ダムの目的 (だむのもくてき) |
ダムの目的は以下の通り多岐に渡ります。水道専用ダムのように一つのダムが単一の目的を持つ場合もあり、また、多目的ダムのように複数の目的のために建設される場合もあります。(→日本のダム:目的[1]別型式別)(→日本のダム:目的[2]別型式別)
【貯水・取水用のダム】
ダムを建設することによって、水がせき止められ、水位が上がり、水が貯えられ、貯水池が形成され、貯水池と周辺に新たな環境が創設されるといった現象が生じます。これらを念頭に、ダムの目的としては、通常次のような分類がされています。
(治 水)
■洪水調節 上流からの流入水をダムの貯水池内に貯留することにより下流への放流量を調節し、ダム下流の河川の水害を防ぎます。
(利 水)
■かんがい用水 ■上水道用水 ■工業用水 以上は、いずれも、水を貯水池に貯留し必要なときに放流することによって、下流の諸々の用水需要に応えるものです。
■消流雪用水 消流雪用水は、雪国で冬季に道路などの雪を流したり、溶かしたりするためのもので、この目的が掲げられるのは比較的最近のことです。(→日本のダム:布施川)
■既得取水の安定化、河川環境の保全等 上の4種類の用水を補給するほかに、既存の水利権者が安定的に取水できるようにしたり、動植物の生息環境を保全したり、流水の清潔を保持したりするなど、ダムから水を放流することによって様々な効果があり、これらが目的として掲げられることがあります。なお、以前は「流水の正常な機能の維持」という表現がされていました。また、(財)日本ダム協会発行の「ダム年鑑」では「不特定用水、河川維持用水」と表現しています。
(発 電) ■水力発電 ダムの貯留水により、落差を利用して発電を行います。
(その他) ■レクリェーション ダムと貯水池、その周辺を整備するなどして、レクリエーションの場として利用されることがあります。例えば、貯水池に県営漕艇場がある長沼ダム(宮城県)は、目的の一つとしてレクリエーションを掲げています。(→日本のダム:長沼)(→日本のダム:石井)
【砂防ダム】
貯水・取水のためのダム以外に、砂防ダムと呼ばれるダムがあります。砂防ダムは、荒廃した山地からでる砂礫、転石などを上流部でせきとめて、蓄えることによって、土砂の流出防止・調節を行ったり、河床の傾斜を緩和して河床と両岸の浸食を防止します。
【貯砂ダム】 貯水を目的としたダムの上流に設けられ、河川を流れてくる土砂を堰き止めます。ダム湖に入る土砂の量を少なくする働きがあるのでダムの寿命を延ばすことができます。
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