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6.名張川(淀川水系)−高山ダムの建設



 名張川は、その源を奈良県宇陀郡御杖村南東部境高見山地の白髪峠山麓より発し、堂前、神末を北流して三重県に流入し、支流を集めて美杉村西部端を貫流して名張市に入り、長瀬をすぎ、夏目で青蓮寺川を併せ、名張市を蛇行して、京都府に流入する。宇陀川、笠間川を合流して高山ダムに注ぎ、伊賀川を合流し、さらに流下し木津川に入る。木津川は西流して笠置山麓を流下し、加茂、木津を経て流れ、八幡市に至り、淀川本川に入る。

 高山ダムは、昭和37年水資源開発公団(現・独立行政法人水資源機構)の設立に伴い、建設者から公団に事業が引継がれ、昭和40年6月本体着工、昭和44年7月左岸京都府相楽郡南山城村高尾右岸、同村田山地点に完成した。

 なお、昭和34年9月台風15号(伊勢湾台風)により、淀川枚方で 7,200m3/s、木津川加茂において 6,200m3/sに達したため、高山ダムの高さを従来計画より4m上げて、計画最高水位をT・P 135mとした経過がある。
 

『高山ダム工事誌』

 このダム建設記録について、水資源開発公団高山ダム建設所編・発行『高山ダム工事誌』(昭和44年)がある。

 ダムの目的は、
・ダム地点における計画高水流量(青蓮寺ダム、室生ダム、比奈知ダム調節後)、 3,400m3/sを 1,800m3/sに洪水調節を行う。
・木津川沿岸の農地 3,300haの既得用水として、青蓮寺ダム、比奈知ダムからの補給量を併せて、下流加茂地点においてかんがい期に13.2m3/sの流量を確保するため、半旬平均で最大 4.8m3/sの流量を補給するとともに、下流河川の正常な機能を維持する。
・水道用水として阪神地区に 5.0m3/sを供給する。その内訳は、大阪府水道用水 1.824m3/s、大阪市水道用水 2.249m3/s、枚方水道用水 0.112m3/s、守口市水道用水 0.041m3/s、阪神企業団水道用水 0.672m3/s、尼崎市水道用水 0.102m3/sとなっている。
・ 関西電力(株)が設置した高山発電所で最大出力6,000KW の発電を行う。
 

 高山ダムの諸元は、堤高67m、堤頂長 208.7m、堤体積 21.39万m3、総貯水容量 5,680万m3で、型式はアーチ重力式コンクリートダムである。起業者は建設省→水資源開発公団、施工者は大成建設(株)、(株)奥村組共同企業体、事業費 115.6億円である。

 なお、補償関係は移転家屋 196世帯、用地取得面積 373.3haとなっている。
 この書に、南宏高山ダム建設所初代所長は、「ダムサイトが京都府、水没地域が奈良県と三重県に及び、事業実施上、先進地域と行進地域、受益地域と被害地域との対立が生じ、大変な困難性を伴ったが、あらゆる努力がなされ下流受益団体からの協力費をもって解決が図られた。この間、工事用道路、準備工事が進んでいたが、昭和40年下流協力金のもつれから突如工事中止のハプニングが起こった」と、記されている。紆余曲折を経て、高山ダムは昭和44年7月に完成し、同年8月1日から管理開始、以来、治水、利水の目的を十分果たしている。特に、水道用水5m3/sの供給は、1人1日当たり平均使用量 322リットルで計算した場合、給水可能人口 134万人に相当する。

 昭和61年〜平成7年にかけて、高山ダムでは、周辺環境整備事業として南山城村(高山ダムを一望できるダム見晴らしゾーン)、月ケ瀬村(梅林を楽しめる湖岸散策ゾーン)、上野市(テニスコートを含むレクリエーションゾーン)山添村(大川遺跡の遺跡散策ゾーン)の4地区に、各々、水と緑のオープンスペースの有効利用を図った憩いの場を創設した。
 さらに、平成10年〜16年にかけて、貯水池や水質保全事業として、アオコ淡水赤潮などの植物プランクトンの増殖による富栄養化抑制対策について、噴水曝気、浮島、分画フェンス、水質自動観測装置を設置した。

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