6.青森県のダム開発史
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青森県では、ダムは昭和以降34基築造されている。そのダム開発史について、長谷川成一他著『青森県の歴史』(山川出版社・平成12年)、建設省東北地方建設局河川部編・発行『東北のダム五十年史』(平成5年)、農業水利ダム大成編集委員会編『農業水利ダム集大成 第三巻』(公共事業通信社・昭和59年)、日本ダム協会編・発行『ダム年鑑2006』(平成18年)により、
・昭和初期(昭和元年 〜20年) ・昭和中期(昭和21年〜40年) ・昭和後期(昭和41年〜63年) ・平成期 (平成元年 〜18年)
の4期に分けて追ってみた。
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『東北のダム五十年史』 |
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明治期〜大正期間、青森県のダム築造はみられない。内田和子著『日本のため池』(海青社m3平成15年)によれば、青森県のため池数は1397ケ所(平成元年現在)存することが記されており、農業用に利用されていることがわかる。
■昭和初期(昭和元年〜20年)
昭和3年 大旱魃 六羽川水喧嘩 4年 津軽鉄道、五所川原、金木間開通 5年 南部鉄道、尻内、五戸間開通 6年 一の渡ダム(岩木川)の完成(東北電力) G P 15.6m 2.8万m3 青森県りんご試験場開設 7年 8月豪雨 岩木川、浅瀬石川氾濫 8年 大穴ダム(岩木川)の完成(浅瀬石川土地改良区) E A 20m 116.7万m3 三陸地震 大津波死者31人 9年 野田溜池(新井内川)の竣工(島守土地改良区) E A 15m 1.5万m3 鬼楢ダム(岩木川)の完成(鬼沢楢木土地改良区) E A 15m 25万m3 10年 8月集中豪雨 岩木川、堤川氾濫 12年 三本木原の国営開墾起工式 日中戦争始まる 13年 NKK弘前放送局放送開始 15年 河水統制事業費国庫補助創設 青森県の人口100万人 16年 太平洋戦争始まる 18年 十和田発電所完成 8月集中豪雨 金木町浸水 20年 日中、太平洋戦争終結 田の沢溜池(清水川)の竣工(平内土地改良区) E A 21m 117.3万m3 岩木川融雪水害 鶴ケ岡堤防決壊
昭和初期は5基のダムが築造された。青森県初のダムは昭和6年完成、重力式コンクリートダム、発電を目的とした一の渡ダムである。あとの4基は全てアース式で農業用水を供給する。
■昭和中期(昭和21年〜40年)
昭和22年 カスリン台風 23年 4月大雨 岩木川流域破堤 24年 水防法公布 25年〜28年 朝鮮戦争勃発、休戦 26年 河川総合開発事業開始 新十川通水完成 29年 青函連絡船、洞爺丸、台風で沈没 30年 赤石ダム(赤石川)の完成(東北電力) G P 23.1m 83.1万m3 6月大雨 十川氾濫 31年 本郷川ダム(岩木川)の完成(青森県) E A 21.8m 20万m3 (平成元年 本郷川ダム再開発) 32年 特定多目的ダム法公布 33年 8月集中豪雨 岩木川弘前地方被害 34年 四和ダム(奥入瀬川)の完成(青森県) E F 22.8m 82.5万m3 35年 目屋ダム(岩木川)の完成(国交省) G FNP 58m 3900万m3 治山治水緊急措置法公布 7月集中豪雨 平川大氾濫死者14人 十三湖右岸囲繞堤竣工 37年 津刈ダム(岩木川)の完成(青森県) E A 30.2m 45.1万m3 39年 新河川法公布 八戸市、新産都市の指定
昭和中期は5基のダムが造られた。型式はアース式3基、重力式コンクリートダム2基、目的は農業用2基、治水防災1基、電力用1基、多目的ダム1基となっている。特筆されるダムは、昭和35年完成、治水、かんがい用水、発電の多目的利用の目屋ダムで、堤高58m、総貯水容量3900万m3を誇る。
■昭和後期(昭和41年〜63年)
昭和41年 夏坂ダム(馬淵川)の完成(青森県) G F 27.5m 81万m3 岩木川一級河川に指定 10月集中豪雨(清水川)、死者7人 42年 新小戸六ダム(岩木川)の完成(農水省) E FA 21.8m 175万m3 豪雪(〜44年)の大被害 43年 小金沢ダム(堤川)の完成(青森県) E A 21m 34.4万m3 天間ダム(高瀬川)の完成(青森県) G FA 50.5m 1958.4万m3 5月 十勝沖地震死者48人 8月 集中豪雨(蟹田川)死者2人 44年 台風9号来襲(堤川)死者2人 45年 二の倉ダム(五戸川)の完成(青森県) FA F 37m 281万m3 米の生産調整決定 47年 花木ダム(馬淵川)の完成(青森県) R F 27m 57.6万m3 飯結ダム(岩木川)の完成(青森県) E FNW 38m 238万m3 8月 集中豪雨(岩木川など)被害 48年 水源地域対策特別措置法公布 9月 集中豪雨(田名部川)被害死者4人 49年 集中豪雨浪岡川氾濫 50年 中津軽郡岩木川百沢で土石流災害 ダム周辺整備環境整備事業創設 遠部ダム(岩木川)の完成(青森県) G FN 43m 142万m3 小田川ダム(岩木川)の完成(農水省) R A 31m 970万m3 集中豪雨土淵川、浅瀬石川氾濫 青森県の人口152.4万人 52年 8月 集中豪雨(土淵川など)死者11人 54年 作田ダム(高瀬川)の完成(青森県) R F 31.5m 128.2万m3 貯水池保全事業創設 平川m3浅瀬石川激特事業完成 57年 浪岡ダム(岩木川)の完成(農水省) R A 52.4m 760万m3 58年 5月 日本海中部地震津波死者17人 土淵川放水路トンネル(弘前市)完成 59年 青森市87年ぶりの豪雪 大峰山川放水路竣工 60年 早瀬野ダム(岩木川)の完成(農水省) R A 56m 1350万m3 61年 東北縦貫自動車道 青森m3浦和間全通 63年 下湯ダム(堤川)の完成(青森県) R FNW 70m 1260万m3 又木戸ダム(五戸川)の完成(青森県) E F 34.6m 123.6万m3 浅瀬石川ダム(岩木川)の完成(国交省) G FNWP 91m 5310万m3 青函海底トンネル完成
昭和後期は15基のダムが造られた。型式はアース式4基、重力式コンクリートダム4基、ロックフィルダム6基、アスファルトフェイシングダム1基となっている。青森県初のロックフィルダムは花木ダム、アスファルトフェイシングダムは二の倉ダムが誕生。 目的では、農業用4基、治水5基、多目的ダム6基となっている。特筆されるダムは浅瀬石川ダムの堤高91m、総貯水容量5310万m3の多目的ダムである。
■平成期(平成元年〜18年)
平成2年 新青森空港全面開港 9月 台風19号(岩木川)の被害 3年 台風19号死者9人、りんご被害741億円 5年 白神山地、世界遺産登録 6年 川内ダム(川内川)の建設(青森県) G FN 55m 1650万m3 和田ダム(高瀬川)の完成(青森県) R F 44m 305.5万m3 7年 久吉ダム(岩木川)の完成(青森県) G FNW 57m 673万m3 二庄内ダム(岩木川)の完成(農水省) R A 86m 1560万m3 8年 小泊ダム(小泊川)の完成(青森県) G FNW 33.5m 34万m3 11年 10月 集中豪雨(浅水川、後藤川)死者2人 12年 清水目ダム(野辺地川)の完成(青森県) G F 33.5m 263万m3 14年 浅虫ダム(浅虫川)の完成(青森県) G FN 9m 30万m3 相馬ダム(岩木川)の完成(青森県) R FA 52.4m 656万m3 15年 世増ダム(新井田川)の完成(農水省) G FAW 52m 3650万m3 浅水川放水路(八戸市)の完成 16年 9月 台風21号の被害 17年 川内ダムが「ダム湖百選」に選ばれる 18年 小川放水路(むつ市)のトンネル区間完成
平成期は9基のダムが造られた。型式は重力式コンクリートダム6基、ロックフィルダム3基で、目的は治水2基、農業用1基、多目的ダム6基となっている。特筆されるダムは治水、農業用、水道用の多目的ダム世増ダムの完成である。
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以上、青森県のダムは34基に及ぶが、続いて目屋ダム、久吉ダム、早瀬野ダム、二庄内ダム、浅瀬石川ダム、浪岡ダム、小泊ダム、下湯ダム、浅虫ダム、川内ダム、天間ダム、世増ダムの建設について、ダム工事誌(事業誌)及び事業パンフレット等により、追ってみたい。
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