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◇ 4. 荒川のダム開発史

 荒川のダムは10基築造されているが、建設省荒川上流工事事務所編、発行「荒川ものがたり」(平成6年)、建設省荒川下流工事事務所編、発行「都市は往く荒川下流工事事務所七十五年史」(平成2年)、日本ダム協会編、発行「ダム年鑑2008」(平成20年)、各ダムのパンフレットにより、以下のように纏めてみた。
【なお、各ダムの表記は河川名、起業者、型式、目的、堤高総貯水容量の順で、A:アーチダム、E:アースダム、G:重力式コンクリートダム、GA:重力式アーチダム、R:ロックフィルダム、F:洪水調節、農地防災、N:不特定用水河川維持用水、A:灌漑用水、W:水道用水、I:工業用水、P:発電用水を表す。】

(1) 昭和初期(昭和元年〜昭和20年)

昭和2年 荒川放水路築堤工事概成
     千住大橋鉄橋改築
  3年 台風による荒川の洪水
  4年 荒川放水路完成
  6年 荒川下流改修工事竣工
  9年 昭和水門竣工
  10年 鎌北湖(大谷木川)の竣工(埼玉県)
      E A 22.6m 30万m3
     新河岸川舟運途絶える
  13年 台風による荒川の洪水
  14年 三領水門竣工
  15年 笹目樋門竣工
  16年 宮沢溜池(小畔川)の竣工(埼玉県)
      E A 18.5m 87.9万m3
  17年 隅田川水門改築工事竣工

(2) 昭和中期・後期(昭和21年〜昭和63年)

昭和22年 カスリン台風 荒川本流2ケ所で決壊
  23年 アイオン台風
  24年 キティ台風
  27年 荒川、中川総合開発促進連盟が結成
  28年 荒川総合開発計画がまとまる
  29年 円良田湖(逆川)の竣工(埼玉県)
      E A 21m 65万m3
  33年 狩野川台風で荒川氾濫
     川口市、戸田市に浸水被害
     川越地方大旱魃
  35年 大洞ダム(大洞川)の完成(埼玉県)
      G P 24.7m 11万m3
     大洞発電所運転開始
  36年 二瀬ダム(荒川)の完成(建設省)
      GA FNP 95m 2 690万m3
     二瀬発電所運転開始
  38年 大洞第二発電所運転開始
     鎌北湖老朽化整備完工
  39年 玉淀ダム(荒川)の完成(埼玉県)
      G AP 32m 350.1万m3
     玉淀発電所運転開始
  40年 荒川秋ケ瀬堰の完成
     朝霞水路の完成
     荒川放水路を荒川と改称
     従来の荒川(岩淵水門の下流)を隅田川と称する
     隅田川浄化用水導入開始
  43年 台風28号死者28名
     利根大堰、利根導水路の完成
     三領排水機場竣工
     京浜東北線鉄橋嵩上げ竣工
     大久保浄水場給水開始
     (給水人口75万人)
  45年 米の減反政策始まる
  48年 東武線鉄橋嵩上げ竣工
  49年 庄和浄水場給水開始
     (給水人口 285万人)
  51年 小松川水門、木下川水門撤去
  52年 埼玉の人口500万人突破
     滝沢ダム、水源地域対策特別措置法のダムに指定
  53年 新芝川排水機場
     浦山ダム、水源地域対策特別措置法のダムに指定
  54年 船堀閘門、新川水門撤去
  58年 岩淵水門本体概成
  59年 笹目水門改築工事竣工
     行田浄水場給水開始(給水人口486万人)
  61年 有間ダム(有間川)の完成(埼玉県)
      R FNW 83.5m 760万m3
     戸田水衝部対策低水護岸工事竣工
     埼京線、新宿乗り入れ
  63年 ‘88さいたま博覧会

(3) 平成期(平成元年〜平成20年)

平成2年 新三郷浄水場給水開始
     (給水人口565万人)
  6年 埼玉合口二期事業完成
  7年 浦山ダム、地域に開かれたダムに指定
  8年 荒川調整池(荒川)の完成(国土交通省)
      − FW − 1 110万m3
  9年 河川法改正(河川環境の整備と保全)
  11年 浦山ダム(浦山川)の完成(水資源機構)
      G FNWP 156m 5 800万m3
  12年 大野ダム(都幾川村)、小森川ダム(両神村)の中止
     荒川第二調節池の中止
  13年 合角ダム(吉田川)の完成(埼玉県)
      G FNW 60.9m 1 025万m3
  17年 埼玉県の人口705.4万人
     吉見浄水場給水開始
     (給水人口698万人)
  20年 滝沢ダム(中津川)の完成(水資源機構)
      G FNWP 140m 6 300万m3

 荒川におけるダム建設は10基に及ぶ。昭和初期には農業用水を目的とした鎌北湖、宮沢溜池の2基、戦後から昭和63年までには、水力発電用の大洞ダム、治水を含めた多目的ダム二瀬ダム、有間ダム等5基が築造された。さらに、平成期には多目的ダム浦山ダム、合角ダム、滝沢ダムの秩父地方の3ダムが完成した。

 なお、荒川の水利使用許可の現況(平成17年4月30日現在)をみてみると、発電11件、最大使用水量81 400m3/s、上水道26件、取水量43.129m3/s(給水人口1 946.4万人)、鉱工業用水20件、取水量3.745m3/s、灌漑用水68件、取水量28.973m3/s(灌漑面積8 381ha)となっている。
 以下、二瀬ダム、有間ダム、浦山ダム、合角ダム、滝沢ダムの建設を追ってみる。



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