2012年6月2日、翌日に京都駅ビルでwith Dam★Night in Kyotoを控えている日に曇り空の下、京都市内に来ております。 普段の自分だったら全く御縁のない高級ホテル。ホテルオークラ京都の前です。 ホテルオークラ京都は国際会館と並んでICOLD2012のメイン会場です。
ホテルオークラ京都。
ICOLD2012の会場のひとつ。
ホテルのロビーにこんなホワイトボードと受付カウンターが。 ホワイトボードの下に並べられているのは英語に翻訳されたパンフレット類。
この日はICOLD2012Kyotoの技術見学会一日目。 という事でここ、ホテルオークラ京都からバスで 京都と滋賀の史跡とダムを見学するというツアーが用意されていたのです。
ICOLDの本会議ではないけれど技術展示会の方でプレゼンテーションをするという事で 見学会に参加できることになりました。 ダム協会の方と一緒に定刻にバスに向かいます。
薄いイエローベージュのジャンパーを着ているのはスタッフの皆様。 次々到着するバスに海外のダム技術者の方が乗り込んでいかれます。
バスにはこんなプレートが。 全部で7台。
いざ出発。
ホテルから出発したバスはまず、南禅寺に到着しました。 まず琵琶湖疏水というのはいいですねぇ。 古刹を眺めつつ、その境内を横断する水路閣に海外のダム技術者の方もわくわく散策。
本日のコースです。
南禅寺・水路閣>>瀬田川(南郷)洗堰>>昼食:大津市内 >>平等院>>喜撰山ダム・発電所>>天ケ瀬ダム
事前情報では平等院が最後になっていましたが 変更があったようです。 実際、その方がよかったと思います。 平等院を見た後に天ケ瀬ダム見ないと。 この美しい建物を守っているのが天ケ瀬ダムだと分かって貰いたい。
南禅寺を駆け足で見た後、大津に向かいます。
この時に個人的にもう少し何とかしてほしかったなと思うのは ホテルからツアーの英語ガイドの方があまり 琵琶湖疏水や京都の近代化に水力発電がどれだけ寄与したかを語ってくれなかったこと。 勿体ないくらいバスの横に史跡があるんです。
こんな素晴らしいペルトン水車が展示されている疏水記念館。
道路のすぐ横に田辺朔朗博士の像が見下ろすインクライン。
蹴上発電所に上水道 琵琶湖疏水、第二疏水、疏水分線 古刹を守る防火用水としても活用されているし寺社の池にも供給されているエピソード 京都の市電を走らせた水力発電 そしてこの素晴らしい事業がテルフォード賞を受賞したこと ここでは他の何よりも 日本が誇る歴史的な電力土木と近代化遺産である琵琶湖疏水事業を説明してほしいわけです。 そのガイドこそが海外ダム技術者に向けてやってほしい事と思うのはおかしいのかな・・。 と、不満を書いていて気付く。
つまり自分がこの素晴らしい琵琶湖疏水をアピールしたいと思うなら 自分が英語力をつけろってことなんだな 自分が英語しゃべれるようになったら伝えられるんだから 英語喋れない自分が一番ダメダメなんだ
後、バスの中で配られたお水がボルビックだったこと。 折角の京都なのにっ。
ここはびしっと『京都の水道 疏水物語』を出すべきでしょう。 さすがにこれは現場で即座に突っ込ませてもらいました。
滋賀県に入り渋滞に捕まりながら到着しましたアクア琵琶。 豪雨体験にトライする海外のダム技術者の皆様。 だめだよっ傘なんて。 合羽着ないと 長靴履かないと 心配しましたが被害はなかったようです。
南郷洗堰と瀬田川洗堰の両方を見渡せるこのスペースで 国土交通省の方から説明が。
ふと目をやると九頭竜ダムでお世話になった方がいらして喜ぶ。 この技術見学会のために土曜日曜にも関わらず出勤でイベント対応なんだそうです。 管内の各ダムの所長様クラス、全員動員されたのでしょうか。 たくさんの方に支えられている技術見学会♪
アクア琵琶を後にしてお昼ご飯は琵琶湖ホテルでバイキング。
貧乏人なので未だかつて経験したことのない豪華なお料理の美味しさにも吃驚しましたが お料理プレートに全部何の食材を使った料理なのかちゃんと英語で表記があって 各国の技術者の方がお座りになるテーブルで全く食べられているものが違う事に 国際色を感じました。
イスラム圏の技術者の皆様のテーブルではほとんど全部野菜と炭水化物でしたし 豚肉禁止、牛肉禁止、お酒禁止、その他色々宗教的制約があると大変ですね。
バスの出発時間までにホテルの横の大津湖岸なぎさ公園で琵琶湖を眺める参加者の皆さんの様子。
お昼ごはんの後は京都に戻って平等院を見学です。 十円玉を出して平等院を説明したり、万札を出して鳳凰を説明したりしてました。
しかし参加者の皆様、あまりテンションが上がっていないみたい・・。
バスの駐車場に天ケ瀬ダムから平等院までが書かれている地図がありました。 これで位置関係を説明した方がいいのにな〜と思っていました。
そしてバスはついに主役のダムへ。
天ケ瀬ダムは最後なのでパスして関西電力喜撰山発電所に向かいます。 バスの台数が多いのですでに喜撰山発電所を見学した後の 先行グループがすでに天端にたくさんおられるのが見えました。
このあたりからバスの中の空気が変わってきました。 特に前にお座りのロシアのダム技術者の方はカメラを握りしめて気合いが凄い。 後ろの座席にいても伝わってくる気合い。
そして開かずのゲートが開いてバスが喜撰山発電所に向かいます。 このアーチ橋を渡りたいとどれだけ願っていたか♪
バスの中に撮影注意事項がアナウンスされます。 喜撰山ダムの写真とか発電所内の写真とかwebサイトにあげたりするのはだめですよとの事。
という事で以下の↓写真と記事については許可を得て公開しています。
バスでそのまま地下発電所に入りましたー。 中では関西電力の方がたくさんいらっしゃって 以前宇治川ヘリテージツアーでお世話になった方もいらして御挨拶。 覚えていてくださって嬉しい。 行く先々で面識のある方がいらっしゃると気持ちがほっとする。
喜撰山ダムと喜撰山発電所、天ケ瀬ダムの位置 琵琶湖と京都、大阪の位置がわかる地図です。
喜撰山発電所は竣工して40年以上経ちますが ポンプ水車や発電機固定子を更新し安定供給を担っています。 現在も233,000kw×2で466,000kwも発電できる凄い発電所です。
発電所の中では海外技術者の方の動きが一変しました。 もう皆さん夢中なの。 やっぱり海外では発電用のダムが多いから業界の人として興味がつきないのですね。
発電所見学の次は観光バスが登っていくのも大変なくねくね道をどんどん登って喜撰山ダムへ。 行く途中バスの前を横切る鹿。 ゲートを超えてバスはゆっくり進みます。
喜撰山ダム
ここで前の席のロシアの方のスイッチが入ったー!! 木々の隙間から堤体が見える瞬間を狙ってモータードライブつけてるのかという位の連写。 でも後ろから見ていて あ、今のアングルだったら絶対、木しか写ってないと思うなー・・・。 でも気持ちと気合はすごく分かります。
到着しました。 喜撰山ダムです。 巨大なダム名碑。
関西電力の方が詳しい説明をくださいますが英語なので分からない。 海外のダム技術者の方、もう真剣そのもの。
そして自分は日本語のパンフレットを見せて貰って理解する。
喜撰山ダムは揚水の上池らしい静かなダムサイトのロックフィルダムでした。 天端のイメージは同じく関西電力さんの瀬戸ダムとよく似ていますが 余水吐が堤体の横に控えていない造りでリップラップの石は中位サイズ。 天端中央の余盛が竣工して40年以上経つにも関わらず素晴らしくこんもりしていて素敵。 下流面は成型で綺麗な堤体でした。
最後に堤体自由に見放題の天ケ瀬ダムです。
ここはゆっくり見学できるぞと思ったら時間がかなり押しているので まず左岸で溜まってしまったら動けなくなるので 天端右岸に移動して見学しながら説明を受けながら戻ってくるという方式。
しかしここでも海外技術者の方、記念撮影より質問炸裂。 これは上流の右岸のぱらぱら土砂崩れ面について質問している様子。 ここは通訳の方も電子辞書を引っ張り出して苦戦。
というのは深層崩壊に代表される深刻な大規模土砂崩れと 表層が荒廃してぱらぱら裸地が出てくる程度の土砂崩れって扱いが全然違ってくるからです。 天ケ瀬ダムの支所長さんが仰る内容を伝えるにもニュアンスがうまく伝わらないし 地質と地盤に関することなので専門度が高すぎてどう伝えてよいか困難。
お話しされている内容を聞きながら 昨年の台風12号被害調査報告で土木学会の方が発表されていた内容を 英語でここでお伝えできたらどんないいかとやきもきやきもき。
英語を話せない自分って・・としょげる。 とにかく右岸にあるぱらぱら土砂崩れ痕は古いもので 大きく進行していないという事は伝わったみたいでほっとする。
という事でICOLD2012Kyotoの技術見学会は無事に終了しました。
観光地の古刹よりもダムにいる時の方が 生き生きわくわくされていた海外のダム技術者の方の様子に 力づけられたと同時に英語できなきゃだめなんだなと感じた見学会でした。
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