相模湖交流センターで開催された第2回ダムマニア展に7月13日(土)に行って、展示などを見てきた。全体の様子は、こちらにあるが、なかでも興味がわいたのは、ダムの彫刻が展示されていたことだ。ダムの彫刻は初めて見るので、作者に当日簡単なインタビューをしたいと思い、お願いしたところ快く応じて頂けた。
作者は、椋本真理子さん。武蔵野美術大学の大学院をこの春卒業され、現在は、仲間と共同でアトリエを借り、制作活動に専念しているとのこと。 展示されていた作品は3点あったが、そのうちの2点が「dam」と題したもの。かなり大きいくて、内部は発泡スチロールで、その表面をコーティングして、彩色したもの。大きさの割には軽いものらしい。
展示会場の一番奥に3作品が展示されていた。左側と中央が「dam」。 当日は、椋本さんは、午後3時からのトークショーにも出演。トークショーは見なかったので、その様子は分からないが、トークショー終了後に、合間を縫ってインタビューさせていただいた。
【柴田さんファンでダムファン】
Jny: どうして、ダムなんですか。
椋本: 私、神奈川県出身なんですけど、小さい頃から宮ヶ瀬ダムとか、遠足で行ったりしていて、割と身近なものだったんです。それを大学までは意識してなかったんですが、大学に入って、いざ自分の作品を作りなさいとなって、何作ったらいいんだと思ったときに、東京都写真美術館の柴田敏雄さんの写真作品を見て、本当に衝撃を受けて・・・。
Jny: 衝撃を受けるというのは、どこがよかったんですか?
椋本: 自然に対して、コンクリートが入っていく様みたいなものを、あの構図でばしっと。すごいかっこいいと思って。しかも大判なんですよね。すごく感動しました。
Jny: 実は私も見に行ったんです。記憶に残っているのは、コンクリートの擁壁とか。
椋本: そうです、そうです。人が気がつかないようなところを撮って、すごいなと。しかも構図が抜群なんです。こんなにうまく切り取って、こんなにクールにまとめる写真があるんだって感動して、それ以来ずっとファンなんです。
Jny: 柴田さんファン、あるいはダムのファン?
椋本: そうですね、両方。
作品とともに 【彫刻は普遍的なダムのイメージ】
Jny: それでダムに興味を持って、どこかダムを見に行ったとかはあります?
椋本: ダムは遠いとかあって、なかなか行けないんですが、父に頼んで休日に、宮ヶ瀬とかその近くの小さなダムとかを回ったりはしました。でも、あの作品は、何々ダムをモチーフに作りましたということでは、実はなくて、そういうものより普遍的な。一つのダムをモチーフに作ると、ちょっと模型っぽくなっていやだなと思って。
Jny: どうしてもそのダムにとらわれちゃう。
椋本: ええ、ある特定のダムよりも、もう少し全体的に・・・
Jny: ダムとはこういうものだと、イメージというか概念というか。
椋本: そうですね。具体のダムにこだわって足を運んでないのも、そんな理由もあると思うんです。
【3月の5美大展に展示】
Jny: 少し前に、3月の初め頃だったでしょうか、美大が集まって卒業制作展をやってましたよね。あそこにも出展してたんですか。
椋本: あー、はい、5美大展。六本木で。
Jny: あそこにも出てました?
椋本: はい、今展示してある山の形の。あれを出したんです。
Jny: そうですか。ダムの彫刻があると聞いたんで、ぐるっと1周したんですが、気がつかなかった。ダムの絵の方は2枚見つけたんですが。遠くから見て、ダムだって思わなかったかも知れませんね。 今回、ダムマニア展に出展することになったのも、5美大展がきっかけなんです。ダムマニア展の担当の方が、5美大展を見てくださっていて、この作品ダムだということで、私の名前を検索してくれたらしくて、ご連絡を頂いたんです。
Jny: それで出展の話しがあったんですね。
椋本: ええ、すごく興奮して、すごい、本場だと思って。
【トークショーでは何々ダムに似ていると】
Jny: 今回、彫刻の出展の他に、トークショーにも出演しましたよね。トークショーに出るのは、抵抗がありませんでしたか?
椋本: 私わりと今までもトークショーに出たりしていて。大学時代も。ソロでもやったりして。個展とかで一人でしゃべったり。
Jny: トークショーで出た話題で、何か印象に残ったことがります?
椋本: 結構いっぱいあったんですが、私が作った作品があそこのダムっぽいとか、私は特に意識して作ってないんですけど、何々ダムにすごく似ているとか言って。
Jny: だけど、あの作品は、どこのダムでもあんな感じじゃないかと、そんな感じがしますけど。
椋本: それが私が求めてることです。
Jny: 二つあったでしょ。大きい山の形のものはどこにでもありそうな感じ。もう一つの方はダム湖が見えないようで、ダムらしくないような。
椋本: 山の形の方は、結構宮ヶ瀬って言われました。
Jny: 下流から見た宮ヶ瀬のような感じですね。
中央にあった作品は、ダムと両岸の山に見える。
左側の作品は、どう見れば・・ 【ダムの彫刻をシリーズで作っていきたい】
Jny: 今後もダムをモチーフにして彫刻を作りたいと思いますか。
椋本: ええ。作品を彫刻にする前に、絵を描くんです。ドローイングって言うんですけど。今までダムの絵を結構描き貯めてて、いつかシリーズで作ったりもしたいなと思っています。構想はたくさんありますね。彫刻だといっぺんには作れないのですが、これからは時間があるので、まだまだ作っていこうと思います。
Jny: 是非、これからも作っていってください。でも、作るには、場所とか必要でしょ。
椋本: そうですね。今、大宮の方にシェアアトリエって言うか、制作する友達とシェアしてアトリエを借りてます。そこで作るんで、大学出てからも、あまり変わらずに制作し続けてるんです。
【作品を常設展示してくれるところがあれば、うれしい】
Jny: 今後、作品をどこかで展示させてほしいという話しがあったら、展示させてもらえるものですか。
椋本: もちろんです。是非やらせていただきたいと思います。
Jny: ちょっと輸送が大変でしょうね。
椋本: 重さはそんなに無くて。いつも梱包は、私がやってるんです。車を借りて、軽トラのようなものでいつも運んでます。常設してくれるところがあると、嬉しいんです。あまりダム作っている人もいないし、どこかで常設で展示してくれないかなと。
【ダムの彫刻としては日本初ではないか】
Jny: ダムの彫刻は日本で初めてでしょうか。
椋本: ダムの彫刻、といってネットで調べたりするんですが、全然無い。海外でも、さっき萩原さんに聞いたんですが、まずダムマニアみたいな人が海外にはいないし、作品でもないと思いますよ、って。
Jny: 海外はともかく、日本では初めてかも知れませんね。 本日は貴重なお話し、ありがとうございました。
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