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ダム番号:2875
 
西之谷ダム [鹿児島県](にしのたに)


13/05
どんなダム
 
100%治水ダム
___ 目的が治水だけの100%治水ダム。このため、普段は水を全く貯めない。
シラス地帯にあるため工法の検討などに長期間
___ ダム基礎としては全国的にも稀な地質であるシラス地帯に築造。基礎の性状確認、パイピングに対する検討、止水工法の検討などに20余年の月日を要したという。
テーマページ ダムの書誌あれこれ(107) 〜鹿児島県の川辺ダム、大和ダム、西之谷ダム〜
ダムインタビュー(47) 島谷幸宏先生に聞く 「設計をする時に環境設計と治水設計を一体的にすることが一番重要なのです」
左岸所在 鹿児島県鹿児島市西別府町西ノ谷  [Yahoo地図] [DamMaps] [お好みダムサーチ]
位置
北緯31度36分03秒,東経130度30分08秒   (→位置データの変遷
[近くのダム]  松元(9km)

河川 新川水系新川
目的/型式 F/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 21.5m/135.8m/32千m3
流域面積/湛水面積 6.8km2 ( 全て直接流域 ) /ha
総貯水容量/有効貯水容量 793千m3/718千m3
ダム事業者 鹿児島県
本体施工者 松尾建設・こうかき建設・久保技建
着手/竣工 1990/2012
ランダム情報 【ダムカード配布情報】2019.4.1現在 (国交省資料を基本とし作成、情報が古いなどの場合がありますので、事前に現地管理所などに問い合わせるのが確実です) Ver1.0
○鹿児島地域振興局建設部河川港湾課 8:30〜17:15(土・日・祝日・年末年始は配布していません)
ダムカード画像コレクション
西之谷ダム Ver.1.0 (2015.11)
リンク ダムニュース/西之谷ダム 「試験湛水開始 」(ダム技術センター)
ダムニュース/西之谷ダム 「定礎式」(ダム技術センター)
ダム工事総括管理技術者会ホームページ・西之谷ダム
河川総合開発工事(西之谷ダム)の施工状況について(その26)(鹿児島県)
諸元等データの変遷 【06最終→07当初】竣工[→2012]
【07最終→08当初】着手[1972→1990]
【08最終→09当初】ダム名[西之谷*→西之谷] 堤高[21.5→22]
【09当初→09最終】堤高[22→21.5]
【09最終→10当初】本体施工者[→松尾・こうかき・久保技建]
【12最終→13当初】本体施工者[松尾・こうかき・久保技建→松尾建設・こうかき建設・久保技建]
【13最終→14当初】有効貯水容量[793→718]

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ダムの書誌あれこれ(107)
〜鹿児島県の川辺ダム、大和ダム、西之谷ダム〜

 これは、「月刊ダム日本」に掲載された記事を一部修正して転載したものです。著者は、古賀邦雄氏(水・河川・湖沼関係文献研究会、ダムマイスター 01-014)です。

◆ 9. 西之谷ダムの建設

 西之谷ダムは、二級河川新川水系新川の上流鹿児島市西別府町西之谷地内(錦江湾河口から9.2q地点)に建設されるもので、新川河川総合開発の一環をなすものである。新川は、川幅が狭小であるため梅雨期や台風期に毎年のように河川の増水、氾濫を繰り返してきた。昭和44年6月30日、61年7月10日、63年8月22日と水害が起こり、特に平成5年8月6日の洪水では、1時間雨量56oで、新川下流一帯の浸水家屋1,379戸が被害を受け、平成7年8月11日の洪水では、1時間雨量99oで、浸水家屋1,283戸、多くの車が流された。


 このような状況から、47年から実地計画調査に着手し、ダム本体のコンクリート打設が完了し、平成24年10月試験湛水を行っている。


◆ 10. 西之谷ダムの地質

 鹿児島県のダム建設は、ダムサイトなどの複雑な火砕流の地質構造となっていることから、その設計・施工には苦労のあとがにじみ出ている。

 西之谷ダム地域の地質構成は、四万十層群と呼ばれる中生代の砂岩、頁岩が基盤をなし、その上部に幾層かの火砕流堆積物と水成堆積層などが覆っている。これらは下から照国火砕流、花倉層、小山田層、加久藤火砕流、城山層、入戸火砕流堆積物(シラス)の順となっている。西之谷ダムの基礎地盤は、主にこの城山層にもとめており、一部シラスに着岩する。

◆ 11. 西之谷ダムの諸元と目的

 西之谷ダムの諸元は、型式 重力式コンクリートダムで、堤高21.5m、堤頂長135.8m、堤体積32,300m3、ダム天端標高EL.59.0m、最低基盤標高EL.37.5m、上流面勾配上流フィレット1:0.6(始点EL.52.5m)、下流面勾配1:0.78である。

 貯水池は、集水面積6.8km2、総貯水容量793,000m3、堆砂容量75,000m3、設計洪水位EL.57.3m、サーチャージ水位EL.55.0m、最低水位EL.43.0mとなっている。放流設備として、常用洪水吐き 幅1.95m×高さ1.65m 1門、非常用洪水吐き 幅12.0m 4門を備え、ダム設計洪水流量320m3/s、計画高水流量95m3(1/100)、計画最大放流量40m3/sとなっている。

 西之谷ダムの目的は、洪水調節のみであり、洪水調節方法は、穴あき方式(ゲートレス)であり、確率規模別流量配分で、次の3通りで行われる。
@ 1/20 20年に1回の雨が降った時、ダム地点で最大60m3/sの洪水が流下するが、ダムにより35m3/sを制御し、下流河川に25m3/sを流下させる。
A 1/50 50年に1回の雨が降った時、ダム地点で最大80m3/sの洪水が流下するが、ダムによって50m3/sを制御し、下流に30m3/sを流下させる。
B 1/100 100年に1回の雨が降った時、ダム地点で最大95m3/sの洪水が流下するが、ダムによって65m3/sを制御し下流に30m3/sを流下させる。

 西之谷ダムの特徴は、洪水調節容量のみで、不特定容量を持たない、穴あき式のダムで、そのため貯水容量を確保するために、貯水池内の掘削を行った。



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(2015年10月作成)



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ダムインタビュー(47)
島谷幸宏先生に聞く
「設計をする時に環境設計と治水設計を一体的にすることが一番重要なのです」

 島谷幸宏(しまたにゆきひろ)先生は、現在、九州大学で学生の指導にあたっておられますが、鹿児島県の川内川の鶴田ダムや新川の西之谷ダムといったダム事業では、学生ともども地域住民も参加した合意形成のあり方を探り、その過程で大型の水理模型実験に取り組むなど、洪水リスクを減じながら自然環境を考えた川づくりを行うという観点で大きな成果をおさめられました。

 今回は、自然を生かした川づくりとはどのようなコンセプトに基づく川づくりなのか?や、大型模型を活用しつつ、地域住民との話し合いを重ねて得られた合意形成の事例についてお話を伺います。
(インタビュー・編集・文:中野、写真:廣池)


西之谷ダム湖の、ビオトープ設計


ダム湖のビオトープ(西之谷ダム)

島谷: 西之谷ダムというのがあります。鹿児島県の新川は、鹿児島市内を流れる都市河川ですが、その上流部に今年完成した西之谷ダムという穴あきダムがあります。これは、流水調節型のダムですが、そこの上流のダム湖のビオトープ設計をしました。出来たものは、すごくすばらしいですよ。ダムを造る前よりもずっと自然環境が豊かになりました。

 西之谷ダムの法面は棚田のイメージになっています。最初のオファーでは法面の景観設計をして欲しいという事だったのですが、普通に法面を斜めにすると草が生えて維持管理に手間がかかるので、湧き水が出るからその水を溜めようと…。水が溜まっていると水が植物を管理してくれますから。

中野: まさに発想の転換ですね。
島谷: あまった石などは溜まった水の中に入れておけば、生き物が住むし非常にいいということです。川も護岸整備しなくてもそのままにしておいて、土木工事をするのだから、浅く掘っても容量は一緒なのでコストもかわらない。

中野: つまり、初めから考えてやればうまくいくのですね。きれいなダム貯水池のビオトープですね。

島谷: 西之谷ダムは、鹿児島市内にあります。鹿児島駅から車で30分もかからない。毎年、下流部は溢れていますから、治水上効率の高いダムです。これで水質はものすごくよくなると思いますよ。上流では酪農をやっていますから、少し汚いと思いますが、ここで全部浄化されると思います。ダムをつくると環境が悪くなるといいますが、このダムは全く常識に反しています。

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(2013年10月作成)


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