去る2月21日に、第8回日本ダム協会ホームページ写真コンテストの審査が行われた。今年は昨年の応募数314を遙かに超える449の応募があった。インターネット経由なので、応募写真のファイルが抜け落ちることがたまに起こる。そういったものは当然応募者に再送を依頼する。たいていはすぐに送ってくれるのだが、2、3度再送依頼のメールを出しても送ってこない人が2名いた。一人は2点出していたので、3作品が届かず、実質的な審査対象は446点となった。
審査委員長は土木写真家の西山芳一さん。月刊ダム日本にもこの3月まで「西山芳一ダムを撮る!」と題してダムの写真をグラビアに連載していただいていた。それから埼玉大学の窪田先生、ダムマニアの宮島さん、CMED(ダム工事総括管理技術者)の安河内さん、ダムネット運営委員会委員長の森さん。もう一人、紅一点の塚本委員は残念ながら体調が悪く欠席であった。
応募状況を見てみると、応募人数も増え、昨年は69名(一人あたり4.5点を応募)だったものが、今年は127名(一人あたり3.5点)と2倍近くに増加した。ダムが写真の被写体となり得るということが徐々に広まってきている証のように思える。
応募者は、いわゆるダムマニアの常連さんから、初めて応募した方まで幅広い。応募者の年齢層も、10代から70代まで、これまた幅広い。人数で見てみると、30代、40代が30数名ずつで、やはり、ダムを撮るとなると、機動力(車)も必要だし、それなりのカメラも買わなければならない。10代、20代にはそういったハードルがある。もっとも、最近はコンパクトデジタルカメラもかなり高性能となってきて、一眼レフのデジカメに迫る勢いである。撮りようによってはデジイチよりいい作品がとれることもあるだろう。
審査結果は日本ダム協会のホームページ上で公開されているので、入賞作品はそちらを見てもらうとして、『こぼれ話』であるので、入賞は逃したが、私がユニークだとか面白いと感じた作品、それから熱意ある応募者への「応募上の留意点」やエールを含めてご紹介する。
まずなんと言っても、『湯原ダム』直下の露天風呂でゆず湯に浸かるおじさんたちの写真が目を引いた。ダム直下の露天風呂として有名な湯原温泉で、ゆずやザボンそれともバンペイユだろうか?巨大な柑橘に囲まれている姿がほほえましい。
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四国の老夫婦は20年近く昔の豊稔池ダム改修工事の写真を応募されてきた。20代の女性はたぶん携帯電話のカメラ機能で撮ったのだろう、奈川渡ダムの写真を応募してきた。最近の携帯電話のカメラは画素数も大きいので、それなりの設定にすれば十分精細なものになると思うのだが、たぶん、メールで送信する程度の画素数に設定していたようで、かなり粗い画像であったのが残念である。
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10代の女性は、なかなかきれいな写真を撮ってはいるのだが、『日付』が焼き込んであり、これまたコンテストの作品としては、失格。もちろん、その日付に何らかの意味があれば…たとえば定礎式とか竣工式とか……なら別であるが。
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最年少は12歳の少年。結構ダム好きのようで、写真コンテスト以外にも『ダム百選』に投票したりと、日本ダム協会ホームページのお得意さんである。ただ、この少年の送ってくれた写真も、先の20代の女性と同じく画素数が少なく大変粗い写真なので、審査ではかわいそうだが真っ先に落とされてしまった。折角の写真だから、解像度を上げて撮ってもらいたい。そうすれば入選のチャンスももっと高くなる。
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また、おそらく母子でダムに行ったときの写真であろう、子供のアップが数点、母親の写真が1点あった。微笑ましく、気持ちはわかるのだけど、さすがに入賞とはならなかった。しかし撮影も、応募したことも、親子の良い思い出になったのではないかと思う。私としては『想い出賞』でもあげたいところである。
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これだけ多くの人がたくさんの写真を応募してくれると、中にはとても貴重な写真もあったりする。深夜のダム、雪の中のダム、虹の架かったダム、年に一度のイベント開催中のダム、そして工事中のダム。特に工事中の景色は完成後は二度と目にすることができない。そういう意味では大変貴重な写真ともいえるだろう。また来年、すてきな写真に巡り会えるのが待ち遠しい。
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