《このごろ》
「ダムカレー」がICOLDの会場で国際デビュー!

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 日本で初めて開催される、国際大ダム会議京都大会の会場で、「ダムカレー」が期間限定デビューすることになりました。そこで国立京都国際会館のレストラン「グリル」の調理担当の高橋チーフ、営業担当の西岡さんに、ダムカレーについて伺ってみたいと思い、お願いしたところお忙しい中、少しだけお時間をいただいたのでお話させていただきました。
 ご存じのとおりダムカレーは、黒部ダムカレーが最初といわれていますが、今ではご当地ダムカレーが沢山あります。
 以前、取材した割烹「三州家」のダムカレーは、どちらかという和風味のカレーですが、今回の国立京都国際会館のものは、美しいアーチ式ダムカレーで果たしてどんな味がするのか…。また海外からの来場者の反響についてもお聞きしてみることにしました。
(株)国立京都国際会館食堂 営業部 西岡 裕幸
調理部 高橋 玲二

(インタビュー 中野朱美)


中野: ICOLDの京都大会へ来て、会場のレストラン「グリル」のメニューに「ダムカレー」があるということでお昼に食べに参りました。レストラン「グリル」にはもともとこだわりのカレーがあったということですが、どういう経緯でダムカレーを出されたのでしょうか?

高橋: レストラン「グリル」には、先輩シェフから受け継いでいるカレーが40年くらいになるのですが、それをベースに今回は、ダムの国際会議があるので作ってもらえないかというご要望をいただき、私ども流の「ダムカレー」を作ることになりました。


国立京都国際会館のレストラン「グリル」

中野: 期間限定ということはこの会議に合わせてということですね。

西岡: そうです。

中野: 実際に「ダムカレー」を出されてお客様の反響はいかがですか。

高橋: 会議中のお食事メニューとしてはバイキングもやっていますので、単品でのご利用というのは少し減りましたが、レストラン「グリル」にいらっしゃる方の多くが「ダムカレー」を頼まれており、平均で一日50食ほどは出ています。売り上げの半分近くは「ダムカレー」が占めている状況です。(笑)

中野: 日本の方と、外国の方ではどちらが多く頼まれるのですか。

西岡: ほぼ半々という感じでしょうか。ただ外国の方も興味は持たれているようです。
 今回の会議のレストラン案内にも「特製チキンダムカレー」を大きく載せていただいているので反響はありますね。



高橋: 当初メニューは「ダムカレー」だけにしようかという案もありましたが、毎日だと飽きるということでそれはなくななりました。

中野: ダムカレーについて、何か説明を求められることはありますか。

高橋: それは、とくに今のところはありません。

中野: 「ダムカレー」は、種類としてアーチ式、フィルダム式とかいろいろあるのですが、今回このアーチ式に絞った理由はありますか。


高橋: まず国立京都国際会館のマークがアーチ式に似ていまして、それをモチーフにした形で、遊び心を入れて半円の形を作ってみました。自然に囲まれた森林イメージでサラダ、ダム湖に浮かぶ水藻をパセリでという感じで西岡さんと相談しながら作らせてもらいました。

中野: このマークは国立京都国際会館ができた時からのものですか。

西岡: ロゴマークは国立京都国際会館のものです。

高橋: 実は、今回宝ヶ池も貯水地だということを聞きましたが、どうしてもイメージがわかなかったので国立京都国際会館でやるのであれば、国立京都国際会館のマークをモチーフにしたほうがいいかと思いました。

中野: 「ダムカレー」に関してはざっと調べても沢山出てきますが、作製方法についても調べられましたか。どこが参考になりましたか。

高橋: ネットで調べましたね、やはりアーチ型をみました。

西岡: みなさんいろいろ工夫されていて勉強になりました。

中野: ダムについてはお詳しいということでしょうか。

西岡: いえ、「ダムカレー」の話があってから、二人でダムについて勉強をしました。(笑)

高橋: 黒部ダムの名前はよく知っていましたが、他のダムについてはあまり知りませんでした。地元ですと、京都では日吉ダムとかには行ったりしたことはありましたが。

中野: 日吉ダムでは、ウエルカムプラザ内の「レストラン桂川」にダムカレーがありますが、それはご存じでしたか。

高橋: 知らなかったです。今回調べてみて、実際に身近にあることがわかって驚きました。

中野: 「ダムカレー」はダム近くのレストランとか、道の駅などで出されていることが多いですが、こちらには宝ヶ池があるということで、この「ダムカレー」も今後メニューとして取り入れていかれるお考えはありますか?

高橋: 今のところは期間限定で考えていますが、またこのような機会があれば出させて頂きたいと思っています。いろいろ勉強になりますし工夫するのも楽しいです

中野: 丁寧に作られているので、是非、またお願いします。気になっていたのですが、この堤体(ライス)の部分が分かれているのは何か理由があるのでしょうか。

高橋: 実は、国立京都国際会館のマークをイメージしたかったので、適当な型押しを探したのですが、なかなか見つからず、捜すのにとても苦労しました。最初は型を作ってもらうことも考えましたが、時間がかかるということで諦めました。


高橋チーフ


高橋チーフの名刺にあったマーク

西岡: スーパーなどいろいろ探してましたが、ありませんでしたね。いろいろな形のものからようやく半分ずつならなんとか作成できる型押しが見つかったので、これでいこうということになったのです。

中野: 東京の割烹「三州家」で出される「ダムカレー」はどんぶりに入ってて両手にシャモジを持って堤体(ライス)を創りますが、見た目にきれいに仕上げるには天端を揃えないといけなくて、滑らかにするのが難しい、きれいに創るには時間がかかるようですが。お昼時には大変ですね。

高橋: そうなんです。どんぶりのカレーの製作過程もネットで見ました。手が込んでいてすごいなと思いました。うちのレストランは100席あるのですが、お客様が一度に入られると、他のメニューもありますので、あの製作方法ではとても間に合いません。

西岡: 会議がある時は、だいたい1,000人くらいの方が来場されます。全員がレストランを利用するわけではないのですが、100〜200人方は利用されますので、時間がかかってお客様をお待たせすることはできませんので、ふたりで考えてこれで出すことにしました。
どのメニューもそうなんですが、スピードが要求されます。

高橋: スタッフの人数も限られてるので、このコンセプトでこの形であれば出せると思いました。

西岡: スタッフ4人でやっているので結構大変なんですが、高橋さんは本当に研究熱心で「ダムカレー」の形を決めるにも一生懸命勉強をしていました。

中野: 他のスタッフの方も試食されたのですか。

高橋: このメニューはみんな納得してくれました。

西岡: それから、国際会議なので、牛肉、豚肉がダメという国もあるので、鶏肉ということになりました。そういう工夫もして頂きました。

中野: そうですね。宗教的な事ありますから、難しいですね。

高橋: ベジタリアンにも対応できるように、カレールウに豆とか入れてダムカレーを準備しましたが、それはまだ出てませんね。

中野: ルウを創るのにどのくらい時間がかかるのでしょうか。

高橋: タマネギ15kgを煮込むのにだいたい3時間、カレーを煮込むのに4時間くらいかかります。まる一日かかりますね。

中野: 会議は時間に追われることが多いので、カレーは早く出てきて、早く食べられるので、とくに男性には人気がありますよね。

高橋: ええ。カレーの注文は多いです。

中野: 今回、ダムカレーをきっかけに、ダムについてお調べになったということですが、今までダムについてはどのようなイメージを持っておられましたか?

高橋: 僕は、水の流れるイメージが好きなので、昔からダムの観光放流があれば見に行くこともありました。でも、どこのダムとか詳しくはないのですが。


中野: 今回の会議をきっかけに、ダムと水力発電が環境に優しいクリーンエネルギーであることを知ってもらえる機会になれば思うのですが。

高橋: 水力発電がクリーンエネルギーだということは良くわかりますね。

西岡: この会議に沢山の国々の方がにいらして、「ダム」が多くの国にあることを初めて認識しました。

中野: 宝ヶ池もそうですが、昔に造られたダムというのは、溜め池として自然に溶け込んでいるので、実はダムだったという土木遺産もたくさんあります。

西岡: 本当にそういった意識はなかったですね。身近にある池がそうなのかと驚きました。

中野: 昨日(6/4)、歓迎会が庭園で開催されましたが、花火を上げた所が堰堤にだったということが全くわからないですね。京都の国際会議で「ダムカレー」が登場し、世界各国の方に食べていただけたというのはなかなか感動ものでした。
本日は、大変お忙しい中、お時間を割いて頂きまして有難うございました。


(参考)様々な「ダムカレー」

@みなかみ温泉の旅館たにがわの藤原、矢木沢、奈良俣ダムをモチーフにしたダムカレー。
A谷川岳パーキングエリアのダムカレー。
B黒部ダムカレー/昭和40年初頭にレストラン扇沢「アーチカレー」が元祖。長野県大町市内の15店舗で出されるご当地カレー。
C道の駅湯西川のダムカレー。
D鬼怒川温泉の近くのコンビニ「セーブオン」で販売のダムマニア監修のアーチ式ダムカレー。H22.10.5このごろに掲載
E相模ダムカレー/「ともしび喫茶青林檎」がダムマニア展をきっかけに発売。相模湖に浮かぶ流木やワカサギをイメージした。
F宮ヶ瀬ダムカレー/宮島さん監修のレストラン「白い滝」のダムカレー。アドマチック天国の薬丸印の新名物で紹介。
Gスプリングス日吉は、京都府丹波の日吉ダムとともに地域振興策として建設された複合温泉施設にある。日吉ダムのウエルカムプラザ内の「レストラン桂川」のダムカレー。
Hダムマニアさんが紹介している静岡県太田川ダムのレストラン「アクティ森」のダムカレー。
I嘉瀬川ダムカレー/全国各地にあるダムカレーの一つとして佐賀市富士町の「熊の川温泉ちどりの湯」で新発売。2012.4.28佐賀新聞
J大分県下筌ダムカレー/下筌ダムを望む蜂の巣公園横の「キッチンしもうけ」今年から発売。2012.1.6大分合同新聞

(2012.6.19、中野朱美)
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