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6.門入ダムの建設


『門入ダム工事誌』

 門入ダムは津田川総合開発事業の一環として津田川の支流栴檀川に建設された。ダムの位置は香川県さぬき市寒川町門入地点である。この建設記録として、香川県長尾土木事務所編・発行『門入ダム工事誌』(平成11)が刊行された。

 津田川はその源を大川町と白鳥町との境笠ケ峰(標高 560m)に発し、大川町をほぼ北流し、栴檀川を合流し、寒川町、津田町を貫流し、瀬戸内海に注ぐ。流域面積43.7km2、流路延長15kmの二級河川である。
 津田川は、河床勾配が急なため、大雨のたびに被害を及ぼしていた。治水のために昭和38年大川ダムが完成したものの、その後昭和51年、昭和62年の台風で河岸の決壊や氾濫が繰り返された。一方、津田川は農業用水、生活用水の水源として広く利用されているが、昭和48年、昭和53年、平成6年と相次いで渇水に見舞われた。なお、災害については、津田町編・発行『昭和51年9月激災台風17号集中豪雨忘れじの標』(昭和54年)の書がある。これらの災害をふせぐため門入ダムは、

・ダム地点の計画高水流量60m3/sのうち40m3/sの洪水調節を行い
・流れの正常な機能の維持を図り
・寒川町に対し、水道用水として 1,500m3/日を補給する、

という3つの目的をもって築造され、平成11年に完成した。


門入ダム

 ダムの諸元は、堤高47.3m、堤頂長 202.5m、総貯水容量 290万m3、重力式コンクリートダムで、起業者は香川県、施工者は大豊建設(株)である。総事業費 140億円を要した。なお、補償については、移転家屋4戸、取得面積21.8haとなっている。
 工事の際、ダム軸上流 100mに門入池があり、灌漑機能に支障のないように進め、堤体掘削時の火薬使用量を調節しながら、悪影響を及ぼさないように行っている。また工事期間中、ダム堤体内に直径 800mmの導水管を埋め込み、池に対し灌漑用水の補給を行った。

 門入ダムの特徴は、ゲ−ト操作のない自然調節方式を採用したことである。ダムには6つの取水口を設け、平常時には貯水池の水位に合わせて取水し、放流される。中小洪水時には、中央の穴(常用洪水吐)から放流され、台風などの異常洪水時には、中央の穴と左右の4つの穴(非常用洪水吐)からも放流される構造となっている。

 さらに、ダムの環境整備事業については、ダム下流面に石積模様の化粧型枠やライトアップ設備を採用し、水と緑に囲まれたカメリアの里づくりとして、記念公園、岬の公園、水辺の公園、モニュメント展望台広場、花の広場を設置し、県民の憩いの場をつくり出した。

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