金山川は、その源を秋田県と県境神室山(標高1365m)に発し、金山町をほぼ西流し、真室川町にて最上川支川真室川に合流する流路延長25km、流域面積117.2km2の一級河川である。流域内の土地利用状況は有屋地点を境に上流が国有林、下流平坦部は田畑約1630haが利用されている。流域周辺の気象状況は日本海からの北西季節風と出羽丘陵の影響をうけ年間降水量約2200mm、冬期間の積雪量1.5 3mに達する多雨多雪地帯である。
金山川筋は近年出水による災害が相次ぎ、とくに昭和49年7月の集中豪雨による出水時には浸水家屋99世帯、総額4.5億円の被害、昭和50年8月の洪水時には浸水家屋60世帯、田畑冠水500haに及び、総額5億円に達する甚大な被害を被った。
また、利水面においては、昭和48年7月から干ばつ時に水道用水が不足し、新庄市では道路の消雪用井戸水、農業用井戸水を給水し急場を凌いだ。さらに、人口の都市部へ集中と工場団地造成などに伴う水需要の増加が見込まれ、水道用水の水源を確保する必要も生じてきた。このような必要性から、神室ダムは金山川の山形県最上郡金山町有屋字神室国有林地内に平成5年10月に完成した。
山形県編・発行『神室ダム工事誌』(平成6年)により、目的、諸元、特徴を追ってみたい。
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