《このごろ》
ダムマイスター研修会「津軽ダム本体工事見学会」

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 平成25年9月7日「津軽ダム見学会」が行われました。参加者は、見学地が遠方であったためか10名程(うちダムマイスター2名)でした。台風崩れの温帯低気圧と秋雨前線の影響で天気が懸念されましたが、幸い雨に降られるということはありませんでした。
 今回の研修会では、地元の放送局が取材のため同行することになりました。


1.右岸展望台

 津軽ダムは1級河川岩木川に建設が進められているダムで、現在、青森県が管理している目屋ダムを再開発するものです。平成28年春の試験湛水開始を目指して工事が行われています。岩木川は、白神山地に源流をもち津軽平野を流れて日本海に注ぐ河川です。起点から河口まで青森県内で完結している河川ではありますが、流域面積は、2,540km2です。これは、多摩川(1,240km2)のおよそ2倍もあることになります。津軽平野の広大さと、岩木川が1級河川として国が管理しなければならない必要性がうかがえます。

 見学者は、保安帽と長靴を受取り協会がチャーターした白神観光のマイクロバスに乗車します。バスの中では、国土交通省職員さんの観光案内が印象的でした。まもなく最初の見学地に到着しました。

 見学者一行は、右岸展望台で全体の説明を受けます。この場所は、日中常時開放され特に予約をする必要もなく自由に見学できるそうです。


建設中の津軽ダム(右岸展望台より)

 建設機械や資材など人間以外の全てのものは、ケーブルクレーンで搬入されたものです。現在展望台として開放されている場所より上の部分が原石山となっています。原石を採取して削平された場所には、将来的に管理所が建設されます。


ケーブルクレーン

 展望台には、目屋ダムから切り出された堤体コンクリートの一部が展示されていました。半世紀も前に打設されたものとは信じられないほどきれいなものでした。津軽ダムが建設される理由は、目屋ダムが老朽化したというよりも計画高水量の変更と水需要の増加が背景にあるようです。


目屋ダム堤体のコンクリート


2.監査廊

 今回は特別に建設中の津軽ダム監査廊を見学させていただきました。通常、監査廊の中は「寒い」と思うはずです。ところが、津軽ダムの監査廊の中は「猛暑」でした。津軽ダムの監査廊は、プレキャストのものを使用しています。プレキャスト自体は、すでに完成品ですから、プレキャストのコンクリートが熱を持つということはないはずです。この監査廊の熱は、打設したばかりのコンクリートから伝わっているようです。とても貴重な体験をすることができました。


建設中の監査廊

 目屋ダムの監査廊は、やはり涼しいところでした。こちらはプレキャストではなく、木製の型枠で丁寧に造られたものです。


目屋ダム監査廊

 当然のことですが、ダムの監査廊は、大勢の見学者に公開することを前提として設計するものではありません。監査廊は、一度に4〜5名見学するのが限界のようです。また、今回の見学は仮設の階段(と言うよりはハシゴ)を利用することになりました。本日は、コンパクトな団体であったこと、雨が降らなかったことが幸いして、このような細部まで見学できたのかもしれません。


仮設階段


建設用仮設通路


3.モータープールなど

 モータープール(整備場)では、巨大な建設重機を見学することができました。タイヤだけでも人間の身長です。建設重機のタイヤだけを展示したダムは、いくつもあります。しかし、こうして巨大な重機全体を間近に見ると、もう何も声が出ません。


モータープール

 このダムのコンクリート骨材となる原石は主に玄武岩です。この原石を採掘する過程で水晶が産出されるようです。この水晶は、ダム見学の記念として希望者に無料で配布しています。


原石採取の過程で産出される水晶


4.ダム下流部

 津軽ダムの建設にあたっては、半川締切が採用されたということです。したがって、転流のための水路トンネルは存在しません。コルゲートセルという仮設の構造物で目屋ダムからの放流水を制御して堤体が打設されたそうです。いずれこのコルゲートセルは撤去されます。現在は、減勢工の副ダム(越流部)がそれぞれ左岸部と右岸部の一部が姿を見せているだけです。この副ダムが完成する頃には、コルゲートセルを見ることができなくなるかもしれません。


建設中の津軽ダム下流面

 コルゲートセルは、簡単に言えば巨大な土嚢です。ダム完成後はすべて廃棄処分になるようです。コルゲートセルは、ダム建設に多大な貢献をしているものです。今後、何らかの形で保存・展示して欲しいと思いました。

 堤体直下では、東北電力の発電所建設工事が開始されていました。現在ダム本体とつながっている送水管などは、竣工時には埋め戻されるそうです。「急がば回れ」ということわざがあります。安全第一で無事に竣工の日を迎えることを願います。


建設が進む発電所


4.おわりに

 今回は、地元の放送局の方が津軽ダムのPRを兼ねて見学会に同行しました。
私も、スタッフの方にインタビューを受けました。
◆今日は、どちらからお越しですか?
という単純な質問は良いとして…、
◆最近、どのダムに行かれましたか?
この質問に、「先日、群馬県のウシマグサダムに行きました。」と正直に答えて良いものか、嘘でも「富山県の黒部に行きました。」というべきか答えに迷いました。さらに、
◆この研修会に参加した理由を教えてください?
という質問には、困りました。理由と言われても非常に難しく返答が思いつきませんでした。この場を借りてスタッフの方々にお詫びしたいと思います。

 今回は、津軽ダム工事の現場責任者(発注者側・施工者側)の方に案内していただきました。映画『黒部の太陽』で三船敏郎・石原裕次郎が演じた立場にある方に説明を受けることができました。本当に、貴重な時間を下さりましてありがとうございました。あわせて、多くの職員の方や建設作業に従事する方々にも、深くお礼を申し上げます。

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(2013.9.20、安部塁)
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