ダムマニア展の日曜日の第一部のトーク「台湾のダム」は、中村先生、琉さんとともに私(Dam master)が担当させていただきました。見事なダム日和、ダム晴れで紅葉が見ごろな天候に恵まれて、日曜日は他の日に比べれば全般的にお客様は少なめでした。
プレゼンテーションの流れは、最初にダムマニアの紹介ということでダムマニアの歴史を20分程度で紹介しました。自己紹介のつもりで作成した資料でしたが、調べていくといろいろと変遷を経て今のダムマニアのスタイルになっているのだと感じました。今後も社会の変化に合わせていろいろな形でダムを愛する方々が増えていくのかと思います。
その後は台湾とはどんな国かについて紹介。紹介する中で中国語でのダム用語について簡単なクイズを設けました。漢字を見れば雰囲気は伝わりそうですが、琉さんはかなり苦戦しておられた様子でした。さすがに中村先生はすらすらと答えられますし、混凝土(コンクリート)という言葉が昔の日本のダムの本に出ていたことも解説いただきました。
それからいよいよ台湾のダムについての話になり、まず台湾大地震で崩れた石岡ダムについて説明しました。中村先生がお持ちくださった地震の記録写真集にダムを俯瞰した写真があり、会場の理解を助けていただきました。スライドが後半になるにつれてスライドを写真におさめるお客様も増え、特に崩壊したダムの写真は会場の反応が多かったようにかんじました。活断層についての中村先生の解説があり、断層がある部分にダムを造るときは、土とか石で作り、しかも厚めに作ることで断層上でずれてもダムの機能を持たせるとのお話でした。
中村先生持参の地震の記録写真集
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次に烏山頭ダムの紹介、トークの冒頭の紹介では中村先生が烏山頭ダムには特別な思い入れがあるとおっしゃっていました。私が初めて烏山頭ダムを訪れてツイッターでつぶやいたときにも、知人の設計屋は「こんな技術者が日本にいたんだ」と感動されていました。今になって思ったのは写真だけ流して中村先生の思いの丈を話していただいたら、また内容にも別の意味で花が咲いたのかもしれません。それだけ中村先生は烏山頭ダムに思い入れがあるのでしょう。烏山頭ダムを15分程度で紹介しましたが、本当に時間が足らなかったように思われます。機会があれば中村先生には是非とも時間の限り涙の続く限り烏山頭ダムについて語っていただきたいと思いました。
これは土産に買ってきたミニチュア 最後に石門ダム、台湾の代表的な観光用ダムです。このダムもかなり広くて写真紹介でどこまで伝わるのか不安でしたが、スキージャンプ式の洪水吐のあたりから会場の反応があらわれました。このダムはスキージャンプ式で下流の逆調整ダム湖に着水させて減勢させますが、中村先生のお話によると海外では水の流入量が桁違いなためにこのタイプが主流とのことでした。また日本のロックフィルダムと比較してリップラップが少々雑に積まれていることに関しても、日本のようにびっちり積まれていると地震の時に直しようが無いこと、急激な水位上昇に対して抵抗が少なくて天端越流の可能性が上がることから、中村先生は日本のきっちりと敷き詰められたリップラップは推奨されていないそうです。
話す方にとっても、聞く方にとってもあっという間の一時間半でした。少しでも多くの方が台湾のダムに興味を持って、実際に足を運んでいただければ話し手にとってうれしい限りです。
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