12.浪岡ダム(岩木川水系浪岡川支川王余魚沢川)の建設
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江戸期には新田開発が盛んに行われた。津軽浪岡地方においてもかんがい用水を確保するための溜池が造られている。熊谷沢溜池や、宝溜池、三太溜池、蛍沢溜池、銀の溜池がそれであるが、浪岡川の堰止めの水を一部取水している池もあった。
浪岡川は浪岡町(現青森市)南東端400〜700m級の山地に源を発し、水ケ沢を合わせ、北西へ流れ、王余魚沢附近で浪岡ダムから出た王余魚沢川を合流後流れを西に変え、浪岡城址附近で正平津川、さらに大釈迦川と合流し、板柳町四ツ谷のところで、十川と合流する流域面積88km2、流路延長22.41kmである。
浪岡ダムは、国営浪岡川農業水利事業の基幹施設として、青森県南津軽郡浪岡町王余魚沢地内に、昭和51年着工し、昭和56年に完成した。
このダム建設記録として、日本農業土木コンサルタンツ編『事業誌 浪岡川』(東北農政局浪岡川農業水利事業所・平成元年)、日本技研編『浪岡川農業水利事業 浪岡ダム技術誌』(東北農政局浪岡川農業水利事業所・平成元年)が刊行された。この2書によると、
「津軽平野のほぼ中央に位置する浪岡農業水利事業地区(五所原市、板柳町、浪岡町、常盤村)は、水源とする岩木川水系十川及びその支流浪岡川の流域面積が狭小で水量が乏しく、また浪岡川に設置された29カ所の取水堰、大小無数の溜池の老朽化が進み、取水能力の低下をきたしていた。その維持管理に多額の経費を要していた。これらを解消するために、浪岡ダムはこの農業水利事業地区3300haの農地にかんがい用水の水源を確保する目的をもって造られた」
と、ある。
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『事業誌 浪岡川』 |
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『浪岡川農業水利事業 浪岡ダム技術誌』 |
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(撮影:ふかちゃん) |
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