ダムマニア展の初日、19日(土)15時30分からのトークライブ第二部は、「ダムカード誕生秘話」。出演は、三橋さゆりさん(市原市副市長)、金山明広さん(水資源機構)、そして萩原雅紀さん。詳細な報告で、「秘話」と呼ぶのも誇張ではない、実際に携わったものしか知り得ない事実が随所にちりばめられており、分かりやすいスライドとテンポのいい語り口が相まって、聴衆を引き込んだ。
ダムカードの誕生経緯について、特にダムマニアがどうかかわったかについて、以前から大変興味を抱いていた。かつて宮島咲さんは、次のように言っている。
中野:話は変わりますが、最近ダムカードが出ましたね。私も昨年の夏、宮ヶ瀬ダムに行ったときもらったのですが。
宮島:そう、1年半ぐらい前ですかね、ダム関係者の方から、素人さんにダムに興味を持ってもらうにはどうしたらいいだろうかみたいな話があって、「ダムカード」を作ったらどうかと提案したんです。カードの内容なんかも話をしたんですが、その通りに作ってくれましたね。 いまは国交省と水資源機構のダムで出していて、行かないともらえません。1人1枚だけです。宮ヶ瀬は1万枚作ったという話もあるようですね。この宮ヶ瀬ダムなんかは配り方もきちっとしていますが、中には、単に置いてあって、勝手に持っていけるところもある。これはどうかと思いますよ、せっかく作ったのに価値が下がってしまう。 (「ダムインタビュー(2)宮島咲さんに聞く「ダム好き仲間とOFF会に行くのが楽しい」」)
また、今回も出演している金山さんは、以前、経緯についてかなり詳しく語っている。
中野: ダムカード誕生の経緯にお詳しいようですね。
金山: ダムカードのアイデアの発案者といえば萩原さんでしょうね。平成18年8月のロフトプラスワンで「ダムに行かないともらえないカード」「ダムへ行けばもらえる、行った証明になるようなカード」があればいいなという話をされました。トークの中で出てきた話題で、あぁそういうのがあればなぁと我々も聞いていたんですよ。
で、その後、ダムツーリズム、ダムと観光を結び付けることができないかという勉強会が某研究機関であったんですね。その時に「全国ダム観光ポスター展」の実施にあたっての地元住民とのコラボについて報告をしたんですが、その際に、雑談で「ダムにもカードがあるといいですね、分かりやすくいえばポケモンカードのようなもの。そこに行かないともらえないようなものがあると、観光にも寄与するんじゃないですか」というのを話したんですよ。そうしたら、国交省の方々がとても良い反応をされて「すぐに作ろう」、「ダムマニアに会いたい」とトントン拍子で話が進みました。むろん、国交省の方々は、ダムの情報を凝縮した簡易版パンフレットでダムツーリズムにも活かせればと幅広い考えをもっておられるようでしたけど。
そうしているうちに早速、国土交通省ご担当官様直営のサンプルのデザインが出来て、このサンプルなんですが「ポケモンカードを娘から借りて定規で測って作った」というくらい手作りだったんです。いいですね、金がかかってなくて(笑)。それを萩原さんや宮島さんそれからダムウェブリングのみなさんにお願いして意見を募ったところ、「ダムの写真はカード全面じゃないとだめだ」「ダムの諸元などデータは裏に。書ききれないときはQRコードで」「洪水調節の記録として台風撃墜マーク」といういろんなおもしろいアイディアが出てきたんです。 (「ダムインタビュー(10)水資源機構・金山明広さんに聞く「地元、ダムマニア、ダム管理事務所がコラボレーションできれば」 」)
これらからかなりの程度分かるのだが、今回の報告を聞いて、ごく具体的に、誰がどうかかわったかといったようなことまで含めて、詳細に知ることができた。
こうしてダムカードが誕生したのだが、その後の状況を見ると、ダムカードの配布は最近にないヒットで、今や多くの人の賞賛するところであろう。さらに、当日、金山さんも指摘していたが、構想段階から実施まで、極めて期間が短かったことには驚かされる。三橋さんが流水管理室に来たのが平成18年4月、その後1年余りでダムカードの一斉配布が実現している。単なる興味を超えて、何がそうさせたのか、この実現の速さについて見習うべき点が多いのではないか。
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