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◇ 6. 揖斐川のダム開発史

 揖斐川のダム建設(長良川支流西ヶ洞谷川の2ダムを含む)は、14基に及ぶが、その歴史について、前書『木曽三川その治水と利水』『木曽三川治水百年のあゆみ』、さらに日本ダム協会編・発行ダム年鑑2008』(平成20年)、ダムパンフレット等により、次のようにまとめてみる。〔なお、各ダムの表記は、河川名、起業者、型式、目的、堤高総貯水容量の順で、型式はA:アーチ式ダム、E:アースダム、G:重力式コンクリートダム、R:ロックフィルダム、HG:中空重力式コンクリートダム、目的はF:洪水調節・農地防災、N:不特定用水河川維持用水、A:灌漑用水、W:水道用水、I:工業用水、P:水力発電を表わす。〕

(1) 明治期
明治20年 揖斐川橋の完成
  24年 濃尾大地震おこる
  27年 日清戦争始まる
  29年 揖斐川大洪水
  36年 揖斐川大洪水
  37年 日露戦争始まる
  41年 小宮神発電所(粕川)運用開始
  44年 木曽三川明治改修工事竣工

(2) 大正期
大正2年 河合発電所(粕川)運用開始
  3年 大谷池(相川)の竣工(垂井町)
      E A 18.7m 16.1万m3
  4年 飛鳥用水路の通水
  5年 平尾1号溜池(杭瀬川)の竣工
     (不破郡北部土地改良区)
      E A 19.9m 16万m3
     平尾2号溜池(杭瀬川)の竣工
     (不破郡北部土地改良区)
      E A 25m 35.9万m3
  8年 高橋谷ダム(高橋谷川)の完成
     (中部電力)
      G P 18.5m 3.9万m3
  9年 春日発電所(粕川)運用開始
  10年 市場発電所(粕川)運用開始
     東横山発電所(揖斐川)運用開始
  12年 根尾発電所(根尾川)運用開始
  14年 広瀬発電所(坂内川)運用開始

(3) 昭和初期(昭和元年〜20年)
昭和3年 黒野・揖斐線開通
     揖斐川右岸養基地先改修
  4年 金原発電所(根尾川)運用開始
  5年 粕川の改修着工
     藪川(根尾川)左岸改修着工
  6年 牧田川上流改修着工
  7年 藪川(根尾川)筋床固新設工事着工
  8年 馬坂峠トンネル開通
     水門川改修
  10年 神岳ダム(坂内川)の完成(イビデン梶j
      G P 20m 21.5万m3
     川上発電所(坂内川)運用開始
     揖斐川筋呂久地先
     新川付替工事完成
     牧田川頭首工堰完成
  13年 治水神社建立
  14年 西平ダム(揖斐川)の完成(中部電力)
      G P 31.5m 449万m3
  16年 岡島橋コンクリートに架橋
  17年 三水川改修の完了
  18年 木曽川上流工事事務所の発足
  20年 日中、太平洋戦争終わる
     木曽川下流事務所の発足

(4) 昭和中期(昭和21年〜40年)
昭和22年 席田・真桑両用水取水口の山口頭首工の完成
  24年 根尾川の掘削工事着工
  25年 牧田・杭瀬川の背割堤工事の完成
  26年 岐阜県、藤橋村ダム調査開始
  28年 台風13号揖斐川大洪水
     久瀬ダム(揖斐川)の完成(中部電力)
      G P 34m 46.1万m3
  34年 8月台風7号揖斐川大洪水、多芸輪中大水害
     9月伊勢湾台風襲う
  35年 台風11、12号揖斐川大洪水
  36年 梅雨前線豪雨、第2室戸台風水害
  38年 徳山村電力通電
  39年 横山ダム(揖斐川)の完成(国交省)
      HG FAP 80.8m 4,300万m3
  40年 9月揖斐川上流集中豪雨東杉原大災害

(5) 昭和後期(昭和41年〜63年)
昭和43年 越美山系砂防工事事務所の発足
     揖斐川・根尾川流域の砂防事業着手
  45年 親谷第1号砂防ダム(揖斐川)完成
  47年 本巣市「ホタル条例」の制定
  48年 第一次オイルショク
  50年 奥美濃発電所調査所(根尾村)の発足
     8月台風6号、揖斐川大洪水
  51年 9月台風17号安八大水害
  52年 木曽三川水源地域対策基金の設立
  54年 第2次オイルショク
  55年 木曽三川水郷公園事業着手
  56年 根尾川排水機場完成
  57年 小宮神発電所800kWに増強
     岡島頭首工の完成
     杭瀬川激特事業完成
  59年 樽見鉄道(大垣〜樽見)開通
     西濃用水事業の完成
     能郷谷第3号砂防ダム(根尾西谷川)の完成
  60年 不破北部防災ダム(岩手川)の完成
     (岐阜県)
      E F 42.5m 112.8万m3
  62年 徳山村閉村
     木曽三川公園中央水郷地区開園
     越波内谷第1砂防ダム(根尾川)の完成
     打上調整池(東谷川)の竣工(水資源機構)
      E AWI 29.7m 226万m3

(6) 平成期(平成元年〜20年)
平成元年 飛鳥用水の大改修
     奥美濃発電所工事着工
  2年 横山ダム再開発事業開始
     川浦ダム定礎式
  3年 上大須ダム定礎式
  4年 川浦ダム堤体コンクリート打設完了
  5年 川浦鞍部ダムコンクリート打設完了
     上大須ダム盛立完了
     川浦ダム、上大須ダム湛水開始
  6年 平成の大渇水
  7年 奥美濃発電所運転開始
     上大須ダム(根尾東谷川)の完成
     (中部電力)
      R P 98m 1,450万m3
     川浦鞍部ダム(長良川支流西ヶ洞谷川)の完成(中部電力)
      G P 40m 1,720万m3
     川浦ダム(長良川支流西ヶ洞谷川)の完成(中部電力)
      A P 107.5m 1,720万m3
  9年 河川法の改正
  12年 徳山ダムの起工式
     国道417号徳山ダム区間開通
  13年 横山ダム法面応急対策工事
     八草トンネル開通
     高倉揚水発電所計画凍結
  14年 7月台風6号揖斐川出水
  15年 水資源開発公団から水資源機構へ
  16年 10月台風23号大垣市荒崎地区浸水
  17年 藤橋村を含む揖斐郡1町5村合併
     揖斐川町の誕生
     名鉄揖斐線廃止
     徳山ダム堤体盛立完了
  18年 付替道路(徳山バイパス)全線開通
     徳山ダム試験湛水開始
  20年 徳山ダム(揖斐川)の完成(水機構)
      R FNWIP 161m 66,000万m3

 このように揖斐川におけるダム開発史をみてくると、大正期には大谷池など3基のアース式農業用ダム、それに初の重力式コンクリートダム高橋谷ダムが水力発電を目的として完成。昭和初期には、神岳ダム、西平ダム、そして昭和39年多目的ダム横山ダムが建設され、平成期には奥美濃発電所に係わる川浦ダム・川浦鞍部ダム・上大須ダム、さらに総貯水容量日本一を誇る徳山ダムが完成した。


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