神奈川県立相模湖交流センター内において、2011年11月19日より1週間にわたって第1回ダムマニア展が開催されたました。 開催期間中19日(土)、20日(日)、23日(祝)はトークショーが1日3回行われました。 以下は、19日3回目のトークショー「ダム基礎知識とダムの魅力」のレポートです。
パネリストは、ダムマニア展の立役者、ダムライターで写真家の萩原雅紀さん、各種グッズデザイン&ディレクションされたマニアパレルのBADONさん、日本画を展示されている現役美大生の南保理沙子さんの3名です。 (男性2名、女性1名のいわゆるドリカム体制です)
全体的な雰囲気としては、3人のクロストークショーと言うよりも、萩原先生(社会科地理B担当)の特別授業を、まじめに受ける南保学級委員長と、面白おかしく盛り上げるクラスのムードメーカーBADONさん、といった感じでしょうか。
客席には40人以上が集まり、女性も多くいらっしゃっていました。 ダムに関心のあるのは男性だけというのは、もはや昔の固定観念のようです。 会場へのアンケートとして、「黒部ダムにいったことの無い人」という問いかけに対しては、半分以上の方がまだ行った事が無い、と挙手をされていました。 私が会場でお話した方も、「今年の5月からダムを見始めた」とのことで、集まっていた方は、筋金入りのベテランダムマニアばかりではないということがわかります。 ダムに関心を持たれる方は、確実に増えていることの確証を得た気がしました。
公演内容は、萩原さんにとっては何度か話したことのある内容なのでしょう。 「おもいっきり初心者向けを、久々にねちっこくやりたい」という宣言の元、「ダムとは」と定義から始まり、「ダムの型式」「放流設備の種類」などは、ひとつひとつ丁寧に説明がされていきました。 今年の夏に行われた「ダムナイト5」でも、萩原さんの基礎知識講座は行われているのですが、その際に中村さんに指摘された部分は、知識として大いに取り込み、且つ、独自の表現を織り交ぜてわかりやすいように発表されているところは、知的探究心の表れではないかと思いました。
私の心に残った表現をあげると、
重力式コンクリートダム 例えるなら、部屋の模様替えをするときに、食器棚を動かそうとして、押してもぜんぜん動かないという状況の食器棚が、重力式コンクリートダム。
中空重力式コンクリートダム 外からだと中が空洞かどうかわからないけど、見分け方として、重力式はてっぺんに、横に一本線がピシッと入っているのが見える。 勝手に「襟」って呼んでいるけれど、中空式は襟があんまりない。ほとんどない。
アーチ式コンクリートダム プラスチックの下敷きを、1枚だとペラペラしていて押すとへこむけれども、湾曲させるとガチガチに硬くなる。あれと同じような理論。
ロックフィルダム(センターコア型・傾斜コア型) ロックフィルダムはマニア的にはあたりはずれがけっこうでかい。 完成しちゃうと見分けが付かない。マニア的にはどっちでもいい。
ハウエルバンガーバルブ 猫が病気したときのエリザベスカラーみたいなかたちで水が出てくる。
これらはもちろん真面目に解説しているからこそ、面白く感じる部分がさらに引き立った部分です。真面目8:オモシロ2ぐらいの割合ではなかったでしょうか。 そしてトークショー後半は、「孤高の発電ダムがカッコイイ」と題して、各電力会社を代表する発電ダムを次々と紹介していきました。 なかなか見れないアングルからの写真に対して、客席では感嘆の声とともに、カメラで撮影する方もおられました。
関西電力 黒部ダム 東京電力 高瀬ダム 奈川渡ダム他 北陸電力 有峰ダム 中部電力 高根第一ダム 中国電力 新成羽川ダム 四国電力 大森川ダム 穴内川ダム 九州電力 一ツ瀬ダム 塚原ダム 電源開発 池原ダム
また、スイスへ行ったときのものとして、 スイス Emossonダム Grande Dixenceダム Contraダム Grimselダム の各ダムを紹介されました。
最後になりましたが、トークショーより一部分を抜粋して、本文を締めたいと思います。 南保さんが答え、BADONさんが話を膨らませ、萩原さんが解説を入れるこの連携から、少しでも会場の盛り上がりを感じ取っていただければと思います。
(BADON)ちなみにミナミさんは自分の絵を描くときにモチーフにするとき、どれが一番描きたいですか?
(南保)そうですね。アーチダムが一番好きです。
(BADON)アーチはもう作品としては?
(南保)会場には川治ダムの天端のところしか。
(BADON)一番大きいのはロックフィルですよね。
(南保)あれは高瀬ダムがモデルなんです。
(萩原)高瀬ダムの真下で1日中スケッチをしてたらしいんですよ。
(BADON)一個、一個ですか?
(南保)一個、一個です。心が折れました。
(萩原)高瀬ダムって自家用車ではいけないんですよ。途中まではいけるんですけど、40分ぐらい歩くか、登山者送迎用のタクシーに乗っていくか。 あと、なくなっちゃったんですけど、東京電力の見学会でいくかしかないんですよ。
(南保)私は自家用車でいけるとこまでタクシーで行って、そこから歩きでいきました。
(萩原)歩きでいってあのダムの真下で1日中スケッチをする根性がすごいな。熊が出るらしいんですよ。
(南保)幸い会わなかったんですけど。あの時は油断していて。 ダム好きになって初めて行ったのが高瀬ダムで。 手前の七倉ダムを見た瞬間に、なんだこれは!
(萩原)高瀬ダムも七倉ダムも東京電力のロックフィルダムで、七倉ダムはカーブを曲がった瞬間にバーンと出くわすんですよ。出くわし系。
(BADON)出くわし系はヤバイですよね。
(萩原)出くわし系のロックフィルって相当やばいんですけれども、七倉はものすごくインパクトありますよね。一瞬何が起ったのかわからなくなる。いきなりカーブを曲がると現れ、なんだこれ! っていう感動。
(BADON)ダムを知る前は、岩が積んであるダムをあまり想像していないですよね。 いわゆるコンクリートのダムがダムであって、あの岩山なに? 僕もバイクで通りかかってて、妻と2台でツーリングしていたんですけれども、ちょっとまて、ちょっとまて、あれなんだって。Uターンして戻って、ダムかよって。 それがダムで一番最初に電流走った瞬間ですね。
(萩原)それってたぶん群馬県ですかね?
(BADON)群馬県、奈良俣ダムですね。
(萩原)あそこは下で見ていると、車2〜3台に1台は通り過ぎた後、必ずバックで戻ってくる。 本当に戻ってくる。インパクトありますよね。
(BADON)定点観察的に動画をとっておいて、早回しにして見ると面白いかもしれないですね。 ロックフィルで最初にやられたって人、会場にいませんか?
(会場女性)奈良俣ダムです。
(会場男性)御母衣ダムです。あそこもカーブ出くわし系。
(BADON)なんだろうなぁ、ロックフィルって出会い系! いや、出会い系ではないか。
(会場全体)爆笑
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