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7.台ダム(台本川)の建設

 台本川は、その源を、愛媛県越智郡大三島に位置する鷲ケ頭山( 436.5m)に発し、山間部を北流し、大三島町台地先を貫流して瀬戸内海に注ぐ流路延長 3.7km、流域面積 6.7km2の二級河川である。急流のうえ下流平坦部は河床が堤内地より高い天井川のため古くからたびたび出水の被害を受け、昭和38年台風9号により、浸水家屋 340戸、昭和42年梅雨前線により浸水家屋 352戸に及んだ。昭和39年及び昭和53年の干ばつ時には深刻な水不足に見舞われた。

 このため台ダムは、台本川総合開発の一環として、平成4年3月越智郡大三島町大字台宮浦地点に完成した。この工事記録として、愛媛県今治地方局台ダム建設事務所編・発行『台ダム工事誌:台本川総合開発事業』(平成4年)、鹿島建設(株)台ダム出張所編・発行『台ダム建設工事工事誌』(平成3年)の書がある。

『台ダム工事誌:台本川総合開発事業』

『台ダム建設工事工事誌』

 台ダムは3つの目的を持って建設された。 

洪水調節として、台ダム地点における計画高水流量85m3/sのうち57m3/sの洪水を調節することによって、添地先の基準地点における計画高水流量 114m3/sを60m3/sに低減し、治水の安全度を高める。
・流水の正常な機能の維持として、台ダムは下流の既得水利である水田25haに対し、灌漑用水を補給するとともに河川維持用水を添基準地点において1530m3/日を確保する。
・水道用水として、大三島町、上浦町、伯方町及び宮窪町3島4町(現・今治市)に対し、最大0.07m3/sを供給をする。

 ダムの諸元は、堤高42.3m、堤頂長 225.3m、堤体積9.17万m3、総貯水容量 179万m3、型式重力式コンクリートダム、起業者は愛媛県、施工者は鹿島建設(株)で、事業費 94.71億円を要した。

 なお、主なる補償は移転家屋4戸、土地面積30.4ha、付替町道 1.8km、付替林道 2.5kmとなっている。この台ダムの完成は、雨の少ない典型的な瀬戸内海気候で島しょう部の大島、伯方島、大三島における三島に治水と利水の安定を図ったことの意義は大きい。またこの地方は個性豊かなえひめ瀬戸内リゾート地として整備開発が進んだことから、ダム周辺の環境整備として、自然公園、森林公園、親水公園など多数の小公園を備え、住民の憩いの場を創出している。


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