作成、情報が古いなどの場合がありますので、事前に現地管理所などに問い合わせるのが確実です) Ver1.1
○渡川ダム統合管理事務所 9:00〜17:00(土・日・祝日を含む)事務所玄関のインターホンを押してください。
ダムカード画像コレクション
中筋川ダム Ver.1.0 (2007.07)
[協力:X-DAM]
リンク DamDrive・中筋川ダム(その1)
DamDrive・中筋川ダム(その2)
THE SIDE WAY・中筋川ダム
ダム『京』・中筋川ダム写真集
ダム好きさん【中筋川ダム】
四国堰堤ダム88箇所巡り・第41番堰堤札所 中筋川ダム
雀の社会科見学帖・中筋川ダム 見学 その1
中筋川ダム
中筋川ダムホームページ(国土交通省四国地方整備局中筋川総合開発工事事務所)
参考資料
■中筋川ダムの設計・施工について:岡崎健二
【ダム日本 No.572(H4.6)】
■中筋川ダムの施工とコンクリート温度管理について 四国地方建設局中筋川総合開発工事事務所 所長 土 方 猛
【第32回ダム施工技術講習会(H04.12.07)】
■中筋川ダムの景観設計について 四国地方建設局中筋川総合開発工事事務所 所長 土 方 猛
【第34回ダム施工技術講習会(H05.10.22)】
■【カラーグラビア】写真で見る中筋川ダム
【ダム日本 No.597(H6.7)】
■中筋川ダムの補償経緯と地元対応 四国地方建設局用地部用地調整官佐藤尚孝
【第42回水源地問題実務講習会(H07.03.02)】
■【カラーグラビア】写真で見る田島ダム / 中筋川ダム『蛍湖』が誕生
【ダム日本 No.649(H10.11)】
関連書籍 ■(株)建設技術研究所大阪支店 『中筋川ダム工事誌』 建設省中筋川総合開発工事事務所 1999
■(株)建設技術研究所大阪支店 『中筋川ダム図面集』 建設省中筋川総合開発工事事務所 1999
■(株)建設技術研究所大阪支店 『中筋川ダム写真集』 建設省中筋川総合開発工事事務所 1999
諸元等データの変遷 【06最終→07当初】河川名[中筋川→中の川] ダム事業者[四国地方建設局→四国地方整備局]
【07当初→07最終】河川名[中の川→中筋川]
【08最終→09当初】堤高[73.1→73]
【09当初→09最終】堤高[73→73.1]
【13最終→14当初】ダム事業者[四国地方整備局→四国地方建設局]

■ テーマページ(抄) → テーマページ目次

中筋川ダムの景観設計

 中筋川ダムは、高知県の西部を流れる一級河川渡川(別名四万十川)の一次支川・中筋川に建設された堤高73.1m、堤頂長217.5mの重力式コンクリートダムである。
 ダムの建設に当たっては本格的な景観設計を導入した。特徴は、堤体の下流面を階段状にして豊かな表情を持たせていること。同時に越流水の勢いを押さえるという機能もあわせ持つ。また、堤体は左右対称で、落ち着きのあるデザイン。平成13年度土木学会デザイン賞優秀賞を受賞。
 これは、そのデザインを紹介するものですが、作成に当たっては、「中筋川ダムの景観設計について 四国地方建設局中筋川総合開発工事事務所 所長 土方猛」(第34回ダム施工技術講習会(H05.10.22)テキスト)を参考にしました。また写真は、安河内孝氏の撮影。
■全体のデザイン

 大規模土木構造物のデザインは、細部のデザインの質の高さも重要だが、それにもまして、全体のデザインコンセプトが大切。下流面の階段状にすることを前提に検討を進め、@直線を基調としたデザイン、A左右対称として幾何学的美しさを出す、といったことに配慮して、採用案が決定された。


■下流面のステップ形状

 堤体下流面は、ステップ形状(階段状の形状)になっている。これは、ステップ形状にすることにより越流水の減勢効果を引き出し、堤趾導流壁の高さを低減すること、また、単調になりがちな堤体下流面の景観性の向上をねらいとしたもの。
 形状は、水理模型実験による効果の検討、全体模型による視認性の検討、施工性の検討など、総合的観点から決定された。ステップの高さは75.0cm、幅は50.2cm。85段ある。
 ステップは、ダム基本三角形に外付けの形で施工されている。



 ・・・→ 全文はこちら
(2003年6月作成)



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洪水吐き拾弐景
《第四景》 中筋川ダムの階段式洪水吐き

解説:箱石 憲昭

写真提供:清水建設(株)
堤体下流面のステップが特徴的な中筋川ダム。当初は通常の堤趾導流壁洪水吐きとして設計された。施工段階に入り、景観上単調になりがちな堤体下流面にアクセントを加えることと、非常用洪水吐きからの越流水脈の減勢効果を期待し、階段式洪水吐きの検討が要請された。土木研究所において、水理模型実験によりステップ高さや越流部形状、さらには堤趾導流壁高が検討された。越流水脈が流れ下って加速してからステップにあたると、流れの剥離により負圧が生じ、キャビテーション発生の危険がある。そのため、越流頂からステップ化し、流れがステップ上を徐々に加速しながら流れ下るようにしている。一方、常用洪水吐きからの放流水は堤体下流面に出てきたときには既に高速流となっている。そのため、常用洪水吐き部分の堤体下流面はステップ化していない。堤趾導流壁高は当初案の6mに対して5mに低減している。

常用洪水吐きは、敷高を制限水位にあわせた洪水期用と、常時満水位にあわせた非洪水期用の2条が配置されている。しかし、下流から見るとその違いがわからない。堤体下流の開口形状をそろえるよう工夫をこらしているのである。

堤体から突出するエレベータと水位計のタワーの形状を揃えたり、堤趾導流壁の下流を埋め戻して圧迫感を無くしたり、景観上の工夫が行きとどいたダムである。

(これは、「月刊ダム日本」からの転載です。)
(2015年2月作成)


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