[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]


洪水吐き拾弐景
《第弐景》 田瀬ダムの日本初高圧洪水調節用放流管

解説:箱石 憲昭  写真:ダム日本編集部
 

昭和29年(1954年)に国直轄の本格的重力式コンクリートダム第一号として竣工した田瀬ダム。我が国初の高圧洪水調節用放流管が採用されている。洪水調節容量を確保するため,利用水深を大きくするべく堤体の低い位置に高圧放流管4条を配置している。当時はまだ高圧ゲートの製作経験が国内に無かったことから,米国から高圧スライドゲートを輸入し据え付けている。その後,同型のゲートが国内で製作され,2年後に完成した五十里ダムに国産第一号の高圧ゲートとして据え付けられている。

放流管は円形で水平に配置されており,負圧が発生しないように下流側で楕円形にしぼりこまれながら,堤体下流面に沿うように曲げられている。当時の高圧スライドゲートは全開全閉操作が基本であり,放流条数を変えることで段階的に流量調節を行うものであった。そのため,平成10年(1998年)には,堤体に削孔して部分開放流が可能な高圧ローラゲートを有する放流設備が増設され,これを併用することで,きめ細やかな流量調節が可能となっている。

戦後の荒廃した国土を相次いで襲った水害に立ち向かうため,新たな技術に果敢に挑戦した当時の技術者の熱意が感じられるダムである。


(これは、「月刊ダム日本」からの転載です。)
[関連ダム]  田瀬ダム
(2014年11月作成)
ご意見、ご感想、情報提供などがございましたら、 までお願いします。
【 関連する 「このごろ」「テーマページ」】

 (洪水吐き拾弐景)
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第壱景》 宮ヶ瀬ダムの洪水吐き
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第参景》 二瀬ダムの高圧ラジアルゲートとスキージャンプ式シュート
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第四景》 中筋川ダムの階段式洪水吐き
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第五景》 大野ダム〜堤体にクレストとコンジットがオーバーラップした洪水吐き〜
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第六景》 百谷ダムの完全自然調節のゲートレス洪水吐き
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第七景》 志津見ダムの堤頂道路兼用型
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第八景》 鳴子ダム〜薄肉アーチダム堤体下流面に沿って流下させる洪水吐き〜
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第九景》 綾北ダム〜高圧ラジアルゲートを有するアーチダム〜
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第拾景》 薗原ダム〜堤体下流面にスキージャンプ式シュートを有する洪水吐き〜
  [テ] 洪水吐き拾弐景《第拾壱景》 滝里ダム〜自由越流頂とオリフィスゲートを組み合わせた洪水吐き〜
  [テ] 洪水吐き拾弐景《最終景》 留萌ダム〜カスケード付の漸縮導流部〜
[テーマページ目次] [ダム便覧] [Home]